米国における議論は、3月19日の政策発表に続く、下記公聴会でもTPA問題が中心で米国の報道が大きく報道しているのだが、日本の報道は、全くその議論を報道していない。
4月24日 TPPへの米産業界の証言
(Bahtia氏はブッシュ政権のUSTR次席代表、現GE副社長)
http://www.finance.senate.gov/hearings/hearing/?id=03508528-5056-a032-526a-67ec511d1ced
HATCH共和党筆頭理事 アフリカやアジアとの自由貿易交渉で責任者だったBahtia氏の経験からして、TPAを取ることは望むべくTPP交渉の承認または批准にとってどのくらい重要なのか教えてください。
Bahtia GE副社長 TPAは確かに重要です。3つの理由があると思います。1つ目の理由は交渉人をサポートする役割があるからです。交渉期間、1日の終わりに議会からの指示が交渉官に届き、交渉官が議会が何を望み、自分たちが何をしなければならないかを理解する手掛かりになります。ですから、その意味で重要です。
2つ目は交渉を締結するために重要です。交渉相手が懸念を示したり、時には懐疑的になることがあります。(TPAなしに交渉して)交渉内容があるところで変更になる可能性があると思われます。ですから、交渉の合意を得るためにも必要です。
最後に、TPAはアメリカの貿易交渉の場でのリーダーシップの象徴になるからです。
THUNE(共和)上院議員 ブッシュ政権下のUSTR次席代表であったBahtia氏に伺いたい。お話の中でTPAを取るタイミングについて、TPPやEUとのFTAを成功裏に締結するに当たって、TPAの再取得では議論が割れて議会を通すに当たっては明らかに時間がかかると思います。その現実に照らして、オバマ政権がTPA取得を遅らした場合、TPP締結を諦めなければなららいと思いますか。私はTPPや他のFTAを成功に導くためにはTPAが必要不可欠だと推測しているのですが。
Bahtia Hachi議員への返答でも触れましたが、TPAは非常に重要です。これは協定にとっても、交渉官にとっても重要です。そして締結時にも重要になってきます。ですから、私としては議会がこれを進めることを要請するものです。政権もTPAに興味を示していることも理解しています。タイミングに関しては、仰る通り、交渉はTPAなしで数年進んできましたので、これからも交渉を続けることは可能です。しかし、交渉内容が厳しくなってきたときに、議会の承認がなければ確約できない交渉相手ということになりますので、もし自分が交渉官だったらTPAをできるだけ早く取りたいと思うと思います。といって現在、交渉の進展を止めるものではありません。
THUNE ありがとう。しかし、TPAがなければTPPの締結が遅れるのではという私の懸念を共有されていますか。
Bahtia 私はある時点まで交渉を進めることは可能だと思いますが、もしこの協定を今年中に締結するのが目的であれば、TPAが必要だし、比較的早い段階で取る必要があると思います(笑)。(訳 Yoshiko Matsudaさん)
6月6日 フロマン氏証言と質疑(その1で紹介済み)
http://www.finance.senate.gov/hearings/hearing/?id=a0c1c7fe-5056-a032-52d8-95de8eecf054
「議会の動向」
日本のTPPへの参加表明(4月12日)および議会への参加申請(4月24日)により、米産業界と議会の活動が活発になった。さらに、USTRの日本TPP参加に関するパブリックコメント募集に、米国の各利益団体が意見を寄せた。(6月9日締切で85件)USTR代表の指名、承認も重なり、米国のTPP、TPAに関する議論が活発化した。
「下院の為替操作に関する提案」
TPPに為替操作への規定導入を、米下院議員230人が要請(ロイター6月6日)
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTYE95508E20130606
[ワシントン 6日 ロイター] - 太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に、為替操作に対する新たな規定を追加するようオバマ大統領に求める書簡に署名した米下院議員が民主党181人、共和党49人と合わせて230人となった。
6日公表された書簡は「米国がTPP交渉を進めるに当たって、為替操作への対策で合意することが必要だ」とし「TPPに為替に関する規定を加えることで、不公平な貿易慣行に対するわれわれの対応能力が強化され、米国の労働者・企業・農家に対等な場をもたらす助けとなる」との見解を示した。
この日は次期米通商代表部(USTR)代表に指名されたマイケル・フロマン大統領首席顧問(国際経済担当)の承認に関する公聴会が上院財政委員会で行われた。フロマン氏は、為替操作は重要な懸念事項としたものの、TPPに盛り込まれるかについては言明しなかった。
米国はこれまでの自由貿易交渉で為替操作への対策を求めてこなかったが、一部の議員や業界団体からは、日本が輸出の拡大を狙って為替相場を円安に誘導しているとの懸念が出ている。
米自動車大手3社(ビッグスリー)で構成する米自動車政策会議(AAPC)のマット・ブラント会長は「為替操作を禁止する強力で強制力を持った規則がTPPに盛り込まれる必要がある」と指摘した。その上で「日本はTPP交渉への参加を認められる前に、自国の自動車市場が海外メーカーに対して完全に開かれていることを示す必要がある」と強調した。
(以上ロイター)
為替操作の問題は、下院に法案が提出されている。
レヴィン下院議員提出の法案(3月20日)
レヴィン下院議員(歳入委員会民主党筆頭理事)が3月20日に提出した「公平貿易のための通貨改革法」は、100名の共同提案者を集めている。現在、歳入委員会に受け付けられている。今後のTPA法案審議やTPP問題の議会の対応に影響があるものと考えられる。
提出法案 H.R.1276
1930年の関税法の相殺関税またはアンチダンピング税の手続きの下に、基本的に過小評価の通貨を持つ外国から米国への商品輸入に与えられた利益に対し「相殺補助金」として含める修正。
カナダとメキシコにも適用と記載している。
H.R.1276
Latest Title: Currency Reform for Fair Trade Act
