teddy bear 後編 | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。



あの日。

あなたの言った言葉。





“次にお前が目覚めれば枕元にはステキなプレゼントが置いてあるよ。”





あなたがこの言葉を残して私の前からまた姿を消してからどれ位たったのかな?
今でも私はあなたを待ち続けてるよ。


あなたの残したあの大きなクマのぬいぐるみと一緒に。


ねぇ、また待ってていいんだよね?


絶対戻ってきてくれるよね?


いつか今度こそ二度とあなたがどこにも行かないって信じられる日が来るでしょ?


あの言葉は、私に少しだけ勇気をくれて。


少しだけ・・・


私を哀しくさせる。



teddy bear  後編~HAPPY END~






ツーツーツー・・・



何度この冷たい電子音を耳にしたんだろう。

私に何も言わずいなくなったって事は自分の消息を知られたくない・・ってことだよね?

あなたと私を繋ぐ唯一の携帯電話。

それさえもあなたは断ってしまったのね。

繋がらないと分かっているその電話番号を何度押したか・・・・


もう覚えてない。


こんなにあなたの声を聴けないのは初めてだね。

いつかのあの頃でさえあなたはたまに電話をしてくれてたもんね。



もう一度繋がる日は来るの?



一人。
部屋のベットに寝転がって携帯を耳に押しつけて。
規則正しい電子音を繰り返し繰り返し聞きつづける。
あのぬいぐるみを抱き締めて。


「なんで・・・なんで何も言ってくれなかったの?」

「今・・どこにいるの?」

「早く帰ってきてね。」

「私ちゃんと待ってるよ?」

「・・・・声くらい聴かせなさいよ?」

「また学校来なくなって・・・新一卒業できないよ?」

「みんな心配してるのに。」

「課題また溜まっちゃうよ?」

「ノートだってもうとっておいてあげないからね?」


返事が返ってこないことは分かってる。
けど口にしないと自分の中で爆発しちゃいそうで。


「ねぇ。」


ぎゅっとぬいぐるみを抱き締める。
















「もぉ・・・私無理だよ。」
















「あぃ・・・、っ。」
















「・・逢いたいよぉ。」
















相手に伝わるわけでもないのに。

ただ大きくなっていくのは逢いたい想い。

あの頃のような


自分をささえてくれる特別な存在も今度こそいなくなってしまった。



頬には涙が次々と零れ落ちていって。



:::



日が沈み始めた頃。
事務所をそっと覗くとお父さんは相変わらず机に顔を押し付けて夢の中。
テレビはつけっぱなし。
お父さんが起きない様に静かにリモコンを手にしてテレビを消す。


「お父さん・・・ちょっと出掛けてくるね?」


お父さんの肩に毛布を掛けてそう囁いて。

私は急にぬいぐるみを抱いたまま家を出たの。


目を赤くして大きなぬいぐるみを一人で抱いて。


道端ですれ違った人は不思議に思ったろうな。



行きついた所は新一が私を抱いて優しい哀しい言葉を残して出て行った家ー・・・・


門を開いて玄関に行きつく。
前に貰った合鍵。
鍵穴に差し込んでゆっくり回す。
カチッとう音が鳴るのを確かめてドアを開く。
人が住んでいる感じがなくて冷たい家の中。
靴を脱いで一歩踏み出す。
階段を上がって新一の自室まで。
窓から夕日が差し込んでいる。
ドアを静かに閉めて。
目を瞑ってその場に佇んだ。


少したってから今度はベットに近づいて。
枕元にぬいぐるみを置いて。
床に足を座らせてベッドに顔を乗せた。
腕に顔を預けてぬいぐるみを見つめた。



「またここに帰ってきちゃったね。」


「ご主人様はまだ私達を置いてけぼりにするのかな?」




顔を起こしてぬいぐるみの頭をそっと撫でる。




“次にお前が目覚めれば枕元にはステキなプレゼントが置いてあるよ。”




「本当にステキなプレゼント・・・。」


穏やかに笑って。


「でもごめんね?」

「私、君と一緒だと・・・・。」



「辛いの・・・・哀しくなっちゃうの。」



「こんな弱い私を許して?」



目に涙を一杯に浮かべて首を傾げて。



:::



日が完璧に沈んで。

暗闇が世界を支配する。

ここにいたらソレに飲み込まれてしまう。


「そろそろ私帰るね?」

「置いてくけど・・・また逢いにくるよ。」


起きあがってカーテンに近づきながらもう一度携帯を手にする。

覚えてしまった11桁の電話番号を押して。

また耳に響くだろうと思う電子音を思い浮かべる。





TRRRRR

TRRRRR





「え・・・?」


カーテンを閉めようとした手が震えた。



繋がった・・・・・?



