中学生の進路に関する基礎知識 | 中学生の勉強法と親の心得 ~塾長直伝! 高校受験対策と反抗期の対応法~

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中学生の進路について、意外と基本的な仕組みを知らない方は多いと思います。私の場合でも、少し油断しているとすぐに情勢が変わり、以前の知識が常識が通じなくなることもあります(笑)

そこで、現時点で知っておきたい「中学生の進路の常識」の最新情報をシリーズでお送りしてみます。他のサイトと違い、各高校等から紹介料をいただいたりはしていませんから、中立の立場から書かせていただきます。よろしければご参考になさってくださいませ。


第1回は「進学か、就職か」ですね。

昔ならば「家庭の事情でどうしても働かなければならない」という話もよく聞いたものですが、高校の無償化、各種公的制度や支援制度のおかげで、親子で頑張ればどうにか高校までは卒業できるのが今の世の中です。

また、「学校の成績が悪すぎて進学できない」という生徒もいますが、「入ってから頑張って学ぶ」という気持ちさえあれば、今は進学する方法がいくらでもあります。

(反対に、勉強が嫌いで学ぶ気の無い生徒は、もう義務教育では無いのですから、專門を学ぶか就職を選択するのも決して悪いことでは無いと思います。ところが、なぜかそういう生徒たちが、大量に高校へと進学していくのですけれども・・・苦笑)

ですから、「高校を卒業したい」と願う気持ちさえあれば、特殊な事情のご家庭を除けば、ほぼ全ての生徒に学びの機会が用意されていると言っても良いでしょう。

もちろん、こうした制度や仕組みの事を知らないために、せっかくのチャンスを逃してしまう人もいます。しかし、これは逆から見れば、生徒本人やその親が「しっかり学んでいない」からはずれくじを引いてしまったとも言えますよね。

無知は、自分の可能性や人生の選択の幅すらも狭めてしまうのです。そして、(受験勉強はともかく)生きていく上での学びは、すればするほど人生を有利かつ豊かに生きられます。だからこそ人は学ばなければならないのですね。

そういう意味でも、生徒の皆さんは、ぜひ前向きに学んで、たかが学校の勉強くらいで満足することなく、将来に役立つ頭脳と、生きる知恵を養ってもらいたいと思います。

そしてご家庭や教室で、このような趣旨の話を、もっと説得力のある形でいくつもしていくと、生徒は学ぶことの大切さを知ります。実話や体験談を混ぜるなど説得力のある話を用意して、機会のあるごとに話して聞かせてあげてください。

こういった基本的な動機づけすらしないうちから、「勉強しろと言ってもやらない」「生徒にやる気が出ない」などと嘆くのは、枕も布団も用意しないで、「うちの子がなかなか寝ない」と嘆くのと同じくらい不毛なことなのですね。


ここまで進学を中心に書いてきましたが、一方で、「就職」も立派な選択肢の1つです。

「中学を卒業したら、自分は働きたくてしかたがない!」
「早く社会に出て、自分の力で人生の成功を掴み取りたい!」

こういった考えの生徒には、なかなかお目にかかれませんが、それだけの熱意を持って社会に出れば、中卒であってもいくらでも道は開けるでしょう。

こう書くと「中卒で何とかなるほど社会は甘くない」と言う人もいるでしょう。実際はそのとおりで、人生真っ暗などと言う事は決して無いですが、大きな苦労が待ち受けているのは事実です。しかし、だからと言って、安易に「とにかく大卒が良いのだ!」と子供に押しつけるのはやめていただきたいものです。

例えば、初任給や生涯年収を比べても、大卒のほうが中卒よりも圧倒的に多いです。しかし、それは正社員等の立場で就職できればの話ですよね。しかたなく大卒でフリーターになる人と、同じく中卒でフリーターになる人とを比べても、バイトであれば時給はそれほど大差ありません。

そもそも、今の時代は「とにかく大学を出れば良い」という発想が当たり前になりすぎていて、進学に要した多額の「学費」と、使った時間に伴う「逸失利益」を考えることをしていません。そして、今やその学費さえも親が払えずに奨学金等で賄い、卒業と同時に多額の借金を抱えて人生をスタートさせる若者も大勢います。中卒で「借金0、職歴7年」の人と、大卒で「借金数百万、職歴0年」の人と、いったいどちらが良いスタート地点にいるのでしょう。運良く大卒で就職しても、すぐに出社拒否でひきこもりになる若者の増加が社会問題になるほどです。はたしていったいどちらが幸せなのでしょう。

今はもう「大学を出れば幸せが待っている」と言える世の中ではありません。「中卒では大変よ」は確かにそのとおりなのですが、大した目的も無く大学に行くようでは、やはり「大変」なことに変わりは無いのですね。

だからと言って、就職を奨めているわけではありませんよ。時代は変わったとはいえ、やはり厳然として、学歴が給与や評価の面で大きな意味を持つのは現実です。採用基準にも「高卒以上」と書かれているところがとても多いですから、「高校くらいは出ておいたほうが良いのでは・・・」というのは確かに当てはまります。正直、今の高校を出たからと言って、能力的に大した違いが生じるとは思えないのですが、それでも雇う側が気にするのであればしかたありません。

一方で、能力は高いのに、自分が高卒で相手が大卒だと言うだけで、相手のほうだけが昇進したり正社員に雇用されたりということも日常茶飯事ですから、「高卒では不十分だから大卒を・・・」というのも当てはまります。しかし、皆が同じ事を考えて進学していった結果、大した力の無い学生は、就職先さえ見つからない厳しい状況となっているのも現実です。そして、就職先が無いのでは、中卒や高卒と比べて待遇が良いか悪いかを論じる以前の話ですよね。

とはいえ、知識や理屈ばかり成長して、精神的に幼い生徒が多いですから、そういう生徒を中卒でいきなり就職させても、社会でもまれて鍛えられるどころか、うまく適応できずにどんどん落伍していくでしょう。そういう意味では、良いかどうかはともかく、就職よりも進学のほうが「安全」なのは間違いありません。

(そもそも、今の教育システム自体が生徒を過保護に守る閉じた場所になっているのですから、その世界にいたほうが、生きる力の無い生徒ほど居心地が良いものです)


何が言いたいかと言いますと、中学生の進路は「進学が善で、就職が悪」のようなステレオタイプの接し方はやめてあげてほしいのです。

もともと入試制度は「勉強に向いている人」を選抜する仕組みですから、向いている人だけが進学を選べば良かったはずのものです。それを、向いていない人が無理して大学に進まなければならないという構造がすでに歪(いびつ)ですし、そういうことをさせると、大学進学後や就職後に別の形で歪み(ゆがみ)が生じてしまうものです。「高校くらいは行ってほしい」と願うのは親心として当然としても、何となく普通科高校に進学して、そのまま普通の大学に進むことを目指すより、專門を学べる高校に進んだほうが良い場合もあるのですね。

何よりも、高校へは「行きたくないけど、行くのが当たり前」という受け身の姿勢で行っても、大した学びは得られません。ぜひ、「進学ありき」で親が押しつけるような形ではなく、生徒に真剣に考えさせて、自ら「まだ就職のタイミングでは無い」「今は高校で学びたい」と思って進むような形に持って行ってくださいね。その根本が欠けていれば、結局高校でも「勉強が嫌い、つまらない」と言って、中学時代と同じ事を繰り返すのですから。


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