Sponsor: Rep Levin, Sander M. [MI-9] (introduced 3/20/2013) Cosponsors (100)
Latest Major Action: 3/20/2013 Referred to House committee. Status: Referred to the House Committee on Ways and Means.
Jump to: Summary, Major Actions, All Actions, Titles, Cosponsors, Committees, Related Bill Details, Amendments
SUMMARY AS OF:
3/20/2013--Introduced.
Currency Reform for Fair Trade Act - Amends the Tariff Act of 1930 to include as a "countervailable subsidy" requiring action under a countervailing duty or antidumping duty proceeding the benefit conferred on merchandise imported into the United States from foreign countries with fundamentally undervalued currency.
Defines "benefit conferred," in cases where the currency of a foreign country is exchanged for foreign currency (i.e., U.S. dollars) obtained from export transactions, as the difference between: (1) the amount of currency provided by a foreign country in which the subject merchandise is produced, and (2) the amount of currency such country would have provided if the real effective exchange rate of its currency were not fundamentally undervalued.
Declares that the fact that such a subsidy is also provided in circumstances not involving export shall not, for that reason alone, mean it cannot be considered export contingent and actionable under a countervailing duty and antidumping duty proceeding.
Requires the administering authority to determine that the currency of a foreign country is fundamentally undervalued if for an 18-month period: (1) the government of the country engages in protracted, large-scale intervention in one or more foreign exchange markets; (2) the country's real effective exchange rate is undervalued by at least 5%; (3) the country has experienced significant and persistent global current account surpluses; and (4) the country's government has foreign asset reserves exceeding the amount necessary to repay all its debt obligations falling due within the coming 12 months, 20% percent of the country's money supply, and the value of the country's imports during the previous 4 months.
Requires the use, for calculating a country's "real effective exchange rate undervaluation," of certain guidelines of the Consultative Group on Exchange Rate Issues of the International Monetary Fund (IMF) or, if those guidelines are not available, generally accepted economic and econometric techniques and methodologies. Requires the use, also, of inflation-adjusted, trade-weighted exchange rates.
Applies the amendments made by this Act to goods from Canada and Mexico.
レヴィン下院議員の狙いは「中国の通貨政策」と自身のHPに記載している。
http://levin.house.gov/legislative-work/sponsored-legislation
レヴィン下院議員は、2月22日の安倍・オバマ声明に反応し、日本のTPP参加に無条件を要求している。この1930年関税法修正法案は、日本を最大の標的にしていることは、この情報、230人の議員が「通貨政策」をTPPに入れよと書簡をオバマ政権に送ったことで明確である。
この書簡は、6月6日の上院財政委員会公聴会のフロマン氏の喚問にあわせたと言われている。