片恋08.無理やりにでも見て欲しかった | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。


0 8 . 無 理 や り に で も 見 て 欲 し か っ た



“こうするしかなかった。”


というのは卑怯で。
間違ってる。


きっと。


もっと違う方法があった筈なんだ。


あの時の俺は子供過ぎて。


愛の伝え方さえ、何一つ知らない。


時間を戻せるのなら・・・・。

けれど、あの時に返った所で。





正しい愛し方なんてきっと分からない。





:::





今日も空が青い。
快晴だ。
こんな日は・・・・・・・。


「それでは次の問いをー・・・・ん?」


つまらない授業等聞いてる場合ではない。


「・・・・随分大きな欠伸だな、工藤この問い、いってみよーか?」


丁度教室の中心の席で見ている人もつられてしまうほどの見事な欠伸をかました俺。
当然、先生に目を付けられる事間違いなし。
まーしょうがない。
と、黒板に書かれた問題を見つめて3秒。


「11Xの二乗です。」


先程までもちろん授業を聞いていましたという感じに堂々と言ってやると先生は悔しそうな顔をしながらも、「正解」と言いながら苦笑して黒板に目を移した。

俺もまた空に目線を移す。
やっぱりいい天気だなぁ。
ふと窓に写る授業風景の中の誰かと目が合った。


それは、こんな晴れた空よりも沢山の心地よさをくれる人。


首を戻して、斜め前の彼女に目をやる。
すると、彼女もコチラを見ていて。


「バカ。」


と口パクで言われたのが分かる。
彼女はすぐさま前に目線を戻してしまったので何も言い返す事は出来なかった。





キーンコーンカーンコーン・・・・・


「たくっ!あんな目立つ席でよく堂々と欠伸なんて出来るわね。」

「しょうがねーだろ。だいち欠伸は自然な生理現象・・・無理して止めると体に悪い。」

「・・・・正論言ってる様に聞こえるけど、それはヘ・リ・ク・ツっていうのよ!」


授業終了と同時に先程目の合った彼女、つまり蘭と会話を交わした。
一見喧嘩のような、とにかく子供のような言い合い。
けれど、そんな事が嬉しいと思ってしまうのだから重症だ。



俺、工藤新一は、ずっとコイツに・・・・・・・








恋してる。








そんな蘭とは今現在進行中で昔からの幼馴染のままだけど。


けれど、1年前の俺達とはきっと違う。





---・・・・俺はコナンになって、沢山の事を知って気づいた。


コナンになった事を悔やんだ事は数え切れない程・・・けれど、同時にコナンという存在になれた事に感謝する事も同じ位あるんだ。


その中でも一際俺にとって大きな出来事といえば・・・・・・・





「ちっちゃい頃からいじわるで・・・いつも自信たっぷりで・・・推理オタクだけど・・・いざという時に頼りになって・・・勇気があって・・・かっこよくて・・・わたし新一が・・・だーい好き。」





そう言った後、新一には内緒だよと照れたように話す蘭の事は絶対忘れないだろう。
多分、蘭の気持ちを聞けないままだったら俺は昔の曖昧な関係をずっと保ち続ける事しか出来なかった筈だ。


このお陰で今俺は自分の想いを蘭に伝えようと決心出来たんだ。


けど、好きな女の気持ちを知るまで“好きだ”と言えない俺。


情けね。


「ねぇ、今日もお弁当ないんでしょ?」

「へ?・・・あぁ、ないけど。」

「じゃーコレ・・・・・オカズ作り過ぎちゃったから。」


目の前には可愛らしい柄に包まれた明らかに男物サイズのお弁当。

蘭の顔はちょっとピンクかった。


「食っていいのか?」


そう問うとコクンと頷いた。


「サンキュ。」


と言って受け取ると凄い勢いで言葉が返ってきた。


「いっ・・・言っとくけど、わざわざ作ったわけじゃないからね!たまたまよ!!」

「・・・・・・・わかってるって・・・ありがとう。」

「・・・///っ!?」


ずるかっただろうか?
照れ隠しなのか分からないが目線を泳がせて舌を噛みながら話す蘭に、蘭の苦手な俺の笑顔を向けてお礼を言ってやった。


この時。
蘭は俺から目が逸らせない。


「じゃっじゃー後でちゃんとソレ返してよね。」


蘭は赤い顔を隠して俺に背を向けた。


ここで行かせるな!!


何故かその時そう頭に過ぎった。


そして俺は咄嗟に手を伸ばして蘭の腕を掴んだ。


「なっ・・・何?」


蘭は驚いた顔で俺を見上げる。
俺が聞きたい。
俺、どーする気なんだ?


