HAPPY ENDING 第5話 | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。




第 5 話 メール信中




  ・・・・何か鋭いもので刺された気分になった。



  やめてよ。



  なんであなたにそんな・・・



  認めかけて、でも何より一番認めたくないと思ってたのに。


  嫌だよ。


  誰にもこんな私見られたくないのに。

  なんで涙はでてくるの?



  “ひどいよ。”



  浅田君に投げ掛けた言葉のはずなのに、何処かでそんな気がしてた私が・・・・





  新一に向けて言ったんだ。



  あなたの口からはっきりと伝えられたわけじゃないのに。

  きっとその後繋がらなかったあの電話番号が・・・私に言わせた言葉。



  ねぇ、私何か気に障ることしたの?

  お願いだから・・・

  何も言わずにそっと離れていったりなんてしないで。

  一人にしないで。



  私は、ただの女の子なんだよ。




  声ぐらい聞かせて?

  それとも声を聞きたくないくらい私に嫌気がさした?




  浅田君に言われた一言は私の無理矢理閉じていた暗やみを一気に広げた。

  不安を覚えた私はもうそれを止められない。

  目の前に新一が微かに微笑んで立っていた。



  新一!



  と名を呼んで傍に行こうとしても上手くいかない。


  全く近付けない。


  そのまま新一は哀しそうな表情になって・・・・

  私に背を向けて遠くへ行こうとするの。

  いくら私が名前を叫んでも新一には届かない。








  「・・・ん?・・蘭!!」

  「・・・・!?」


  目を開くとその先には心配した顔の園子がいた。


  「・・園子?」

  「あんた今うなされてたよ、大丈夫!?」

  「・・・え・・・・うん、平気。」


  私うなされてたんだ。

  新一がいなくなる気がしたからだね、きっと。


  「・・・・ここどこ?」

  「保健室よ。蘭ってば泣いたまま眠っちゃうんだもん!」

  「私・・・寝ちゃったの?」

  「そうよ、泣くだけ泣いたら急にふっとね。」


  こんな時に眠りについた自分を心底凄いと思う。
  泣き疲れたって事かな?
  小さな子と変わらないね。


  「園子が運んでくれたの?」

  「ううん、浅田君よ。丁度通りかかった所お願いしたの。」

  「え・・・浅田君?」


  胸がざわつく。

  今は浅田君と関わりたくない。

  あんな事言われたら私どうすればいいのよ?


