HAPPY ENDING 第4話 | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
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※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。

第 4 話 現在使われておりません。



  

  

  人は弱いもの。

  だから淋しかったり、辛かったり、苦しいと

  必要のないものにまで優しさを求めるの。


  私も人。


  弱い・・・弱い・・・人間。

  いつだって優しさが欲しいのよ。

  まだまだ何もわかってないから、

  簡単に過ちを犯すのよ。

  遠まわしなモノなんて私にはまだ理解できてないの。

  お願いだから一人で決めないで、

  私にちゃんと教えて。

  私は強くなんかないの。

  それは知ってるでしょう?



  でももう後戻りは出来ないよね。



  今になって聞かされる真実に私は・・・・


  一体どう答えればいい?


  弱いと人は自分を見失う。

  そうなった時、優しさを簡単に見つけてしまうの。

  そして後々気付くのよ。



  それは本当に自分が求めていた優しさじゃないことに。



  ねぇ・・・


  ごめんなさい。


  弱くて。


  もう一度あの日に戻れたのなら・・・


  私は、



  幸せの結末をあなたと見れたかな?



  大丈夫。

  ちゃんとわかってる・・・わかってるよ。



  もう無理だってことは何よりも自覚してるから。


  でも最後にもう一度だけあなたに抱きしめて貰いたいな。


  ううん。


  手を握ることだけでも十分。


  一生我侭なんて言わないから。


  これだけは知っていて?




  私にとって、

  あなたと触れ合った日々は一生の宝物。

  あなたに貰った言葉の数々も宝物。

  そしてあなたとの思い出は全てが幸せ。




  今更聞かされてもただの言い訳にしか聞こえない?

  でもあなたがいないだけで夜が淋しいの。


  不思議でしょ?


  そうなったのも全て自分のせいなのに。


  きっと初めてだから。

  生まれてからあなたと出会って


  あなたとはもう一緒にいれないと知って初めて迎える夜だから。


  だからだよね?


  私は弱い人間。

  でも人がみんなそうであるように、



  あなただって弱かったんだよね。



  どうして私、わからなかったんだろう。



  星が暗すぎて・・・・


  自分の涙の方が輝いて見えたよ。





  :::





  新一が北海道での捜査に行ってしまってから二日目。

  私には、頭を悩ませる存在が出来てしまった。


  「毛利ーおはよう!!」

  「・・・・おはよう。」

  「なんだよ、朝から不機嫌まるだしじゃん!折角の可愛い顔が台無しだぜ?」

  「もとからこんな顔なんです・・・・それじゃ。」

  「あっ毛利・・・ちぇ。」


  朝から私に高めのテンションで声を掛けてきたのは昨日の朝教室で話した彼。

  浅田隆司。

  浅田君はあの日からずっと私につきまとっている。
  私としては本当に避けたい人物。
  だって、あの日・・・・。







  :::





  「俺が毛利のこと好きだって言っても?」

  「え?」


  目の前のクラスメイトはそう言いながら呆然としている私など気にせず、
  私の手から携帯電話を取って何やら操作を始めている。


  「や・・やだ・・何冗談・・・・。」

  「冗談なんかじゃないよ・・・・俺本気だよ?入学した時からずっと毛利のこと見てたんだ。」


  「・・・・・。」


  淡々と話す目の前のクラスメイトに蘭はとまどいを感じる。


  「一年時はただ遠くから見てるだけしかできなくて・・・だってあの頃は工藤がいたろ?
  でも二年になって工藤がぱったりと姿見せなくなってこれはチャンスだ!って思っても、
  結局勇気が出せなくて、何も出来なくて・・・・気付けば何時の間にか工藤は復帰してるし、
  ついにお前らが付き合い出したって聞いて・・・今度こそ諦めようと思ってもどういう訳か同じ

  クラスだし。でも同じクラスになって二人がどんだけ想いあってるかわかって本当に身を引こ

  うと思ったら・・・今度はこれだろう?」


  浅田君の言葉にどんな反応見せればいいのか全くわからない。


  「勝手な解釈かもしれないけど・・・今度こそ本当に最後のチャンスだと思うんだよな。」

  「なっ・・・・チャンスって。」

  「よし完了!」


  突然浅田君が大きな声を出したから思わずびくっと肩を上げて驚いてしまった。


  「毛利のケー番とアドレスゲット♪あっ俺のも毛利の携帯に入れといたからよろしく。」

  「えっいつのまに!?」


  楽しそうに携帯を返してきた浅田君の手から素早く携帯を取って確認する。


  あ行の電話帳にしっかりと登録されているのを見て愕然とする。


  「まぁ、とりあえずこれからよろしくな毛利。今日メールするから。」


  そう言って浅田君は教室から出ていってしまった。


  う・・・嘘だよね?
  あんなの絶対嘘・・・冗談だよ。

  今までそんなそぶり全く・・・・
  きっと私のことからかってるんだよ。
  そ・・・そうだよね?