緊張する。

手が震えて携帯を落としそうで両手で握り締めた。



“次にお前が目覚めれば枕元にはステキなプレゼントが置いてあるよ。”



『・・・・蘭?』



ふっ足の力が抜けてその場に座り込んでしまった。



ずっと・・ずっと・・・聴きたかった声。



『・・蘭だろう?』


「・・・・・・。」


何か言わないと・・と思っても口が動かなくって・・・・。




「・・・・ぃ・・逢いたい・・・・。」




涙が溢れ出して・・。


やっと言えた一言。


顔を掌で覆って。


精一杯口にしたこの一言。




『・・・・・・・・今・・どこにいるんだ?』


新一の心配した声。


「・・・ぃぇ・・・し・・しん、新一の家・・・。」


涙が邪魔して上手く喋れない。




『え?・・・・今行くから・・そこにいろよ?』


「・・・・・・・ん。」


新一。


新一。




バンっという大きな音が耳に入ってきて次に荒荒しい足音が階段を一気に駆け上がる音がした。



バンッ



振り向くとはぁはぁと肩を上下にしている新一がいた。


「蘭・・・。」


「し・・・新一ぃ。」


新一を求める様に手を一杯に伸ばして。

フと身体に優しい感触がした。

一番安心するあなたの腕の中。

これでもかという程新一の背に回した手に力を篭めて。


「なんで・・・なんで何も言わずに置いてけぼりにするのよ。」

「ごめん。」


ごめんなんて私は望んでなんかない。


「いくら・・いくらステキなプレゼントでも新一の代わりにはならないんだからね?」


「新一じゃなきゃ・・・私・・・駄目なんだよ。」


「蘭・・・・蘭聞いて?・・・・全部話すから。」


:::



新一の身体はコナン君の身体と本来の身体になる変異を繰り返してきて大分弱っていて、
やっと出来た完成品を飲んだら本当の身体に戻れても生死の瀬戸際をさ迷うだろうと宣告を受けていた。
実際に飲んで元の身体を取り戻したが実は身体にかなりの負担がかかっていて、
あんなに普通に過ごせていたことが不思議なくらい。


でもクリスマスのあの頃、やっぱり身体に異変が起き始めてたみたい。
それを私に知られないために私と少し距離を置いていたって。
そんな時志保さんから外国で手術を受けてみないかと言われたんだって。
その手術を受ければもう死と向かい合わせの人生でなくて済む。
もちろんその手術が成功すればの話。
その話を聞き入れるか本当に悩んだって。
私に相談すれば、もし自分になにかあった時、私を哀しませてしまう。
何も言わずに私の前からいなくなれば蘭は自分の死を知らずに済む・・・そう思ったって。
そして手術が成功して本当に工藤新一として今まで通り生活が出来ることになってこうして戻ってきてくれたんだって。

なんともいえない気持ちがこみあげてくる。


どうして?


無事帰ってきてくれたのは嬉しい・・・でも。


それよりも・・・・私は・・・・



「ばか・・・何も言ってくれないほうがもっと・・もっと辛いんだよ。」


「ごめん。」

「もう一人にしないって言ったのに・・・・。」



「・・・ごめん。」



「なんで、何も言ってくれなかったの?私ってそんなに頼りにならない?」



「そうじゃない・・・おうお前のこと悲しませたくなかった・・・・。」



「ばか・・・新一はばかだよ。」




あんなに人のことを探るのが得意なくせに・・・。

どうして私のことはちっともわかってないんだろう。



「ごめん・・・。」



「謝らないで。」



「・・・・・・。」



「謝るくらいなら、思い知らせてよ。」



「・・・・・蘭?」



新一の服を掴んで。


ぐっと力をこめる。



「私は新一のモノだって・・・ずっと一緒だって・・・・思い知らせて・・・・?」




涙で目がいっぱいになる。



見上げた先の新一の顔が滲んで見える。


もったいない、そう思うのに止まることを知らない。




「・・・・・・・・うっ。」




込み上げるものに耐えられなくて声が漏れそうになった時・・・


ふと暗くなった気がして、次に唇に柔らかな感触が落ちてきた。




「・・・・・俺は蘭のモノだよ・・・・絶対に、もう二度と離れたりしない。」




その台詞を聞いて私たちはもう一度口づける。



お互いの存在を確かめるように。




触覚で、視覚で、嗅覚で、味覚で、聴覚で感じて。




ここにいる。




そう思い知る。





あなたの腕の中であなたの温かさを感じて。


大きな掌が髪を撫でくれる。




「もう・・・今度こそ本当にどこにもいかないよね?」



「あぁ・・・もう蘭一人置いてどこにもいったりしない。」




“次にお前が目覚めれば枕元にはステキなプレゼントが置いてあるよ。”




目覚めた私の枕元には、


大きなクマのぬいぐるみ。


ステキなステキなプレゼント。


そして私はやっとハッピーエンドの主人公になることが出来ました。




Fin---






:::後書き

2005.01.06. 作品


うわーーーー。

恥ずかしすぎる。

なんだこの無理やり感・・・

ない・・・ないぜ、これ。


痛いなー・・・

最後とか超いいかげん!笑


でも修正する気分にもなれなかったからこのままUP!

ごめんなさい!!



2010.12.25 kako



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