  「すごく心配してたから・・・後でお礼言いなさいよ?」

  「・・・・・。」


  素直にうんと言えない自分が嫌だ。
  でも・・・。



  「・・・お礼言う位でそんな頭悩ませなくても平気よ。」




  「え?」

  「ごめん。あんたが寝てるうちに浅田君に全部聞いた。」

  「・・・・そっか。」



  園子には知られたくなかった。
  だってこんな私を知ったら軽蔑されそうだから。


  弱い私を。




  「何ですぐ言ってくれなかったのよ?」

  「ごめん。」


  私が謝ると園子は苦笑して、


  「私は別に怒ってはないよ?ただもっと早く言ってくれれば・・・
  もしかしたら泣かなくても済んだんじゃないかな?って思って言ったの。」

  「・・・違うの。」

  「え?」

  「私が泣いてたのは浅田君に言われた事だけのせいじゃないの。」



  確かに浅田君に言われた事も辛かったけど・・・
  何より一番辛くて仕方なかったのは・・・・

  私と新一を繋ぐ唯一のものが無くなったから。

  新一に自分との仲を遮断されたと思ったから。

  こればっかりは親友に相談したからとかそういう事で済む事じゃないんだ。


  「新一と・・・連絡が取れなくなったの。」

  「え?」

  「浅田君に言われた事の否定が欲しくて・・・その後すぐに新一に電話したの・・そしたら・・・・」

  「そしたら?」


  思い出すとさっきよりもっともっと辛くなる。


  「電話通じなくなってたの。」

  「・・・!?」

  「もう新一の電話番号は使われてないって・・・。」

  「嘘!何それ?・・・間違ってかけちゃったんじゃないの?」

  「ううん、ちゃんと履歴からかけたもの。」


  園子は呆然としてる。

  嫌だな。

  今の私は園子から憐れに見られてる気がしてならない。

  きっと園子も新一が私の事なんて想ってないって思ってるんじゃないかって。



  園子はそんな事思ったりしないってわかってるのに。



  「携帯が使えなくなっただけじゃない?」

  「だったら!・・・だったら他にいくらだって連絡手段はあるじゃない。
  新一がいるのは外国じゃない同じ国内なんだから。」


  思わず叫んでる自分がいた。


  「・・・ごめん。」

  「いいわよ・・・でもきっと蘭の思い違いよ。」


  どうしてそんな風に言い切れるのよ?

  私が一番思い知ってるの。

  ・・・・あぁもう本当に嫌。

  今の私はただのマイナス思考の最低な子。








  「でも・・・新一君が蘭の事想わなくなるなんてまずないわ。あんまり思い詰めちゃだめ。」





  園子が私の顔の前に指を立てて言い聞かせるように言った。

  不思議だね、今の今まで何も信じられない気がしてたのに。
  その一言にちょっとだけ落ち着いた気がした。


  「ん。」


  私は小さく頷いてみせた。
  園子はよし!と言って笑ってから私の鞄を差し出してきた。


  「もう今日は後一時間だし早退しちゃったら?先生と部活の方には私が上手く言っとくから!」


  ウインクして言った言葉はきっと園子の優しさ。
  教室に戻って浅田君と顔合わせないように気を遣ってくれたんだよね。
  園子の手から鞄を受け取って


  「・・・ありがとう、園子。」


  園子が笑ってくれるから・・・何とか持ちこたえられる気がするよ。

  園子がいて良かった。

  近くにこんなに自分をわかってくれる人がいるんだね。


  「それにしても新一君も結構薄情者ね・・・・帰ってきたらあたしがよーく言ってあげるから!!」

  「・・・・うん。」


  顔を向き合ってクスクスと笑いあって・・・。


  「あれ?新一君土曜には帰ってくるんでしょ?」

  「・・・どうかな?なんか今回は本気で忘れてるみたい。」


  そういえば・・・新一私の誕生日忘れてるんだっけ。

  本当に忘れてるのかな?


  「まぁー悔しいことにあの推理オタクも蘭の誕生日だけは一度も忘れた事ないみたいだし?
  実はこっそり計画練ってたりして・・・・。」


  ニヒヒと笑う園子に苦笑して。


  「どうかな?それならすごく嬉しいけど・・・・。」

  「おやおやぁ・・・さりげに惚気ですか?」

  「何言ってるのよ!!例えばの話でしょ!!」


  園子のからかいに少し怒ったふりをしてみる。

  本当にそうだったら・・・嬉しくて嬉しくてしょうがないけど・・・・

  なんとなく思ったんだ。



  それはきっとないって・・・。



  期待するのはもう止めにするよ。

  その度に裏切られたら私本当にもうどうしていいかわからないから。


  どこかでまだ不安が私の中で渦巻いてるの。


  「あっ蘭・・・・一つだけ。」


  帰ろうとした私を園子が真剣な表情で止めた。


  「何?」



  「人は皆弱いから・・・・道に迷うことも・・・あるよ。
  でもそれはただ迷ってるだけなの・・・・見失ってるだけなの。
  だからいつか・・・また見つけられるんだよ。」



  「・・・・・・・?」


  園子はそう言ってすぐににっこり笑って私にバイバイの一言だけ残して保健室から出て行った。



  その時の私はそれが何を意味するのか全く分からなかったけど・・・・




  そして後で気付いて・・・





  どうしようもなく後悔するの。





   * * *





  「・・・・やっぱり通じない。」


  家に帰った私は園子と話したことで少しだけ勇気を得て何度か新一の携帯に連絡を取ろう

  と試みたけど何度やっても結果は変わらなくて。
  同じ女性の機会的な声が繰り返すだけ。

  この電話番号は現在使われておりません。-----ってね。

  一体どうしたと言うんだろう。

  園子の言うとおり使えなくなってるの?

