拝啓、赤い君。 | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。



メリークリスマス。



あなたはそう言ってほほ笑んだんだ。





私の好きなあの優しい笑顔で。







拝啓い君。







好き




お互いのその気持ちを確かめあってから初めてのクリスマス。



それはそれは楽しみにしていた。






けれどその期待は呆気なく打ち砕かれた。





夕べから何着もの服を合わせてはベッドに放り投げやっとのことで決まった服を身にまとって、慣れない化粧にもあなたに少しでも可愛く思ってほしくて挑戦した。

髪の毛もいつもより手間をかけてトリートメント。


全てあなたのため。




それなのに、あなたは今私じゃなくて遠くの誰かさんからの電話に夢中。



約束のカフェで落ち合ってから数分もたたないうちのラブコール。




「・・・はい、工藤です・・・・あっ目暮警部!はい・・・・はい・・・・・えぇ・・・・それで?」




ねぇ、私はそんなに魅力がないですか・・・・?



事件の話を真剣な表情で頭に入れていくあなた。



事件じゃなくて私を入れてよ。



私、今ここに存在している?





ねぇ、今日はなんの日かわかっていますか?





なんで、こんな人がいいんだろう。


泣きそうだ。




でもわかってる。




あなただから・・・・だよ?





はぁっとため息。




カフェのホール内に置かれた少し大きなもみの木はいろとりどりのオーナメントが飾られてとても綺麗。




その輝きに目頭が熱くなる。



今日は恋人のための日ではないのでしょうか?



幼いころ、思い描いていた恋人同士のクリスマスはこんなにも呆気ないものなのでしょうか。




「はい・・・・えっ?今からですか?・・・・・はぁ・・・・・。」




ちらっとこちらを伺う新一。




バカ。




察してよ。





携帯電話を取り出してメールを作成する。




そして完成した文を彼に見せた。





(・・・・・行ってくれば?)





その文に「いいのか?」


と携帯の口を押さえて問いただしてくる。





はぁ。



またため息が出る。



それでも探偵なの?





ねぇ・・・

今、ここで私が泣いたらどうする?






(勝手にすれば?)




またメールに打って返す。




「・・・・蘭?」




口を開こうとしないその行為にさすがに何か感じたのか少し下手に出た声が名前を呼んだ。





(・・・・・私なんかより事件の方が大切でしょう?)




また携帯の画面を見せる。




「・・・・・・。」




(・・・・早く行きなさいよ・・・・。)




だんだんと携帯をうつ指に力が入らなくなる。




楽しみにしてたのに。




ずっと・・・・・




あなたと二人のクリスマス・・・・夢みていたのに。






こうも一方的なのならば・・・・何も変わらないじゃない。






ねぇ・・・・




ねぇ・・・・









これが最後・・・・




ごめんね。





でもこれだけは言わせて。




少しだけ正直にならせて。






だって・・・私はあなたのー・・・









(・・・・いかないで・・・)








俯いたまま携帯だけあなたに向けた。






新一の顔が見られない。





だめだ。



溢れてしまう。




折角のお化粧も無駄になっちゃうね。







ぐっ





携帯を持った手を急に掴まれた。




え?と顔を上げると・・・・・





「・・・・すみません・・・・・今日だけはどうしてもはずせない用事があるので・・・・失礼します。」





ピッ





そう言って耳に当てていた携帯を閉じて机の上に置いた新一。






「・・・・・・んで・・・・・なんで?」






「・・・・・お前が行くなって言ったんだろ?」






「何よ・・・・・私の・・・・せい?」






突然のことでもう、頭も顔もぐちゃぐちゃ。






「違うよ・・・・俺の意思。」





「全然・・・こっち見てなかったくせに。」





「・・・・・・ちげーよ・・・・・お前がいつもと違うから・・・・・その・・・・・。」





「違うから何よー・・・変だって言いたいの?」





何よ、乙女心わかってない!!!





「バーロ!・・・・かっ・・・・可愛くて・・・・照れちまうんだよ。」




「・・・・・・へ?」





そっぽをむいて小さく告げられた一言。





え?



え?





新一の頬が赤い。




「だーーー!言わせんなっ・・・!!」





そのままテーブルに肘をついて顔を隠す新一。






私の頬も熱い。





でも・・・・・





なんだろう、この気持ち。





胸が一杯だよ、新一。





「・・・・・俺だって・・・今日楽しみにしてたんだぜ?」




「え?」




「だって・・・・・その・・・・二人で過ごす・・・・初めてのクリスマスだろ?」




「・・・・・・・・・・っうん!!」





思いもしない言葉の数々に本当に胸がはちきれそうだよ。





あなたも一緒だったんだね。






「ホラ。」




突然目の前に出された長細いプレゼント。




「えっ?何?」




「本当は・・・・夜渡すつもりだったんだけどさ・・・・折角なら・・・・今の蘭につけてて欲しいから・・・・先に渡しておくよ。」




開けてみろよ?と促されてそっとそのラッピングを開けていく。




アイボリーのサテン生地の細長いケースが現れた・・・・



ドキドキする胸を押さえてゆっくりとふたを開くとー・・・





「わぁ・・・・!」




小さなハートのトップに微かに輝く宝石がバランスよく埋めこまれている。




「かわいい!・・・新一・・・・ありがとう!」




ネックレスを掌に大事に抱き締めてお礼を告げると。





「メリークリスマス。」




と優しく微笑む新一。



ドキッと胸が高鳴る。





恋人になるまでは彼のそんな表情見た事がなかった。




そうやってどんどん増えていく知らないアナタ。




たくさんのアナタを見てきたつもりでいたのに・・・



まだまだ知らないアナタが存在して・・・その度にまた胸が跳ねる。




こんなに胸が苦しくなっていることアナタは知らないでしょう?

こんなに想いを重ねていること知らないでしょう?

こんなにアナタで一杯なこと知らないでしょう?




首元でキラッと輝くネックレス。





「・・・・似合ってる。」





ほら、また。





私はこうやってこれからもあなたに翻弄されていくのね。





普段のあなたからは出てこない言葉に戸惑ってしまう。



でも嬉しくて。



ただ、嬉しくて。




この気持ちどうすれば全て伝わるのかな?




まだまだ恋愛初心者の私にはうまい考えが浮かばないけれど。



必死に考えるから。




だからその時はまたそうやって笑ってね。







「・・・・新一・・・・メリークリスマス。」









FIN



:::あとがき



あれ?


おわり?



おわりです。


まだまだ付き合って最初のぎくしゃくな二人をイメージしてみました。



結構大人な二人を妄想しがちだけど・・・


最初はこんな感じだと思うんですよね。

それにまだ高校生だろうし・・・


高校生・・・・随分懐かしい響きだ・・・



あーーかえりてーーー学生にもどりてーーーー!!



恋してーーー


制服デートしてーーー


制服で手つないで帰りてーーー!!



学生ってなんて素敵な響きだろう。



妄想のオアシス!!




あーーーいいなぁ・・・・


新一君と蘭ちゃんはこれからが楽しい時なんだよなーー



いいなーーーーあーーーもーーーーいいなーーーー




すみません。


取り乱しました。



さて・・・



もうすぐ今日が終わります。



なんだか毎年クリスマスがあっという間に感じます。


とくにことしはあっという間だった・・・・




とりあえずクリスマス的なものが書けて良かったです。




皆さまはどんなクリスマスを過ごしたのでしょうか・・・?



どうかどなたさまにも小さな幸せが訪れていますよーに・・・



kakoより、愛をこめて・・・



ハッピーメリークリスマス。




2010.12.25 kako


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