そして、以下のことが判明した。
彼女A … 昨夜、タカヒロ君の家に泊まった彼女。家事手伝い。25歳。
彼女B … 女子大生(!)。20歳
彼女C … 私のこと。会社員。27歳。
それとは別に…友達以上彼女未満のD嬢。会社員。24歳。
「なるほどね。
じゃあ、順位をつけてもらいましょうか。私はこの中の何番目なの?」
この期に及んでも、1番目だと言ってもらいたいという気持ちはあった。
1番目と言ってもらっていたら、もしかしたら違った展開になっていたのかも知れない。
でも、彼は…
「2番目」
なんだとぉ!?
怒りと共に、不覚にも、喉の奥に熱いものが込み上げてきた。
なんだ…私、けっこう傷ついてたんだ…。
でも、私は呼吸を整えて言った。
「じゃ、やっぱり昨日の彼女が1番?」
「違う」
「じゃ、女子大生?」
「いや、最後に言った24歳の子。片思いなんだ」
片思い……。
なんだか、付き合ってるって言われるよりもショックだ。
「でも彼女には告白するつもりはないんだ。長年付き合ってる彼氏がいるし。
だからきららさんが一番なんだ」
私は彼の顔を見つめた。
初めて会ったとき、可愛いと思ったな。
年下の彼、嬉しかったな。
でも、今日が彼を見る最後の日になるだろう。
「…バカじゃないの?」
私は言った。
「2番目と言われて誰が付き合う?
それに、こんなことがあって、もう信用できるわけないでしょう」
「…うん。そうだね」
彼はうつむいた。
私は彼と、テーブルいっぱいに並んだほとんど手をつけられていない料理を見比べた。
正直な彼。「バカ」がつくほどに…。
たぶん、タイミングが悪かっただけなのだろう。
気がついたら周りに何人もの女が集まっていて、優先順位をつける間もなくバレて、呼び出され、狼狽のあまりこんなにたくさんの料理を頼んじゃって…。
プフッ!!
私は思わず吹き出してしまった。
「なに?」
「なんでもない」
彼はきっと、悪い男じゃない。でも、いい男でもないな。
「いい?本当にモテる男は完璧に浮気するもんだよ。誰も傷つけずにね。
こんな簡単にバレるなら浮気するなよ!」
私は伝票を彼の手のひらに押し付けた。
「帰るよ!」
席を立ち、さっさと先に歩き出す。
遅れて席を立った彼が、あわてて会計している。
「15250円です」
お前はバカか
( ̄_ ̄ i)
ほとんど手をつけてないのに…。
店を出た私に彼が追い付き、駅への道を並んで歩く。
私は彼の横顔をチラリと見上げる。
ああ、本当はこんなこと言ってやる必要ないんだけど。
「ねぇ、ホントに好きな人には気持ち伝えたほうがいいんじゃないかな」
彼が驚いたような表情で私を見る。
「あとで後悔しないためにも」
駅につくと、笑顔で手を振って彼と別れた。
「バイバイ!」
まるで、また明日会える恋人同士のような、あっさりした別れ方だった。
彼には感謝してる。
だって、こんな男を選んじゃいけないって、気付かせてくれたもん。
私は、私だけを見てくれる人を選びたい。
そんな人いるのかわかんないけど…。探すしかないでしょ!
足取りは軽やかだった。今日駅に向かってきたときよりも。
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「婚活珍道中」
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