  その日の夕方帰宅すると携帯のメールの着信を知らすバイブが鳴ったのに気づき手早く

  携帯を手に取る。

  その時間になるともう朝の出来事は軽く消えかけていていた。
  浅田君あれから何も言ってこなかったし・・・やっぱりからかってたんだ。
  そう思って携帯を覗く時の私はこの着信が新一からのモノだと信じて疑わなかった。
  微かに胸を弾ませて。
  でもその期待には見事に裏切られた。




  ---FROM 浅田 隆司
      件名   初メール☆

      本文  今日は驚かせてごめん。
           でも一応本気だから。
           まぁ、これからよろしく!




  何故かその時罪悪感が私の頭を支配した。

  どうしてなのか本当にわからないのだけど。



  一体誰へ対する罪悪感だったの?



  それから私はずっと返信を出そうとはしなかった。

  だって、私には新一がいるもの・・・

  夜中になって今度はメールがきた時とは違う罪悪感が生まれた。

  これって・・・本気だってことやっぱり告白なんだよね?
  せめて返事くらい出さないと失礼・・・だよね?

  そう言って私は一通のメールの作成に行動をうつした。




  ---TO   浅田 隆司
      件名   遅くなってごめんなさい。

      本文  今日のことだけど・・・。
           気持ちは嬉しいけど、
           受け取る事は出来ません。
           ごめんなさい。




  これできっとこの罪悪感からは解放されると思って送信ボタンを押してからベットに寝そべる。


  人の自分へ対する気持ちに答えるのは本当に難しい。
  その気持ちが自分にとって嬉しいのなら簡単だけど。

  まさか新一がいない時にこんなことがあるとは思いもしなかった。


  「・・・・・・。」


  そういえば新一は?
  なんの連絡もない。
  せめて北海道に着いたかどうかくらい連絡くれてもいいじゃない?


  携帯を目の前に持ってきて睨む。

  着信履歴をみると約一ヶ月近く前のモノが最後であることに気付く。
  この携帯は新一から貰ったものだから・・・
  お父さんとお母さんと、園子のごく一部の人にしか番号は教えていないから。
  そんなに頻繁に使わない。


  一ヶ月も新一から電話貰ってないんだね。
  どうしてかな?
  なんとなく自分の中で思いつく理由はある。
  でもそれだけは考えたくなくて。


  昨日の途中で止められたキスで、


  もっとその理由に近づいた。


  嫌だと思っても。
  考え出したら止まらない。


  ・・・・・うじうじしてても何も動かないし始まらない。
  だったら自分で行動に移せばいいのかな?

  新一がコナン君だった時、
  それを知らなかった私はやっと教えてもらえた新一の携帯の電話番号をいつも繰り返し眺めてた。

  この携帯電話が、
  この11桁の番号が今の私たちを繋ぐ唯一のもの。


  そう思うとすごく切なくて・・・・嬉しいの裏側でまた簡単には会えないんだということを思い知ってた。

  だって今までには電話なんてものがなくても何の理由がなくたって会えたでしょう?
  一緒にいれたでしょう?


  今はソレがないと私たちは話すことも一緒にいることも出来ないの?


  こんな想いをするのはあの辛かった日々だけと思っていたのに・・・・。


  また考える理由とこんな機械に頼ってるの?


  私たちいつからこうなってしまったの?


  新一。

  なんだか無償に虚しいよ。



  行動を起こそうともうすっかり覚えている11桁の番号を押してディスプレイを見つめる。
  あの頃もよく眺めた番号を今もまた眺める。


  結局発信のボタンを押す勇気は私には無かった。


  画面を待ち受けに戻そうと電源ボタンを押そうとすると急に画面がパッと明るくなって着信を

  知らせた。


  ----非通知設定


  画面に並んだその表示文字に驚いてばっと体を起こす。


  非通知=あの人だという方程式が久しぶりに蘇ってきて高鳴る胸を落ち着かせて通話ボタン

  を押す。


  「・・・もしもし?」


  蘭か?と続く返事を期待して耳を澄ますけど、また私の期待は裏切られる。


  「・・・毛利?」


  耳に入ってきたのは自分の名前じゃなく苗字。
  あの人は私をそんな風に呼ばない。
  少しあの人より高い声。
  正直に言ってしまえばあまり好みじゃない。


  「・・・浅田・・く・・ん?」


  「良かったーーーー!!きっと画面に俺の名前が出たら電話出てくれないだろーし・・・
  だからといって非通知なんてもっと出ないかと思った。」


  耳にどんどん入ってくる話に私の頭はついていっていなかった。


  次の着信履歴はまた新一の名前から始めたかった。


  新一以外の男の人でこの携帯をうめたくない。



  「さっきのメールのことなんだけど・・・・。」


  内心今すぐ切ってしまいたかったけど、
  私にはそんなことできないの分かってるから。


  「そんなにすぐに決めるなよ。
  俺、本気だよ・・・本気で頑張るからさ・・もう少し時間くれない?
  それからゆっくり決めなおしてくれよ。な?」


  止めて。
  今のこんな私にそんなモノ求めないで。


  この時から気付いてたんだよ。私。

  自分がどうしようもないほどに・・・・


  弱いことに。




  「・・・・わかった。」




  その時脳裏に浮かんだ新一の顔に私は最初に持った罪悪感を感じてたんだ。



  そしてそこでその電話は終えた。


  私何言ってるんだろう。
  何時間を与えてるのよ?
  早く浅田君から逃げたいって思ってたんだよね?

