私、きらら、27歳。
彼氏ナシ。仕事が好き。
実家から出勤して、終電近くまで働く日々…。
それはそれで、充実していたのだ。
そんなある日、私を変えるきっかけとなる、ある事件が起きた―――
27歳になったばかりのある日のこと。
親友のヨーコからメールが来た。
食事でもしない?と。
ヨーコは大学時代からの親友だ。
なにかと暴走しがちな私を励ましてくれたり、癒してくれたり、ちょっと叱ってくれたり。
私にとってヨーコは…そうだなぁ…コタツのような存在。
あったかくて、そこにあるのが当たり前の存在だった。
会社帰りに、新宿南口で待ち合わせた。
時刻は約束の8時を15分ほど過ぎている。
これでも残りの仕事を明日に回して、精一杯急いで出てきたのだ。
「ごめん。待たせた!元気だった?」
「きらちゃん、久しぶりー。仕事、途中だったんじゃない?大丈夫」
「ううん」。私は笑って首を振った。
ヨーコの笑顔は仕事で疲れた心をホッと慰めてくれる。
手近なレストランに入り、メニューをめくる。
「なんか久し振りだねーこういうの。学生時代は毎週のようにヨーコの家に泊まりに行ってたのにさ」
「そうだね。きらちゃん忙しいからー」
「たいしたお給料もらってないのにね」
「でも、忙しいのって、きらちゃんらしい」
ふふ、とヨーコは笑った。
「まぁでも、いまやってる仕事が終わったら落ち着くから、そしたらまた泊まりにいくよー」
「…うん」
「あれ?なんか迷惑そう?」
「そんなことないよ!」
ええ~???
「あれ~?もしかして、彼氏できた!?」
ヨーコの顔が嬉しそうに輝いた。
「ほらーー!やっぱり!私に隠そうったって無理でしょ!!」
「彼氏じゃなくてね」
「え?」
「彼氏じゃなくて、婚約者ができた…」
「………」
「………」
「ふふふ」
「えええええーーーっ!!!
Σ(゚д゚;)」
一瞬、頭の中が真っ白になって、次に言うべき言葉が見つからない。
「おめでとう」?
「いつの間に」?
「どうして教えてくれなかったの」?
たくさんのクエスチョンマークが頭の中に浮かんで、どれから口にすれば良いかわからない。
目の前に、ヨーコの「幸せ」を絵に描いたような笑顔があった。
独りで構わないと思ってた。
でもそれは……。
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