カナダGP DAY2 (P3&Qualify) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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KOB、1000分の8秒差でQ3進出を逃してしまいました。

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とはいっても、今回のカナダGPの予選は、大接戦。
走り込んだカタルニア・サーキットでの「サイエンス」勝負とはひと味違う、レーシングな予選でした。


 KOBがP11に終わったQ2は、トップで通過したVETから約0.5秒の間に11台がひしめいた訳ですから・・・。

ちなみに、ブロー・システム(エンジン排気を利用した、ダウンフォース増加デバイ
ス:2012年は使用禁止)
が、深刻な影響を及ぼし始めた昨年のカナダGPにおいて、KOBはP13でQ3進出はならなかったのですが、そのQ2でもVETはトップでした。

ただ、その時のVETとKOBのラップタイムの差は、約1.8秒もありました。

その一方で、参考的な比較ですが、
VETは昨年の1:13.486に対して1:14.187とタイムを落としているのに対して、KOBは昨年の1:15.285に対して1:14.688とタイムを向上させています。

この、ブロー・システムの無いVETらトップ・チームに対してKOBの今回の肉薄ぶりは、中堅チームとしては多いに勇気づけられる内容だったと言えると思います。
モナコに引き続き、グリッドのご近所さんにはBUTとRAIが居るわけですから。

また、今回の予選&レースに使用するエンジンの「マイレッジ」の影響も、DAY1のレポートで触れた通り、多少は加味する必要があるでしょう。
KOBの場合で言うと、P1&P2で使用したエンジンは、これまでの履歴から程度が良い状態で、P3&Qualify(そして、レースも)は、新品を投入したドライバーがいた場合は、逆にチョイ負けだった可能性があります。
(逆に、実際、今回の予選&レースにおいて、下手をしたらブローするようなエンジンを使っているドライバーは居ないことでしょう。)


最も、以上は俯瞰による視点であって、レース屋としては、なぜ1000分の8秒削れなかったかを熟慮する必要があります。

そこが、競争ですから・・・。

さて、それには、やはり路面温度に触れなければなりません。
この路面温度、P3では29度から32度の間で推移し、Qualifyでは35度から40度の間で推移し、ほぼDAY1時の予想通り、DAY1より10度以上、上昇しました。

KOBは、P3の予選シミュレーションにおいて、2度にわたりトラフィックで一貫したアタックができずに、内圧とグリップの関連性を正確に読み取る事が出来ませんでした。

これは、Q1のアタックとQ2の1回目のアタックで変更しながら、バランスを取って、最後のQ2アタックに帳尻を合わせることができ、1回目の中古
スーパーソフト・タイヤから2回目の新品のスーパー・ソフトへの変更で、0.9秒ものタイムアップに成功しました。


おそらく、P3で、この辺りの内圧とグリップの関連性が試せていれば、1000分の8秒を削れていた可能性があります。
こうしたことが一貫して、出来るか出来ないかが、最近、KOBがメディアのインタビューで口にすることの多い「完璧なウィークエンドを過ごす」事ができるか否かということなのです。
ただ、残念ながら、VET、HAM、ALO、WEBまで届いていたかどうかは、疑わしいでしょう。
このメンツまでには、車両のパフォーマンスをもう1ステップ進めないと、難しかった事でしょう・・・。


さて、肝心のレースの行方は・・・。

まず、天候ですが、雨の心配はありません。
ただし、路面温度はDAY2より上がる事が予想されています。
路面温度が上がれば、タイヤの保ちは悪くなります。
この「保ち」は、ダウンフォースを付ける事で、状況は好転しますが、生憎KOBはダウンフォースのついてない側なので、KOB向きではありません。

ただ、幸か不幸かP11で終わったために、1ストップでも2ストップでも、KOBは全て新品のタイヤで行けます。
一方、P10となりQ3でプライムタイヤを使用したBUTは、Q3に進む事を優先して、オプションタイヤを全て使ってしまったため、1ストップにするなら、スタートからかなり長い距離を走らなければなりません。
予選後に「Q3ではプライムを使うべきでは無かった」と、後悔しているコメントを吐いています・・・。

一方、P12のRAIは、高い路面温度で好パフォーマンス示した実績(バーレーンGP)があることから、むしろRAIの動向が気になる所です。
KOBは、BUTに対してどちらのタイヤを選択しても「保ち」の観点からして優勢ですが、対RAIを考慮すると、スタート時に装着するタイヤの判断が難しいところです。

いずれにしても、予選グリッド通りにL1が終了したとしたら、このBUT、KOB、RAI、そしてBUTの前に居るGROが7~10位のポイント争いを行う事になりそうな気配ではあります。

 
が、ほとんどのチームは、レース・シミュレーションは路面温度の低かったDAY1に行っていることから、現実問題として、DAY1から比べて10度以上も上がっている路面温度のレースで、同じように保ちが長くて1ストップが考慮できるかどうかは疑わしい事と、壁に当たるクラッシュが頻発する事から、SC導入の可能性も高く、そもそもプラン通りにタイヤ戦略が機能するかどうかも疑わしいと来ています。
その中で、DRSを使ったオーバーテークのポテンシャルを秘めたKOBのマシンと新品タイヤの組み合わせは、良い見せ場をつくるには、もってこいの状況にはあると言えます。
まずは、ポイントを穫って、ポイントランキングを上げる事に繋がれば・・・と、願っています。



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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
RAI=キミ・ライコネン
GRO=ロマン・グロージャン
ALO=フェルナンド・アロンソ
HAM=ルイス・ハミルトン
VET=セバスチャン・ベッテル
BUT=ジェンソン・バトン
WEB=マーク・ウェバー