明日より、第83期棋聖戦5番勝負開幕。。
5連覇を目指す羽生善治棋聖に
24歳の新鋭・中村太地六段が挑戦する第83期棋聖戦5番勝負が
明日、兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」にて、開幕いたします。
「小学生の頃に『羽生七冠達成』を知ったのが
プロ棋士を目指すきっかけになりました。
子どもながらにすごいなぁ、
将来は自分もこういう風になってみたいと思い、憧れの存在でした。
八王子将棋クラブに通ったきっかけも
羽生先生が通っていた道場だったから、ということもあるんです。」
自身が表紙を飾った
「将棋世界」7月号のインタビュー記事の中で
棋聖戦を前に、羽生棋聖のことを、そう語った中村六段。
しかし、羽生棋聖のイメージと重なるのは
同じ八王子将棋クラブで腕を磨いたし小学生時代まで。
学業も優秀だった中村少年は
早稲田実業中等部~早稲田実業を主席で卒業し、早稲田大学政経学部へ。
大学時代には
論文コンクールにて優秀な成績をおさめ「政経スカラシップ」 を受賞。
また「アジア国際学生将棋交流企画」 というプロジェクトにも
スタッフとして運営に参加。
将棋以外の経歴だけでもすでに圧倒的な中村六段ですが
学問、社会活動に精を出しながら、高校3年生の春に三段リーグを突破 し
四段、プロデビューを飾りました。
プロデビュー後も安定した成績を残していた中村六段ですが
大学卒業を果たした前期、連勝につぐ連勝で怒涛の大ブレーク。
昨シーズンの成績は57戦40勝7敗。
勝利率.851は羽生棋聖の記録を抜き歴代2位。
(歴代1位は中原誠十六世名人の.855)
順位戦はC級2組で10戦全勝 。
今期よりC級1組昇級を果たしました。
夏場に12連勝、年度をまたいで15連勝を記録するなど
とにかく勝ちまくった中村六段。
今期もここまで
11戦8勝3敗(.727)とハイスコアをキープ。
ただ、開幕6連勝の後
棋聖戦の前哨戦となった第6回大和証券杯/1回戦・羽生棋聖戦 で
初黒星を喫して以降は2勝3敗と黒星先行中。。気なるところであります。
ということで
世代の違いもあり、羽生二冠の後継者というイメージは描きにくく
現代的な超エリートという意味では、同じ早稲田大学出身で
中学生の頃から学業もずば抜けて優秀だったという広瀬章人七段に
イメージのだぶる中村六段。
予選リーグで渡辺明竜王 、挑決で羽生名人(当時) を連破し勢いにのり
初めてのタイトル戦で王位奪取に成功 した広瀬七段に続くことが出来るか
実に興味深く、また期待を一身に浴びてのタイトル戦登場となりました。
広瀬七段は主戦は振り飛車党ですが
中村六段は居飛車党。特に深浦康市九段との棋聖戦挑戦者決定戦 でも
投入した「横歩取り」が、現在の高い勝利率をの原動力となっています。
羽生棋聖との初手合いとなった
5月13日に行われた大和証券杯 、小林裕士七段とのNHK杯 では
不利とされる後手番で「横歩取り」を採用しており、相当の自信を持っている
ことは想像に難くありません。
どんな戦型でも苦にせず指しこなす羽生棋聖ですが
「横歩取り」はここ数年、主戦としており、今シリーズの鍵となりそうです。。
やはりそのあたり意識しているのか、5月に入り上記の大和証券杯以降
25日の丸山忠久九段戦、28日の桐山清澄九段戦 (非公式戦)
そして31日-6月1日に行われた第70期名人戦/第5局 で
羽生棋聖は「横歩取り」を立て続けに採用。
結果としましては
勝利は桐山九段戦(羽生棋聖は先手)のみで
丸山九段戦(同先手)、森内名人戦(同後手)は黒星を喫しており
この辺りもやや気になるところであります。
しかし、全勝優勝を飾った前期のA級順位戦では
構想を上回り、見事な勝利をおさめており
その研究、また経験値からいっても
準備に抜かりがあるとは全く持って思えません。。
羽生棋聖の今期ここまでの成績は
11戦7勝4敗(.636)。
初手合いはネット将棋での対局ということで
両者が盤を挟んで向かい合うのは明日がはじめて。
楽しみな開幕戦、どうなりますでしょうか。。