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減断薬読本購入希望の方

さて、長らくご愛用いただいて参りました下記製品は、公益社団法人日本精神神経学会から「薬物乱用防止の観点からの販売中止」のご要望を提起いただき、社内検討を進めた結果、2016年12月31日をもちまして弊社からの供給を停止し、以降は流通在庫品限りで販売中止とさせていただきたく、謹んでご案内申し上げます。塩野義製薬ホームページ

薬物中毒死の半数以上を占めるベゲタミン。ついに販売中止となるそうだ。
年間、少なくとも1000人以上の薬物中毒死を出してきたベゲタミンがやっと消えてなくなる。

そう、私の家族の命を奪ったあの薬である。
そして、私が被害者活動の中で、多剤大量処方とともに最重要課題として取り組んできたことだ。
共に戦ってきた仲間から、この一報を聞いた時、不覚にも涙が出た。
喜びの涙ではない悔しくて悔しくて仕方がないのだ。
この薬が無くなることは当たり前のことだからだ。

前回の厚生労働省への要望文(2014年5月)より該当部分を抜粋-

バルビツレート酸系睡眠薬の外来での処方禁止
ベンゾジアゼピンと同効薬でありながらその依存性、習慣性、何より致死性が遥かに上回るのがバルビツレート酸系薬品である。これらの使用を推奨する論文やガイドラインは皆無である。難治性の不眠や違法薬物の治療に有用との意見があるが、もちろんバルビツレート酸に不眠を治療する効能はないし、この薬の安全性(常用量の10倍で致死)を考えれば、呼吸管理施設のある入院施設での使用に限定されるべきである。そもそも現在の安全性の認可基準では、認可されようのない過去の遺物である。少なくとも、外来での処方は禁止して頂きたい。バルビツレート酸系睡眠薬の弊害は東京都監察医務院の研究においても明白で、この規制が薬物中毒による死者を激減させることは明白である。速やかな規制(外来処方禁止)をお願いしたい。

現在、年間約17万人(2012年警察庁調べ)が不審死として死亡しており、その数は年々増加の一途を辿っている(10年で5万人増)にもかかわらず、何の調査も対策も行われておらず、その死因は正確に把握されていない。監察制度の普及が都市部の一部に止まっていることに加え、監察の結果が十分に分析・研究されておらず、犯罪性の有無の確認のみにおいて利用されているにとどまっている。東京都監察医務院の報告によれば、薬物中毒死と診断されたものの大半が、処方された向精神薬による中毒死である。過量服薬による救急搬送の増加が、救急医療崩壊の一因となっており、救急医からも向精神薬の過剰処方を問題とする声が上がっている。そうした中で過量服薬を単純に患者のパーソナリティや病気の問題に帰する考え方は、向
精神薬の持つ依存性や耐性形成といったそもそもの特性を考慮しておらず、過量服薬者は、処方薬による薬物依存症(医原病)に陥っていることを問題とすべきである。自死と同様に安易な診断、安易な処方の蔓延がこの中毒死・過量服薬の最大要因である。また薬物中毒死と診断されていない事例でも、心疾患、肺疾患、肝機能障害など、向精神薬の代表的な副作用と不審死の関連が疑われる。

さらには、安易な向精神薬による薬物治療の副作用による健康被害は、生活保護受給者、自立支援利用者、精神疾患での障害者の増加にも大きく影響している。また生活保護費における医療費の割合は、一般国民の医療費の割合に比べて非常に高く(約4倍)、過剰な医療の関与が疑われる。安易な薬物治療が膨大な数の医原性の精神疾患を生み、貴重な労働力の損失と血税の無駄遣いが行われている。
こうした背景には、医師の知識不足による多剤大量処方や意味不明なカクテル処方、抗不安薬や睡眠薬の安易な処方といった不適切な薬物治療が存在しており、向精神薬を扱う医師の資質が強く疑われる。学会からも抗不安薬の処方や外来でのバルビツレート酸系睡眠薬の使用に関する注意喚起が行われているにも関わらず(2011年)、その注意喚起の効果は見られない。向精神薬は、向精神薬及び麻薬取締法によって規制される危険薬物であり、麻酔薬と同様に、徹底した再教育を受けた専門医だけに処方が許されるように規制すべきである。また内科医など精神科以外での向精神薬の処方は禁止するべきである。

もともと、外来で処方するような薬では最初から無かったのだ。
その危険性は、50年前から分かっていたことなのだ。精神科病院内で覚えたデタラメ処方を、町中に出て行った精神科医が外来でばら撒いたのだ。

ベゲタミンの致死性は群を抜いている。無くなれば、薬物中毒死は各段に減るだろう。
多剤大量処方とベゲタミンの規制で万単位の不要な死が避けられることは間違いない。
しかし、この薬が無くなったとしても、デタラメ処方は続くだろう。
ベゲタミンの代わりに、抗精神病薬、特にジプレキサやリスパダールの適応外使用が取って代わるだろう。
その影響で、呼吸停止の代わりに、心疾患や誤嚥性肺炎、内臓不全の死者が増えるだろう。

現在、ベンゾジアゼピンの規制を求める活動が行われている。どんどんやって頂きたい。
もう、私が率先しなくてもこのような活動が行われることに感慨を覚える。
しかし、ベゲタミンより、さらに茨の道だろう。

ベンゾジアゼピンという薬品が悪いのではない。
もともとベゲタミンという薬に罪はない。それを使う医者が悪いのだ。
ベゲタミン同様、添付文書でもガイドラインでもベンゾジアゼピンの危険性は既に指摘されている。
今回のベゲタミンの販売停止は、どんなに危険性を指摘しても改めない医師がいることに対し、ついに製品そのものを無くすという最終手段に出たということだ。

悔しいのは、
多剤大量処方の規制についても、ベゲタミンの販売停止についても、
こうした結果は大変喜ばしいものであるけれども、
誰も反省していないことだ。
こうした規制をお願いに行くたび、それは医師の自律に任せるべきだとの意見を何度も頂戴した。

そんなことを言ってる間に、半世紀ものあいだ放置されてきたのである。
一体何人死んだのだろう。数十万、下手をすれば百万かもしれない。
その無念はどうすれば良いのだ。

今、目の前の、薬物中毒の人たちをみるたびに思う。
その異常な肥満、手の震え、アカシジア・・・

その原因薬は、ベゲタミンでもベンゾジアゼピンでもない。
主役は、すでに抗うつ剤、抗精神病薬、気分調整薬である。

何処まで行っても、モグラたたきということか。

あの人たちは変わらない。人間はそれほど変わらないのだ。
人は反省しない生き物だ。
私だって、自身の身に降りかかるまで気が付かなかった。

人に言われて反省する人などほぼ居ない。
結局、変わって見せる以外に方法はないと思う。
この問題の根源は、社会のあり方、それぞれの人々のあり方にある。

精神医療は、社会の鏡である。
社会が変わらねば、この悲劇は終わらない。
その為には、誰かに変えてもらうより、まず自分が変わることのほうが近道である。