独りで構わないと思ってた。
でもそれは……。
もしかしたら、ヨーコが側にいると思ってたから。
かもしれない。
「えええええーーーっ!!!
Σ(゚д゚;)」
「驚かせちゃったねーーー
(=⌒▽⌒=)」
「驚かせちゃったねって、アンタ!!驚くに決まってんじゃん!!
だって…だって…先々月?だっけ?前に会ったの。そのときにはまだ婚約者の『こ』の字もいなかったじゃんよーー」
まくしたてながら、ふと、泣きたいような気持ちになった。
なんだろうこの気持ちは…。
娘を嫁に出す父の気持ち?
彼女に浮気された彼氏の気持ち?
「親の紹介でね。お見合いしたの。先月」
「うん
( ゚ ▽ ゚ ;)」
「そしたらね、なんだかトントン拍子に決まっちゃって」
「うん
( ゚ ▽ ゚ ;)」
「でね…きらちゃん。私、田舎に帰るんだ」
「……え?ごめん、も一度言って」 (ショックのあまり、よく聞こえませんでした)
「田舎に帰るんだ」
「愛媛、帰るの?」
「うん。」
そっか…。愛媛のひとなんだ。
私はつぶやくように言った。
ヨーコは大学入学を機に東京に出てきた。
「田舎には戻らない。ずっと東京で暮らす」
「東京では、きらちゃんだけが頼りだから」
「ずっと近くにいようね」
って、そう言ってた。
そんな約束、いとも簡単に消えてしまうよね。
そりゃ、相手が見つかれば…当たり前だよね。
そこから先のやりとりは、よく覚えてない。
よほどショックだったのであろう
(((゜д゜;)))
私はフラつきながら帰宅し、メイクも落とさずにベッドに転がり、そして朝を迎えた…。
「げっ!?!?!もうこんな時間!!!」
私は飛び起きた。なんで目覚まし時計が鳴らないんだよ~!!
「あらー?会社いくの?休みかと思ってたー」
母はのんびりリビングでコーヒーを飲んでいる。
「遅刻するーっ!行ってきます!!」
バス停までの道のりをブルドーザーのような勢いで駆けながら(私の走りはとてもダイナミックらしい)、思った。
昨日のショックは
ちょっと裏切られた気分だったのと、
それから、ちょっと羨ましかったのかもしれない、と。
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