家賃滞納者は死ねというのか。家賃取り立て屋から日本の将来を考える | 借家人権利向上委員会

家賃滞納者は死ねというのか。家賃取り立て屋から日本の将来を考える

この記事の文責はsinoです。

普段はニコ生の中毒性にやられたり、ぐだぐだした生活を送っている自分ですが、たまにこういうことがあると熱が入ります。

フォーシーズの代表取締役である丸山輝が下記にリンクをはった自社のブログで「家賃の滞納者から日本の将来を考える」(2009年04月06日付)という記事を書いており、香ばしいことがたくさんあるので、ここで批判します。

「家賃の滞納者から日本の将来を考える」(2009年04月06日付)
http://www.4cs-sp.sakura.ne.jp/index.php?ID=475  キャッシュ

自分たちのブログに触れていると思われる、「ネット上ではモノを借りても返さない人が大手を振って自己の権利主張を繰り返しています。自分の義務を果たさずに、権利の主張を繰り返しています。」という記述もあるので、正確には反批判です。

その記事は多くのステレオタイプにとらわれていて、論理の飛躍が多く、とても読めたものではないですが、追い出し屋の首謀者が自論を展開しているという意味では貴重でもあります。
フォーシーズは家賃保証会社の「老舗」であり、全国に支社をもち、新入社員も積極的に募集している大手なので、彼らの行動論理や思考論理を理解し、批判し、内側から破壊することは大きな意味があると考えます。

丸山が記事中で言っていることは「家賃滞納者は意外に大勢いて、昔の日本人ではありえなかったモラルハザードが起きている。マスコミはまともに取材もせず、滞納者と結託して一部だけを切り取って報道し、日本人のモラルハザードを助長しており、許せない。」といったところです。

義務を果たしてないのはおめーだよ。

まず、指摘しなければならないのは、このブログでも再三にわたって指摘している違法な違約金の徴収についてです。 フォーシーズは、2007年当時、家賃を1回でも滞納した場合には、自動的に契約が更新されるとして、「更新保障委託料」の名目で1万円を徴収していました。これは実質的には違約金の意味をもっており、支払期日のある金銭への利息制限を設けた消費者契約法に違反しており違法行為です。そして、違法なやり方で得た利益については民法703条の不当利得返還義務により、返さねばならない義務があります。つまり、フォーシーズは元契約者を含む違約金を、徴収したすべての契約者に対して返還しなけらばならない義務があります。
契約書に書かれており、実際に徴収された方が何人もいらっしゃることからも違約金の徴収は明白な事実です。そして、すでに現在の契約書からは条項を削り、この名目での徴収をやめていることからも、違法な違約金であることを認識していると思われます。

民法
(不当利得の返還義務)
第703条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う

フォーシーズは、入居者の無知に付け込み、違法な条項でとってはいけない金銭を徴収しておきながら、違法性を現在では認識しながらも、いっさい事実を公式に認めることもなく、返さなければならない義務を無視し続け、自分の行動を正当化し続けています。

丸山さん、「ネット上ではモノを借りても返さない人が大手を振って自己の権利主張を繰り返しています。自分の義務を果たさずに、権利の主張を繰り返しています。」というのなら、
それはまずおめーだよ。


このようなことをいいたいのなら、全国の被害者に対して、違法行為をしたことを謝罪し、全額を返還し、まずは自分たちの義務をしっかりと果たしてからいうのが筋ではないでしょうか。

モラルハザードを憂慮するのなら、フォーシーズのような違法業者が大手であり続けているこの事実こそが、まさに憂慮されるべき事態というべきでしょう。

論評に値しないメディア批判

メディア批判について丸山は多くの割合を割いています。
「自らが滞納者であるマスコミ関係者などが、取材をきちんと行なわずに一方的に悪意に満ちた記事を書くのは如何なものかと思います。」などと、どうやって調べたんだと、記事を書いた人間が滞納している事実を証明できんのか、と突っ込みがいのあることも書かれています。