  それとも・・・やっぱりもう私のことが嫌だから?

  いろんなことに弱気になっていた私は園子に言われてもやっぱり後者を考える方が大きかった。


  浅田君に言われた事は本当に本当に痛いものだった。



  悪気があって言ったんじゃないってのはわかるけど・・・

  やっぱり認めたくないことを人から指摘されることほど辛いものはないよ。



  傷は予想外に大きかったみたい。



  今日も新一のいない夜を迎えるのね。



  土曜日までに本当に帰ってこられるのかな?



  連絡もとれないまま・・・・



  また予感しちゃう。



  早く時間よ過ぎて・・・・

  お願いだから・・・この夜から私を救って。


  朝をこんなに求めるのはきっとこれが最後・・・かな。



  ~~♪



  着メロが鳴って携帯を手にとって画面を見る。

  この着信音は新一じゃない。



  ----浅田 隆司



  私の携帯の着信履歴に初めて残されることになになる・・・新一以外の名前。



  最初は躊躇ったけどとりあえず出るだけ出てみる事にした。


  「・・・・はい。」

  「・・・・毛利?俺だけど。」


  「・・・・うん。」


  朝とは違ってテンションの低い声はまるで子供のようでになんとなく笑みがこぼれそうになった。


  「今日は本当ごめん!!俺何も考えずに・・・。」


  ひたすら謝ってくれる浅田君にもう嫌だと思う自分はいなかった。


  「もういいよ。」

  「よくないよ!!まじ今日の俺は最悪だったと思う。」

  「もう本当平気だから。」

  「嘘つくなよ・・・早退する程嫌気がさしたんだろ?
  あーーー本当俺、最低だよ。」


  自分を見失ったかのように話続ける浅田君に驚いて・・・次には思いっきり笑ってた。


  「ぷ・・・あは・・あはははは。」

  「え・・・毛利?」

  「あ・・・ごめんなさい。なんか必死な浅田君想像したらおかしくって・・・・クスクス。」


  私がそう言うと冷めた声で返事が返ってきた。


  「毛利・・・それ結構地味にひどくないか?」

  「ごめん・・・気に障った?」


  あれ?

  私何でこんなに楽しげに話してるんだろう。


  「・・・別にいいけど・・・とにかく本当ごめん。」

  「うん。でも本当もう気にしないでね?」


  気にしてるくせに・・・。
  私なんかおかしいよ?


  「あっ・・・そういえば今日保健室に私の事運んでくれたんだよね?ありがとう。」


  園子に言われたことを思い出した。


  「どういたしまして・・・てか・・・もう話してくれないかと思った。」

  「え・・・何で?」

  「だってさ・・・ほら・・・なんつーか・・・・。」


  本当はその意味を分かっていたけど知らないふりをした。

  そして私の口から出た言葉に私は自分で驚いた。


  「・・・・最初はどうしていいかわからないと思ったけど・・・別に私達の事指摘したからって
  喋らなくなったりはしないよ。
  それに・・・今日言われた事はね、正直自分でも予感してたんだ。
  ただやっぱり人に言われたら思ってたより辛くなっちゃったの。
  嫌な態度とってごめんね?」