  なのに・・・・なのに・・・・・

  ふと窓を開けて空を見る満天の星空。


  あれ?


  星空ってこんなものだっけ?
  いつもはもっともっと綺麗だよね?

  なんだろう。
  綺麗なはずなのに、どこか曇ってる。


  この時からだよ。


  星空が暗闇になっていったのは。




  :::




  朝になって昨日の自分を見つめ返して。
  このままじゃいけないことに気付いた。

  きっと新一がいないからちょっと弱くなってるんだ。


  今日こそちゃんと浅田君にお断りしよう。


  そして現在に至る。



  お昼休みになって浅田君に声を掛けて人があまりこない階段の踊り場まで着いてきてもらった。


  「どうしたの?」


  浅田君に背を向けたまま軽く深呼吸をしてばっと振り向いて頭を下げた。


  「ごめんなさい、昨日言ったこと取り消して下さい。」


  「・・・・え?」


  目を合わせて話す自信はなくて俯いたまま用件を述べた。


  「・・・きっとどれだけ時間をあげても私は浅田君を好きになることはないよ。
  新一以外の人に惹かれたりしない・・・絶対に。
  だから・・・・だから昨日のことは忘れて下さい。」


  もう一度頭を下げる。




  そう私は新一のモノにしかなるつもりはない。






  しんとした階段で今から浅田君の口から聞かされる言葉に私は一気に壊された。


  「毛利さ・・・・何焦ってるの?」

  「・・・・?」



  焦ってる?私が・・・・?


  「・・・・今の毛利はただ焦ってるだけだよ。」


  「・・・俺に急に告白されてどうしていいかわかんなくて、
  工藤っていう頼る存在がいなくて、ただ・・・逃げてるだけだろう?」


  あぁ・・・誰か目の前の人を止めて下さい。



  「勝手なこと言ってるかもしれないけど・・・毛利は怖いんだろう?」


  「時間を与えて・・・もし俺に気持ちを持ったらって思うのが怖いんだろう?」


  「工藤の存在を自分に言い聞かせてるだけだろ?」


  「ちが・・・わたし・・・は。」


  胸が苦しい。
  呼吸が上手く出来ない。


  「ゴメン・・・冷たいこというけど・・・・・・・」



  だめ・・・聞いちゃだめ!!



  「こないだの屋上でのお前ら見てて思ったんだ。」


  耳を塞ごうとしたけど、遅かった。






  「工藤はさ・・・もう毛利のことなんとも想ってないんじゃないか?」








  足が震える。
  遅れて耳を塞いだ手が冷たい。


  それだけは考えたくなかったのに。




  「・・・・っひどいよ。」




  そう呟いて浅田君を押しのけるようにその場を去った。



  「・・・・俺・・・何言ってんだよ・・・卑怯もの。」



  浅田はその場に座り込み頭を抱えて一つため息をつく。







  決して考えたくはない。
  でも一番妥当で。
  でもどうして?
  どうしてあなたに言われなきゃいけないのよ?



  ねぇ・・・新一。

  そんなことないよね?

  私の勝手な思い違いだよね?

  壁に手をついて携帯を手に取る。


  すぐにボタンを押して昨夜は押せなかったボタンを押す。


  お願いだから・・・・

  声を聞かせて。

  違うって言って?

  お願いだから私のこの不安を解いてよ。



  「カチャ・・・・・この電話番号は現在使われておりません。」



  知らない女の人の声が耳をずっとリピートして・・・。
  私の手から携帯は落ちて。


  何よ・・・それ・・・・・。



  「なん・・・っなんでよぉ・・・・・。」



  気付けば視界はぐちゃぐちゃで。
  ゆっくりと力が抜けていってその場に座りこんだままひたすら・・・・泣いた。






  「蘭・・・・蘭!?どうしたの?」


  やがてたまたまここに現れた園子が私に気付いて。



  「こんなとこで何泣いてるのよ!?何があったの?」



  そのまま今度は園子の胸をかりて・・・・私は涙が枯れるほど泣いたの。





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  :::後書き

  

  久しぶりに読み返してみて・・・・

  浅田・・・なんてヤツだ。

  
  あぁ・・・・空回り・・・

  5年前のkakoってば・・・・なんて酷いヤツなんだ。



  2005.03.28 作品

  

  22010.05.18 kako

  


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