片恋09.物理的距離・精神的距離 | S w e e t 

S w e e t 

主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。



0 9 . 物 理 的 距 離 ・ 精 神 的 距 離




瞼が重い。


昨日は家に帰ってから一晩中泣き続けてた。


眠りにつこうと思っても、ただ悲しさが増すだけで、
涙が止まらなくて・・・・




「おっはよー蘭!!」


ポンッと肩に触れた手は園子のものだった。


「ちょっ!!どうしたの、その目!?」

「・・・・なんでもないよ。」


なんでもなんかなくないのに。
どうして、いつもその一言で私は片付けてしまうんだろう。


もちろん園子がそれで納得する訳ないんだけれど。


「新一君・・・・と何かあった?昨日お昼のあとからおかしかったよね?」


園子が足を止めて私の前に立つ。


「・・・・本当に何でもないの・・・遅くまで起きてたから・・・・ちょっとはれちゃったのかな?」

「何で隠すのよ!私たち親友でしょ?」


園子が私の両手を握って顔を覗き込んできた。
ちょっと怒ってる。
でも心配してくれてる・・・・そう感じる目。


「・・・・ごめんね?でも本当に大丈夫なの。」



園子の目が哀しく揺らいだけれど、私には打ち明ける勇気はなかった。


こんなに心配してくれてるのに・・・・全て話して、頷いて欲しい。
私の気持ちを知って欲しい。
けど、そうしたところでなんになるの?


園子は納得のいかない顔をして、でも何も聞かずに隣を歩いてくれた。
ごめんね。でも、絶対ちゃんと話すから。
今はそっとしておいて?



学校に着くと新一の姿はなく、HRの時間に新一が今日は休むというコトがわかった。



ちょっとだけ、ホッとした。


授業が始まって、教科書に視線を落として。

それでも頭に浮かぶのはアイツのコトだけ。




幼い頃からずっと一緒で。
一番近くにいたアイツ。


物理的に言えば二人の距離はとっても、とっても近いね。



けれどね、



心と、ココロは。




今、残酷な程に遠すぎる。



少し前まではアナタと私の物理的距離は遠かった。
覚えてる?


けど、私は思ってたんだ。


二人のココロと心は近くにあるって。


本当はさびしかった。



サミシクテ
サミシクテ

死にそうだった。



けど、そう思うことでどれだけ私に勇気が生まれたか・・・・



知らないでしょう?


精神的距離ってものがどの位すごいものかアナタは知らないでしょう?













私がどれだけアナタを想っているかなんて知らないでしょう・・??








ねぇ、どうして?



どうして近いはずなのに・・・・それなのに遠いと思わせるの?







・・・・・あのキスは何だったの?






私、アナタが帰ってきてくれて本当に・・・本当に嬉しかったのに。



最初はわけがわからなかった。
けど、ココロが見えたきがして、幸せになりかけてたのに。




なんで、そんなに辛そうな・・・・申し訳なさそうな顔で謝るの?





一気に目の前のキレイな景色が崩れた気がしたのよ。



何度も、ゴメンと呟いたアナタがフラッシュバックする。






近すぎてアナタのココロが見えない。


なんで、あんなコトできたのよ。







どうして・・・・・








アイツの真意を知ろうとせずに逃げ出したの?・・・・私は。




違うの・・・本当は怖いの。


アナタの本当の気持ちを聞いて、本当の〝距離”を知るのが・・・


怖くて怖くて仕方ないの。




今まで信じてた距離まで失いそうで嫌なの。


昔のアナタの前の強い私なんて所詮脆いガラスなのよ。

ちょっとでも衝撃を与えればあっという間に粉々。


今の私はヒビが入って、今にも破裂しそうよ。



あの行為は私にとっては、とっても凄いコトなの。


互いに想いの通じ合った“恋人”と呼ばれる人たちだけの許される行為だと思うの。


特別なの。


違うの??



あれはただのその場ののり?



私はそんなノリについていける程、慣れてないよ。



どこにいるかわからなかった間・・・・アナタは慣れてしまったの?