  私・・・・絶対おかしいよ。
  だって今言った事は相手に自分の事を知って貰いたいみたいじゃない。
  これ以上話しちゃだめだよ。


  でも私の口は止まらなかった。


  「全然・・・ていうか毛利が謝る事じゃないし!!・・・・それと・・実はさ今日思った事があるんだ。
  聞いて貰えるかな?」


  今の私はきっと素直に聞くことを選ぶ。


  「いいよ。」


  ほらね。


  「やっぱり俺はお前等の間に入るべきじゃないよな・・・・。
  よく考えたんだ。俺が工藤なら・・とかいろいろさ。勝手なこと言って毛利悩ませた事本当後悔

  してる。」


  情が流されるってこういうことかな?
  今機械越しに話てる人にすごく優しさに似たモノを感じた。


  「これまた勝手だけど・・・俺の告白忘れてくれないかな?
  俺の思い違いだった。お前等にはやっぱなんの壁もないと思う・・・・俺・・・身引くよ。」


  何かつっかえていたモノが取れた気がした。


  「浅田君・・・・っていい人だね。」


  そうか?という浅田君に少し惹かれていた事に私は気付いていたんだろうか・・それとも

  気付いてなかった?

  今更どっちでもいい。



  「で?工藤はいつ帰ってくるんだ?」

  「いつだろうー・・・実は連絡取れなくなっちゃって・・・」

  「え!?だって北海道だろ?携帯使えるじゃん?」

  「なんか、電話使えなくなってるみたいで。」

  「・・・ずっと連絡なし?」

  「・・・・なし。」


  今の今まで避けたいと思っていた人と親友のように話している自分が不思議。
  でもなんの違和感もなく話せていることにかわりはない。


  「かーーーーーっ工藤はどこまで馬鹿なんだ!?こんないい女一人置いてってまじ信じらんねー。」

  「私いい女なんかじゃないよ。」


  苦笑して言うと即答で返事が返ってきた。


  「いい女だよ!!」











  「だってあの工藤新一が惚れたんだぜ?」










  一瞬頭の中が真っ白になった。



  「あ・・・りがとう。」





  その後の私達は本当に親友かのように過ごしてた。

  それを見て新一がいないからって浮気してるとか・・・別れたんだとかいう噂が一気に広まったけど、
  私たちにそんな感情はないことはお互い認め合ってるから。

  言いたい人には言わせとけばいい。

  園子は浅田君が私の事を諦めたということを知ってるからその噂を信じることはなかった。





  でも・・・・いつかは変わってしまうんだよ。



  やっぱり私は弱かった。



  今思えばただ寄り所が欲しかっただけ。



  あっという間に金曜日になってとうとう明日は私の誕生日で・・・・。

  結局新一から連絡がなくて。

  本当にもう限界だった。

  夕方帰宅して新聞を眺めると、

  新一が追っているだろう事件が載っていた。

  『銀行強盗いまだ逃走中!!』

  新一が帰ってくることはまだ先になりそうだということがわかった。



  ・・・・本当に何も言ってくれないまま私は誕生日を迎えてしまうんだ。

  絶望感が孤独感を生んでいた。

  今の私はちょっとでも温もりを感じられるんなら何にでも手を伸ばそうとするだろう。 



  そして私は転がるように逃げ込んでしまったの。


  そこに本当に欲しいものは存在しないのに。




  :::




  ------PM23:59

  あと一分・・・時計の針が一周すれば私の誕生日。

  ねぇ・・・・本当に何も私に与えてくれないの??



  一緒にいてくれないの?





  机に座って見つめているのは携帯電話。



  一日私はこれを見つめ続けそうで怖い。



  お願いだから・・・・
  お願いだから鳴って?  



  そう言って願かけると・・・・



  画面がパッと光ってメール着信中を私に知らせた。



  それは日付が変わったのと同時の出来事。



  急いでそのメールを開くと私は



  もうこれ以上弱い自分を我慢させておく事はできなかった。






  -----新着メール
         FROM 浅田隆司
         件名   オメデトウ

         本文  誕生日おめでとう。
              無理だと知って一つだけ・・・
              今日少しでいいから会えないかな?






  NEXT >>





  :::あとがき


  この話は何度読んでも・・・・

  走ってるぜ。

  痛い・・・・・



  2005.03.29 作品


  2010.05.18 kako



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