25.思春期 | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。

25. 春期




一番近くにいる奴が。

なんとなくいつもと違う風に感じた。

なんだろう。

何度も何度も考えるけど。

なかなか答えは見つからない。


ソイツの行動・言動で俺は全て操作されている気がする。


やっぱり何故かわからず。

後少しの所まででかかっているはずなのに。

そこから先に出てこようとしない。


きっとそれは単純で。

当然の様なものを感じるけど。


・・・・結局わからない。


ただ。





一緒にいないと落ち着かない。




:::





中学2年の梅雨。


周りはジメジメとしていて“気持ち悪い”が口癖になる。

雨が続いてなかなか普通に太陽と会えない日々。

それでも気温は高くて嫌になる。

何をする気にもなれないそんな時期。


それでも俺の幼馴染とやらはなんとなく爽やか。


「今日もジメジメしてて気持ち悪いね。」

「ん?・・・・あぁ。」


登校途中。
約束をしている訳でもないけど。
朝時間が合えばなんとなく一緒に登校する毎日。


それをからかう奴らもいるけど、そんなのもうなれっこだ。


でもそう言いながら、どこかでちょっとだけ恥ずかしさをもっている俺。


だってそうだろ?


中学にもなれば・・・そりゃぁ男と女ってのも難しくなるだろうし。
いつまでも男女関係なく遊んでいた頃とは違う。


なんていうか・・・昔みたいに普通に接しづらいっていうかさ。


一応これも思春期って奴か?


それでも普通に他の男女と比べれば比較的俺と青子は仲がいい方なのかもしれないけれど。





でも困った事がある。


最近・・・青子の瞳が真っ直ぐ見れない。

話していてもなんとなく素っ気無くしてしまう。

でも一緒にいる事は嫌じゃなくて、むしろ嬉しい。

なのになんでそんな態度をとってしまうのか。



「ねぇ快斗、話聞いてるの?」

「えっ!?」


隣で歩いていた青子が立ち止まってそう言った。


「きっ聞いてたよ、おじさんが最近忙しいんだろ?」


咄嗟になんとなく耳に入ってきていた事を言ってみた。


「何よ、聞いてるんじゃない。だったら返事位してよ。」


わりぃわりぃと苦笑すると青子は頬を膨らませて怒った顔をしている。








・・・・・・・・・・可愛いな。








ん?

俺今なんつった?

可愛い?

誰が?




青子が?





いやいや、ちょっとまて。

落ち着け俺。


可愛いっていう言葉は何て意味だった?


一般的に簡単に言えば“愛らしい”。


例えば・・・・小動物とか?

赤ん坊とか?

子供とか?

うん、IQ400の俺に言わせればざっとこんなもんだ。


青子という単語は俺の頭の中の辞書ではその表現に当てはまりはしない。


じゃぁ・・・・なんで?





「・・・・・快斗。」

「・・・・・・・。」

「かーーーいと?」

「・・・・・・・。」

「ねぇ、快斗ってば!」

「うっせぇな!!今考え事してんだよ!!」


今の自分に焦って思わず大声を出してしまった。


青子はびっくりした顔をした後。


俯いて。





「な・・・・によ・・・何よバ快斗!!」


青子はそう言って俯いて走り出してしまった。

そんな逃げ出すほど怒らなくてもいいじゃねーか。


少し立ち止まったまま近くに落ちていた空き缶を乱暴に蹴飛ばしてから。


ジメジメした感覚プラスムカムカを抱えて学校へと歩を進めた。


:::


学校に着くと。

珍しく一人で机に突っ伏している青子がいた。

とりあえず先ほど急にどなったのはまずかったかな?と思いそちらに方向を向けた。


するとそれに気づいたのかふと青子が顔を上げてこちらを見た。


さっきは急にどなって悪かったな・・・と言おうとした途端青子は困った顔をして立ち上がって友人の集まりの方へと混ざってしまった。


突然の青子の行動についていけない。


ただ無償に胸元のムカツキが増した気がした。


一体何故?
梅雨だから?


でもそれと同時にどこか沈んだ。

まるで自分を拒否されたようで。





あーなんか今の俺達はおかしい。





:::





あの後もずっと青子と話すきっかけがなくて謝っていない。


それなのに何度俺は青子を探してしまったんだろうか。


今までにないくらい気になってしまって。


いつのまにか目で追っていて。


あんなあからさまに拒否的な行動を取られたのは初めてで。


ひとつ気づいたのはちょっと元気がないこと。


最近は青子の瞳が見れなくて青子をちゃんと見ようとしてなくて全く気づかなかった。


思い返せばなんとなく今朝もいつもと比べて元気がなかったかもしれない。


なんでだろうか。





そんな中他の男とは普通に話している青子を見つけた。


腹が立った。
悔しかった。
嫌でしょうがなかった。


・・・・あぁ・・・なんだかそれって。





今は6時間目。


未だどこかで青子を目で追っている俺。


やっぱり元気がない。


今にも深いため息をつきそうな。


そんな時。





ガラッ


「中森!」


急に教室のドアが開き学年主任の先生が青子を呼んだ。


みんな何事だ?とその行く末を見つめる。


会話の内容は聞こえないが青子の顔がみるみるうちに青くなっていくのがわかった。


これはただごとではないと思い、思わず席を立って青子のもとに走り寄っていた。


「青子!」


「・・・っ快斗!!」


俺が名前を呼ぶと青子は遠くから見るより更に顔を青くさせて俺の方に近づいてきた。





「かいっ・・・かいと・・どうしよっ・・お父さん・・お父さんが!!」

「えっ?」




:::