それから、該当ブログではフォーシーズ敗訴の福岡事件についても触れています。
「しかし昨年、一人の方から訴えを受け、弊社からその方への5万円の支払い判決が今年になって出ました。もう2年前の家賃滞納者との交渉でしたが、このお客様とは話しが長くなり、未明になった為に精神的苦痛を与えたとして100万円の請求に対しての5万円の判決でした。司法関係者が内容を確認すれば弊社は敗訴ではないことは明白なのですが、マスコミは売れる記事を書く為に、全ての内容を書かずに一部だけを切り取って書きました。」
と福岡簡裁の敗訴判決についても「弊社は敗訴ではないことは明白」などと意味不明の判決批判を行っています。これは、後にも書く法令順守意識の欠如にも通じます。
このような姿勢で、判決自体をしっかりと受け止めず、代表取締役が無反省の態度を示し続けていることは大きな問題かと思います。ちなみにこれは確定判決ではなく、まだ地裁で控訴中の事案なわけで、こういったなんら反省していない姿勢が今後の裁判に影響をあたえることだってありえるんじゃないでしょうか。
福岡や今後フォーシーズに対して訴訟を起こす弁護団はしっかりと丸山の責任を含めて追及していただきたくお願いしたいですね。

フォーシーズに賠償命令!!!!
http://ameblo.jp/knockout-smile/entry-10210878822.html

丸山の頭の中をのぞいてみる

ただ、このように相手の違法性やらをつくだけでは、彼らの行動論理を破壊させるにはまだ不十分です。
そのためには、なぜ彼らが「『家賃滞納者』から日本のモラルハザードを憂慮し、自分を省みることなく強引な取り立てを正当化し、『正義』だの『誠実』だのとほざくことができるのか」を考えねばなりません。

丸山のブログ記事から、丸山の頭の中をのぞいてみると、彼がステレオタイプ化された思考様式で単純に図式化されたイメージをもっていることがわかります。

たとえば、

しかし、昨今では悪質な入居者(悪質な日本人)が増え、ビルオーナーがノイローゼになってしまうような状況になり、我々に助けを求めているのです。

といった文章からは、「悪質な入居者=悪質な日本人」とされていて、なぜか外国人(非日本人)の入居者が落とされています。彼は、外国人には滞納者がおらず外国人には「善良な外国人」しかいない、といいたいのでしょうか。おそらくそうではないでしょう。単に、彼には外国人が見えていないだけなのです。人は実際には見えているにも関わらず、思考形式に入らないものは見えないことがままあります。自分の図式にそぐわないものを見えなくすることで、単純化された論理はより単純化し、結果としてその論理はより強固なものとなります。

「悪質な入居者」と「健全な入居者」という2項対立についても同様です。

企業理念に則った、「人が煩わしいと思う事、やりたくないと思う事」を行うスタッフであり、とても好人物な人達ばかりです。弊社のスタッフに接した人は決して弊社スタッフを悪くは言いません。(悪質な家賃滞納者は別です)

上記文章では、「悪質な家賃滞納者は別です」とこのラインをわざわざ留保として入れることで、発露された悪意は相当なものです。よほど家賃滞納者が嫌いなのでしょう。ここで見れるのは、大家にとっては、「人が煩わしいと思う事、やりたくないと思う事」を行う従業員は、人が忌避する仕事をやっているから好人物であるという評価であり、一方で、滞納者に対しては、同じ従業員がひどい取り立てを行うことから、悪く言うという当たり前の事実です。「人が煩わしいと思う事、やりたくないと思う事」が本当にそうなのかという考察はとりあえず差し置きます。同じ従業員が同じポリシーで動いていたとしても、入居者の状態が変わることで、従業員が執拗な取り立てを行い、そのことにより同一人物に対する評価は変わるのです。入居者の様態はつねに流動的であり、従業員の評価についても常に同じではありえないという当たり前のことが完全に見過ごされています。 つまり、この文章から読み取れるのは、丸山が、動的なものに対して、固定的に決めつけた評価を行う人物であるということです。

