米財務省は4月29日、半年毎の為替報告書を発表しました。
 報道の「監視リスト」は、TPA法(大統領貿易促進権限法)の「税関授権法(Trade Facilitation and Trade Enforcement Act of 2015)」(2016年2月24日施行)第701条の新しいルールによる対象国です。
米国の大きな貿易赤字の原因である中国、日本、韓国、台湾、ドイツの5ヶ国が対象になりました。一方的な為替操作を行っている国は、中国、台湾、韓国と国名が表されました。今回は下記判定基準を公開しましたので、税関授権法による180日後の調査発表は今年10月になるものと思われます。

税関授権法第701条の判定基準、
(ⅱ)貿易相手国のマクロ経済と為替政策の分析
  (Ⅰ)米国との貿易黒字(年間200億ドル以上)
 (Ⅱ)経常収支の黒字(GDPの3%以上)
 (Ⅲ)外為市場への継続的・一方的な介入(12ヶ月でGDPの2%以上)
   2000年以降の15年間の調査で、中国と台湾は12回、韓国は数回あった。調査時期は6月と12月、12ヶ月の内8ヶ月閾値を超える外貨購入があれば判断する。  


NHK 2016年4月30日
米財務省 日本や中国を為替操作の「監視リスト」に
 アメリカ財務省は各国の為替政策に関する最新の報告を公表し、通貨を意図的に安く誘導する為替操作への監視を強化するため、中国や日本など5つの国と地域を新たに設ける「監視リスト」の対象にして動向を詳しく分析していくと発表しました。
 アメリカ財務省は29日、世界の主な貿易相手国の為替政策などを分析した半年に1度の報告を公表しました。
今回の報告からアメリカへの輸出で巨額の黒字を計上していたり、通貨安を誘導する為替介入を続けていたりする国や地域を新たに設ける「監視リスト」に載せることになりました。そして、中国、日本、韓国、台湾、それにドイツの5つの国と地域を対象にして特に監視を強化すると発表しました。
 このうち、日本については対米貿易が多額の黒字になっていることから対象となりましたが、過去4年間、円安に誘導する市場介入はしていないと指摘しました。ただ、報告では日本の政府内から、このところの円高ドル安傾向は「過度な動き」で、「場合によっては必要な措置をとる」と市場介入を示唆したとも取られる発言が出ていることに触れて、今の円相場の動きは「秩序を保っている」という見解を示して反論し、日本をけん制しました。
 この「監視リスト」はTPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡り、アメリカ議会が意図的な為替操作への監視強化を求めたことに対応したもので、今後、対象国の為替政策などが重点的に分析されることになります。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160430/k10010504471000.html


米財務省「為替報告書」 2016年4月29日発表
FOREIGN EXCHANGE POLICIES OF MAJOR TRADING PARTNERS OF THE UNITED STATES
https://www.treasury.gov/resource-center/international/exchange-rate-policies/Documents/2016-4-29%20(FX%20Pol%20of%20Major%20Trade%20Partner)_final.pdf


(税関授権法の解説と韓国の反応)
税関授権法成立によりTPA法完成・韓国為替操作条項に警戒
http://ameblo.jp/study-houkoku/entry-12141658497.html