江古田医院----


「少し重い過労ですね。」

「過労・・・ですか?」

「点滴を打って2~3日安静にしていれば大丈夫でしょう。
でも無理はさせないようにして下さいね?」


「はいっ!!ありがとうございました。」


あの後青子にちゃんと理由を聞くとおじさんが仕事中倒れたという事だった。
すぐさま俺と青子は病院に向かった。
青子を一人で病院にいかせるなんてとてもじゃないけど出来そうもなくて。
先生に許可を貰って俺も付き添ったという訳だ。


そして病院につくなり先生におじさんの容態を聞いたというトコロだ。


とりあえず大事には至らないようで何より。


隣で青子が気が抜けた様に肩の力を抜いた。


それと同時に瞳から涙を零す青子。


「よかっ・・・良かったぁ・・。」


良かったなと返そうとしたら青子が続けて話したので言葉を飲み込んだ。


「・・・・最近・・本当に忙しそうで・・・無理してそうで・・・ずっと心配してたの。

お父さんがいなくなったらどうしようって・・・・すごく怖くて。

一人ぼっちになるんじゃないかって怖くて・・・・・怖くっ・・・て。」


青子は小さい頃に母親を亡くしている。
だから今家族は父親であるおじさんしかいない。
きっとお父さんが倒れたと聞かされた時は、簡単には表現できないほどの恐怖だったんだろう。


一人ぼっちになる事と向き合うのは簡単ではない。


隣の小さい肩は震えていて。





「・・・・青子。」





そっと手を握ってやった。


中学にもなって手を繋ぐなんて恥ずかしいと思っていたが。
その時は自然と。



青子も握り返してきた。


青子には笑ってて欲しい。

青子の涙は綺麗だけど。

悲しみで満たされた涙はすぐにでも止めてやりたくなる。

でも何をしてやればいいのかなんて俺にはわからなくて。

だから今は手を握ってやるだけで精一杯。





守りたい。





初めてそう想った。


「快・・・斗・・、ありがと。」


涙を軽く拭って笑った青子。


痛いほど。


胸が締め付けられた。





これではっきりとした。





気づいていたのに気づこうとはしなかった。


今ならはっきりと認める。


間違いなく。


黒羽快斗は。





中森青子のことが好きだ。





もうそれ以外に俺のこのジメジメとしたムカムカとした感覚の答えはないだろう。


好きだから、照れくさくて青子の瞳が見つめられなくて。
好きだから、照れくさくて反対の態度を取ってしまう。
好きだから、可愛いと思って。
好きだから、気になって。
好きだから、一緒にいられるのが嬉しくて。
好きだから、青子が他の男と話しているのがムカついて。





あぁーーーー悔しいけど、きっとどうしようもないほど。





好きなんだ。





「快斗もなんだか最近、青子と目合わせてくれないし・・・・嫌われてるのかな?って思っちゃって・・・・今日も青子と話しててもどこか上の空で、青子知らないうちに怒らせちゃったみたいで・・・青子は迷惑なのかな?とか快斗も青子から離れてくのかなって・・・本当に全部から一人ぼっちになるのかと思った・・・・。」





瞳を微かに潤ませてながら口にした青子の言葉に思わず慌てた。


そんな誤解を招いていたのかと。





「・・・・・・バーロ、迷惑なんて思った事ねーし、離れたりしねーよ。」





「本当?」


赤くなった目で見つめられて、思考が鈍った。


今気づいたばかりなのにもうすんげー、大事だなって思ってる。


「それに青子は一人ぼっちなんかじゃねーよ。」


「?」


「学校のダチだっているし、おじさんもいるし、うちの母さんだっている。

もちろん・・・・俺もな?」





にっと笑って言ってやると。


うん、うん。と青子は何度もうなずいた。





「ありがとう・・・快斗。」





今日ほど青子の感謝の言葉をしっかりと噛み締めた日はないだろう。





「ほらっおじさんに会いにいけよ!」

「うん!」




一番近くにいる奴が。

なんとなくいつもと違う風に感じた。

なんだろう。

何度も何度も考えて。

やっとわかった。

それは気づいてしまえば本当に簡単な事だった。

ちょっと成長した中2の梅雨の日々。




Fin---



:::後書き


2005年の快斗バースデー企画に応募した作品です。

なつかしす。

恥ずかしす。

痛々しす。


まーなんか、無理やりな感じ!


青子さんの母上さま・・・勝手にいない人にしてスミマセン。

本当のところどうなんだ?

生きているのか?

どうなんだ?

はっきりさせてくれ!


とずっと気になっているのは私だけじゃないはず・・・。
あれ?どこかで明らかになったっけ?


2005.06.21 作品


2010.11.08 kako






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