8月●日、午後1時。帝国ホテルに到着した。
まもなくパーティーの開始時間である。私は足早に会場へと向かった。
「あ、山中さん!お待ちしてました!
(*^_^*)」
受付で、担当の佐野さんが出迎えてくれる。
「来て下さって良かった!もうすぐ始まりますよ!」
佐野さんは私に数枚の紙を手渡しながら言った。
「お席にご案内します」
会場は、そのまんま「結婚式の2次会」という感じ。
落ち着いた雰囲気は、さすが帝国ホテルである。
20メートル四方ほどの会場に10人掛けの丸テーブルが10台ほど並んでいる。
10×10… 100人か
無意識に心の中で計算する。
私は会場の中ほどのテーブルに案内された。
同じテーブルのメンバー10名のうち、5名が男性、5名が女性。
男女交互に着席である。
服装は、男性はスーツ。
女性は、披露宴にお呼ばれした時のように紙を結い上げ着飾っている人もいれば、キレイめのワンピース、それに、ごく普通のスーツの人もいる。
私はというと、迷ったあげくジャケットに黒のスカート。
「明るい色の服装で!」という佐野さんのアドバイスを受け、かろうじて、ジャケットだけはベージュにしておいた。
入口付近には申し訳程度のビュッフェがしつらえてある。
軽食と、ソフトドリンクが数種類。
これで参加費10,000円は高すぎるでしょ…
( ̄_ ̄ i)
いや待て。
今日は食べに来たのではない。出会いを求めに来たのである
「皆様、お時間になりましたので、はじめさせていただきます」
「S」のスタッフがマイクを通して開会を宣言した。
よし。いよいよだな…
私は軽く息を飲む。
「お手元の『コミュニケーションカード』をご覧ください。こちらは、皆さんにお相手の方を短時間で知っていただくためのカードです…」
コミュニケーションカードには15名分ほどの男性の情報が書き込めるようになっていた。
名前、年齢、誕生日、職業、年収、趣味 そして連絡先の欄がある。
「まずはお隣の方とお話しください。10分経ちましたら、ベルを鳴らしますので、お隣との会話を終えていただいて、次にお話したい方の隣の席に移動していただだきます」
テーブルの移動は自由です
と、「S」のスタッフは言った。
「最初の移動は、女性の方はそのまま席におつきになっていてください。男性の方が移動します。
その次は男性の方にそのまま席におつきになっていただき、女性の方が移動…というように交互に進めさせていただきます」
つまり、これはイス取りゲームなのだ。
先ほどから、同じテーブルのメンバーを見ていると、男性も女性も一様にキョロキョロと会場内に視線を走らせている。
次にどの人の隣に座ろうかと、品定めしているのだ。
同じテーブルの女性に目を向けるとプイっと視線を外された。
同性同士はライバルなのだ。
なに、なんなの、この雰囲気…
( ̄Д ̄;;
ああ、早くも、帰りたくなってくる
入口に目を向けると、担当の佐野さんが満面の笑みを向けてくる。
佐野さん、やっぱり私、こういうの無理です…
ヽ(;´Д`)ノ
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