【可夢偉レポート】カナダGP DAY1(P1&P2) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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初日の結果表だけ見ていると意外に思われるかもしれませんが、
難しい週末のスタートになりました。



というのも、天気予報ではプラクティスの金曜日から、予選の土曜日、
そしてレースの日曜日まで、一貫して気温が上がり続けるという状態だからです。


何が問題かというと、ここ数戦のレポートでも触れている通り、
気候はともかく、路面温度が大きく変わる見込みだからです。

プラクティスの今日は、セッション中に、ちょっとした雨に見舞われたものの、路面コンディションはドライのままでした。


が、路面温度はP1が21度から23度、
P2が23度から28度の間という比較的低い気温で推移したのですが、
予選日にはこれが30度から35度、
そしてレース日は35度から40度というように推測されているのです。



しかも、P1、P2ともに、いつ降雨が始まるか予想できない状況だったので、走行プログラムのばらつきが多く、誰が何をやっているのかが、非常に解り辛い状況になりました。

1   22  P. DE LA ROSA   324.3  15:09:43
2   20  H. KOVALAINEN   322.6  15:11:24
3   21  V. PETROV     322.5  14:31:14
4   12  N. HULKENBERG  321.7  15:09:57
5   11  P. DI RESTA     321.4  14:29:01
6   14  K. KOBAYASHI   320.8  14:12:53
7   15  S. PEREZ      320.4  14:07:16
8    7  M. SCHUMACHER  320.1  14:13:17
9    6  F. MASSA      320.0  14:11:22
10  16  D. RICCIARDO    319.9  15:11:18
11  17  J. VERGNE      319.5  14:08:26
12    8  N. ROSBERG     319.4  14:42:57
13    9  K. RAIKKONEN    318.9  15:25:48
14    4  L. HAMILTON     318.6  14:11:55
15  10  R. GROSJEAN    318.5  15:30:01
16    3  J. BUTTON      318.3  15:26:46
17  19  B. SENNA       317.6  14:06:34
18  23  N. KARTHIKEYAN   317.3  15:05:22
19  18  P. MALDONADO    316.9  14:12:04
20    5  F. ALONSO      314.7  15:06:59
21    1  S. VETTEL       312.3  15:12:39
22  24  T. GLOCK       312.2  14:09:00
23    2  M. WEBBER      312.0  14:18:07
24  25  C. PIC         309.7  14:07:56

ひとつだけ明らかな事は、今日の走行結果に必要以上に反応してしまうと、
レースで大きな問題を抱えることになる、ということです。


「必要以上に反応」というのが、どういうことかというと、
P1とP2の結果をもって、例えばシャーシバランスが「アンダーステアが酷い」とか「オーバーステア」が酷いといった症状を、改善しようとすることです。


また、ここ数戦のレポートで触れていますが、
プラクティスでは「新エンジン」を使用する事は無く、
また、多くのドライバーが「ライフ」の近づいているエンジンを使用している事が予想されるているので、予選とレースに向けて新エンジンを投入するドライバーは、エンジンパワーによる「伸びしろ」を持っていると見るべきでもあります。


P2の結果だけ見ると、トップタイムのHAMから13番手のMAL まで、わずかに0.7秒という僅差です。


この程度の差は、カナダGPのような直線の多いサーキットでは、
エンジンパワーで補える幅が大きいと言えるでしょう。


エンジンのローテーション的に、これまでのレースでリタイヤを喫しているKOB、PERは同じUSEDエンジンでも、レース距離を走り込んでいないだけ程度が良いと見て、その分を今日の結果に織り込んでおくべきでしょう。
(何事も、ぬか喜びはいけません。)


また、天気予報により、定石のプログラムを変更して、
スーパーソフトをP1で投入したROS、MSCといったドライバーのパフォーマンスも要注意です。
(天気予報は、酷い雨がP1の後半に来るという話でした。結局、P2終了直後に来ましたが・・・。)


そして、今日の低い路面温度です。

予選日の高くなる路面温度で、セットアップの優劣が一気に変わる可能性もあります。

特に、順位的にもタイム的にも、これまでの優勢を保っていないかに見えるロータスのRAI、GROも不気味な存在だと言えるでしょう。


これが「難しい週末」と、最初に触れた理由です。

今日、多くのチームがこなせる仕事は、他チームのトップスピードを見て、ダウンフォースレベルと、ギアレシオを決定するということだけだったと言えるのではないでしょうか。

P2のスピードトラップだけを見ると、相も変わらず、レッドブルの最高速の低さ=高めのダウンフォースレベルという一貫性が際立ちます。

そして、今回は、この傾向にマクラーレンとロータスが加わっていることが注目点ですね。

また、ダウンフォースレベルですが、
ここカナダGPの舞台となるジル・ヴィルニューヴ・サーキットは、
サントノーレ島という川の中州の島にある関係上、レイアウトが細長くて、長いストレートがある一方で、大きなコーナーがありません。


ということで、他のどことも違うダウンフォース・レベルが必要とされ、効率を高めた「専用空力パッケージ」が必要となります。具体的には、カナダ専用のリヤウィングということになりますでしょうか。


今回、見た目に明らかな「専用」ver.のメインプレーン(主翼)を投入したのが、ザウバーとウィリアムズではあります。


トップチームは、最高速と見た目で想像する限り「通常」ver.のメインプレーンに、専用フラップの組み合わせ・・・と、いった風情でしょうか。



さて、翻って、KOBはどうかというと、
前回触れましたが、マシンが客観的には「昨年のMS-06からMS-09S並に改善された」と、評した改善の好影響が一番良く出るサーキットということで、P1から順位的には良い所を走れていました。

さらに、最高速もソコソコです。

(バーレーンGPでの痛い経験から、過去数戦、タイヤを機能させるために、レッドブル同様、高めのダウンフォースにセットアップの方向性を振っていたのですが、ここでは他チームと比べて相対的に低めのダウンフォースという感じに仕上がっています。ただし、これは根拠あっての事で、チームとしては2008年のBMW時代に圧巻のレースで1-2フィニッシュした経験がある・・・と、いう訳です。)



ただ、赤い所(フェラーリ)も、その豊富なリソースを活かして「効く」新パーツを投入して、一気にパフォーマンスアップしています。

この調子だと、ALOは、チャンピオンシップのリードを伸ばす事になりそうな気配ですね。


KOBもトラブルに見舞われない限り、良い走りを見せてくれるものと期待しています。





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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
MSC=ミハエル・シューマッハ
MAL=パストール・マルドナド
RAI=キミ・ライコネン
GRO=ロマン・グロージャン
ALO=フェルナンド・アロンソ
ROS=ニコ・ロズベルグ
PER=セルジオ・ペレス
HAM=ルイス・ハミルトン