やだな・・・・。

なんだか私だけが子供みたいじゃない。




ずっと一緒に成長してきたと思ってたのに。





アナタのいなかった空白の時間はただ、私を不安にさせる。


おかしいね。
ちゃんと帰ってきてくれたのに。





“いつか・・・いつか必ず絶対に・・・死んでも戻って来るから・・・それまで蘭に待ってて欲しいんだ”





あの台詞は何だったのかな?

アナタの帰りを今か今かと待ってた私は何だったかな?




期待してた私は何だったのかな?



あのキスにはなんの意味もない・・・・のかな?




グラッ



あれ?

おかしいな。


なんか頭がグラグラする。



考えすぎのせいなのかな・・・・・。




あっ・・・・・・駄目だ。



頭が真っシ・・・ロ・・・・・・・・・




ガターン!!


「蘭!!!?」




遠くの方で園子の声がした。



いっぱい心配かけて・・・・ごめんね。






:::




「・・・・・・・・。」


そっと開いた瞼の先には、白い天井。


ボーッとする頭で理解したのは、ココが保健室だって事。


私、どうしたんだっけ?



シャッ



閉ざされていたカーテンが少し開いて、その隙間から園子の目と視線がぶつかった。


「あっ蘭!!先生ー!!蘭、目覚ましました。」

「あら、ホント?」


園子の声に保険医の先生が反応してやってくる。



「毛利さん大丈夫?アナタちゃんと朝食べてきた?」

「あっ・・・・抜いちゃいました。」

「もー駄目よ?朝はちゃんと食べてきて、睡眠もちゃんととりなさい!寝てないんだって?クマが出来たら彼にガッカリされちゃうわよ~?」


保険医の先生はニヤニヤ笑って忠告してきた。


「・・・・・ガッカリするような彼なんていない。」


ボソッと呟いた声に園子は気づいたよう。


「とりあえず、今日はもう帰りなさい。担任の先生には私が伝えておくから。鞄も鈴木さんが持ってきてくれてるからそのまま帰っていいわよ。あっ!タクシー呼んでおくからちょっと待っててね。」


そう言って先生は保健室から出て行った。


「蘭、大丈夫?起きれる?」

「ごめんね、園子心配かけて。」

「なーに水臭い事言ってんのよ!こんな時位この園子様に頼りなさい!」


クスクス笑いあってから、そっと起き上がる。


「・・・・もっと頼ってよ。」

「え?」

「蘭が辛そうなの嫌なの・・・頼りないかもしないけど・・・私に位遠慮しないで。」


園子が苦笑しながらそう言ってくれた。
その一言がどれだけ大きいか。




今までストッパーをかけておいたモノが一気に流れ出てきた気がした。





「傍にいたい・・・・ずっと近くにいたいの・・・・。」


俯き気に口を開き始める。


「・・・・・・特別でいたい。」


「ずっと、期待してたの。」


「新一も同じで気持ちでいてくれてるんじゃないかって・・・・。」


「自惚れてたの・・・・・・・・・違うのに。」





「どうしよう・・・どうしても好きで・・・・好きで好きでしょうがない。」




膝に顔を埋めて泣き出す私の背中に優しい体温が触れた。




「馬鹿ね・・・・アンタは自惚れてる位が丁度いいのよ。」




その言葉がやけに耳に残った。




「そーでしょ?新一君。」



「えっ!?」


園子が振り返った先には、微かに頬を染めたアイツ。




「盗み聞きのまま逃がしはしないわよ・・・・じゃあとはお二人さんにお任せしまーす!!ばいばい。」



園子は私の耳元に“頑張れ”と言い残して保健室から出て行った。



「そっ園子!!」





「・・・・・・・・。」





どうしよう。
どいすればいいの?




こんな急に物理的距離が近づくなんて・・・・。




もう一つの距離の行方はどこに辿りつくの???







Fin or NEXT >>




:::後書き


はー、残すことあと一話。

どうなることやら・・・。



ドキドキした気持ちで待っててもらえたら嬉しいです。


続きはまた明日!


2007.03.24 作品




2010.11.09 kako



いつもクリック本当にありがとうございます!

これからもがんばりますので、よかったらまた1クリックいただける嬉しいです。

↓↓↓
にほんブログ村 イラストブログへ

にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ こちらもお願いします!!