「何してんのぉ~いま~
(≧▽≦)」
Wさんからの、酒に酔ったような、普段とは違うテンションの電話…。
「Wさん?どうしたんですか?なんか声が変ですけど」
「はぁ~?変じゃないでしょ~フツ~でしょ~ヒャハハハ」
だから、変だってば…
( ̄_ ̄ i)
その後、Wさんの言葉は次第に支離滅裂になり、ロレツも回っておらず、何を言っているのか聞き取ることはほとんど不可能だった。
電話は5分ほどで切れた。
無言になった携帯電話をしばし見つめた。
…。まぁ、飲みたい日もあるでしょ。
見かけによらず酒でハメを外すタイプなんだなぁ。
少しくらいは仕方ないよね。お医者さんの仕事って、ストレス多そうだし…
私はたいして気にもしなかったのである。
そして、次の日の夜。またWさんから電話がかかってきた。
「きららちゃん…。俺、もしかして昨日、電話した?」
やっぱり、まったく覚えていないらしい。
でも良かった。今日は普通の声だ。ホッ。
「ハイ!ずいぶん楽しそうでしたね
(^^)
飲み会でもあったんですか?」
Wさんはいくぶん沈んだ様子で
「…ごめん。発信履歴が残ってたからそうじゃないかなと思ったんだけど…」
「気にしないでください。お酒飲みたい日くらい私にだってありますし!
(^^)」
「いや、酒は少ししか飲んでない。ちょっとミンザイを飲んだから」
ミンザイ(?_?)
「なんですか?ミンザイって」
Wさんは、睡眠薬のことをミンザイと呼んだ。
病院の近くに住み、夜間に急患が出たときに呼び出されることが多いWさんは、短い時間で深い眠りを得られるよう、睡眠薬を常用しているという。
それにしても…少量とは言え、酒と睡眠薬を一緒に飲むなんて、危険な行為なのだろうと素人の私にもわかる。
「それって…キケンなんじゃないですか?」
「まあ、そうだね。酒と一緒に飲むのは良くないよ。それに、ミンザイはずっと使ってるから弱いのじゃ効かなくなってきて、昨日はちょっと強めのを飲んだから」
「………」
「大丈夫だよ。夜勤がある医療関係者ならミンザイを使うのは当たり前のことだし。きららちゃんは最近眠れてる?もし良かったら処方しようか」
………。結構です
(=_=)
なんだか、別世界…。
本当に大変な仕事なんだなぁお医者さんって…。
そんな薬を常用していて、そのうち自分のほうが病気になっちゃうんじゃないの?
でも、何も言えなかった。
医療のプロに対して病気のことを語るなんて…と理性がストップをかけたのだ。
「そうそう。明日だけど、5時に東京駅に着くから。夕飯一緒に食おう。3ヶ月も前から予約をとらないと食べれない店!誰と行くかわからないけど前から予約入れてたの。きららちゃんと行けて嬉しいよ」
明日のデートは麻布にある料亭らしい。
食べるのが大好きな私のこと。普段なら小躍りして喜ぶはずが…
今日は心が躍らない。なぜだろう。
ミンザイのことが気になるからか?
わからない。わからないけど、明日はとりあえず会ってみよう。
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