「・・・・一緒に昼飯食おーぜ。」

「えっ?・・・・え?」


俺は蘭の腕を掴んだまま教室を出た。
その直後教室から雄叫びが聞こえてきたのはいうまでもない。


「・・・ねぇ、どうしたの?」

「どうもしねぇよ。」

「だって・・・・。」


蘭はそのまま口篭もってしまった。
蘭が不思議がるのも無理はない。
俺自身、自分の行動に驚いているのだから。


「どこで食べるの?」

「・・・・・・。」


そっと足を止めた。
俺達の前にある部屋の名前は。


「・・・・物理室?」


蘭が読み上げたのを確認するとドアを開き中に進んだ。
しんとした物理室には黒い机が並んでいる。
俺は日差しが差し込んでいる窓に一番近い席に弁当を置いた。
蘭も何も言わず机の下から椅子を取り出し其処へ腰を下ろした。


誰もイナイ。


「ここって鍵掛かってないのね。」

「昼休みは開放されてるんだよ、あんま知られてナイケド。」

「へぇ・・・・。」


そんな会話を始めに俺達は食事をする。
途中弁当のオカズを誉めると蘭は嬉しそうに微笑んだ。
背中に当たる日差しが優しかった。


「新一と一緒にお弁当食べるなんて高校入って初めてじゃない?」

「そうだっけ?」

「そうだよ・・・何か変な感じ。」


蘭がお茶を口にして静かに言った。


「嫌?」

「そういってるわけじゃないよ・・・ただ、慣れないな・・・って。」

「俺は前からこうしたかったんだけどな。」

「・・・・えっ?」


蘭のお茶の入ったペットボトルを持つ手が微かに震えた。


・・・・・そろそろ言わないと、とは思う。


けれど、どう言っていいのかわからなくて。


身体が元に戻ったら真っ先に伝えようとしていた筈なのに、結局言えない日々が重なって。
新一に戻ってからもう一ヶ月近い。
俺は本当に何をしてるんだ。
でもどこかでは不安なんだ。
それが邪魔してる。


コナンになったばかりの時に聞かされた蘭の気持ちは、今も変わらないのだろうか。


一体どれだけ俺は臆病者なんだろう。
ただでさえ、一度は彼女から(聞いたのは本人であって本人ではないが)告白されているというのに。
それなのに・・・・・。


「新一・・・ソレって・・・・?」

「そのままの意味だよ。」

「そのまま・・・・・?」


その後俺が何も言わないものだから、蘭はどうしようもなくて、黙って立ち上がって窓のカーテンが束ねられている所にまで歩を進め空を見つめていた。


恋愛ってのは恐いよな。
どんなに昔確かな事があったとしても。
今もそうとは限らない。


人の気持ちなんて簡単に変わるんだ。


今はもう他の奴を見ているのかもしれない。

他の女が誰を見てようと関係はない。
けれど、蘭だけは。


無理やりにでも俺だけを見ていて欲しい。


だから恋愛は恐い。





こんな弱い俺にはこんな卑怯で馬鹿な事しか出来ない。








ガタッ





静かに立ち上がる。


「・・・新一?」


後ろにいた蘭に体を向ける。
蘭に影が落ちる。


「どうしたの?・・・・顔恐い・・・・・よ。」


よほど、俺の顔は恐いのか俺が一歩近づく度に蘭は一歩下がる。
ソレを何度か繰り返すと、カーテンの束ねてある部分に蘭の背中がついた。
もう後には下がれない。


「しっ・・・・・新一?」


そのまま蘭の体を追いやって、両腕で蘭を囲んで出れなくした。


「なっ・・・・何す・・・っん!?」


無理やりだった。
俺は何も言わないまま、蘭の唇を己のソレで塞いでいた。


当然蘭は驚いて抵抗を見せた。
けれど、この時の俺はそんなのお構いなしに続けた。
初めての彼女の唇の感触を味わっていた。


「ぃやっ・・・・・んっ!・・・新一ヤダっ・・・・・・・はなしっ・・・ん・・・ふっ。」

もちろんこんな行為は俺にとって初めてで。

それなのに、自然と行われるソレ。

やはり、本能なのだろうか?
本当いつもクリックありがとうございます。


蘭の嫌がる声にソソラレテイル自分がいた。
あぁ、俺もやっぱり男なんだと、呆れた。


左手で束ねられていたカーテンを解いてその中に俺達を隠した。


これで俺達は誰にも見られていない。
俺は蘭しか見ていない。
蘭は俺しか見ていない。


そのまま俺は蘭を堪能する。


だんだん蘭の抵抗が弱くなる。


トメラレナイ。


「しんいちっ・・・・。」


蘭の濡れた唇から漏れた俺の名前をスイッチに、俺はキスの先へと行動を起こそうとした。


その時はっとした。





目に入ってきたのは涙を流した愛しい人。


けれどその人はまだ、俺の恋人ではない。





彼女は酷く怯え、震えていた。





彼女に俺は何を・・・・した?





突然我に返って困惑する。
俺は今取り返しのついかない事をしようとしてる?
イヤ・・・もうしてしまった?





「ゴメン・・・・・・。」





「・・・・・っ謝るならこんな事しないで!!」





バシッ





目の前の彼女は俺の謝罪の言葉を聞くと眉間に皺を寄せて俺の頬に痛みを与えて泣きながら出ていった。



固まったようにその場に立ちすくむ俺。


頭の中には泣いて怒る君の顔。


今・・・・・何が起きた?





恋愛なんてものは分からない。
分かりたくても難しすぎる。
本能の思うがまま行動を起こしたら。





全て失ってしまう。





世の恋人達はどうやって恋愛をするんだろう。


どうすれば涙を流させずに愛を伝えられるのだろう。


子供の俺には何も分からない。



一番見たくない筈の涙を見てしまった。


今までにない位心の中は曇っているのに・・・・・・





窓の外の広い広い空は、果てしなく青かった。





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:::後書き


無理やりすぎるだろう。


ただそれしか言えません。


さぁ、この後の二人はどうなってしまうのでしょうか?

お楽しみにー?

2006.01.14 作品



2010.11.08 kako




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