イメージの固定化による論理の陥穽は見過ごすことはできません。本来は動的な様態であるはずのものを、「健全」と「悪質」に分別して固定化し、2項に対立させることで、入居者すべてへの批判については行っていないというジェスチャーをしつつ、一方的に「悪質な入居者」を作りだすことで糾弾する。わざわざ留保を入れたことで、レッテル張りによる差別意識に基づいた固定イメージをもつ丸山の悪意はより鮮明に暴露されました。むしろこの文章の正確な読解は、一見好人物であるとされている従業員であっても、一度でも滞納した場合には、豹変し、執拗な取り立てを行うぞという恫喝なのです。

フォーシーズの恫喝的執拗な取り立ての実態についての詳細はこちらを。


やつらの正義を内側から食い破る

フォーシーズは社是として「正義」だとか「誠実」だとかほざいています。大学を新卒で入社した新入社員はそのまま飲みこんで、その社是通りに動く自動機械となり、過激な債権回収に走ります。

家賃を払わないなんて、昔の日本人ならとても恥ずかしい事ですし、借りたものを返さないなんて大いなる悪です。

この文章で言われているのは、家賃滞納者に対しての倫理の水準での侮辱です。倫理の水準というのが重要で、社会的に定められたルールである法律という水準ではなく「恥」や「悪」という道徳を持ち出してきている。
これはもはや信仰です。
このことからみても、彼らにコンプライアンスを期待するのは難しいでしょう。このようなことを社長が堂々と言っているということは、「自分の会社は法律よりも道徳を優先します。法律は必ずしも守りません」といっているようなものと同じです。これは非常に危険なことではないでしょうか。

それを踏まえた上で、彼らの信仰はこういったものです。
家賃滞納者は「不正義」であり、その不正義を糺すのが「正義」である自分たちだ。人はそういった面倒なことをやりたがらないが、だからこそやる自分たちは誠実だ。
なにが正義かを一方的に決めつけて、正義だと名乗る集団が「不正義」を侮辱し追い詰める。この構図自体は特に珍しくもありません。

住居の喪失は深刻な事態をもたらし、賃貸人と賃借人の立場があまりにも違うことからバランスをとるために借家人保護の法制が判例により制度化されています。つまり、数ヶ月の家賃滞納では信頼関係を破壊したとはみなされず、住居を追い出すことはできません。しかし、彼らにとってはこんなことは百も承知で、だからこそ、「恥」だ「悪」だのと言い立てて倫理の領域に踏み入って責め立てる。そもそも先にも言ったように、彼らに法律順守を期待するのは難しい。

だからこそ、はっきりと言っておかねばなりません。

人や社会の多様性に目を向けることなく、一方的に正義を押しつけ「不正義」を侮辱するのは大いなる悪です。

この文章の自己矛盾について多くの人が気付くでしょう。
しかし、相手が倫理の領域で話をするのなら、あえて自分も倫理の領域に入りましょう。
丸山の土俵にそのまま乗るなら、もはやそこには倫理的な対立しかない。

けれども、倫理では割り切れない問題が残ります。
最後に、丸山とフォーシーズ社員にはこの問を投げかけましょう。

家賃滞納者は死ねというのか。


27日はフォーシーズの支払期日です。
今日も全国で、フォーシーズ社員による着信がずらーと並ぶ絶え間ない電話攻撃や強引な取り立て行為に苦しむ多くの被害者がでるのではないかと思うと気が気でなりません。
強引な取り立てをやめさせたい、支払った違約金を取り戻したいという方は下記メアドまでご連絡を。
syakuyanin@gmail.com
ご相談にのります。がんばりましょー。