【可夢偉レポート】オーストラリアGP(メルボルン)DAY3 Race | GOODSMILE RACING 広報ブログ
2012年の開幕戦が終わりました。
KOB、
6位入賞というこの上ない結果に終わって、
まずは一安心というところです。
特に、レーススタート直後のターン1(T1)の攻防において、
KOBはリヤウィングにダメージを負ってしまい orz だっただけに、この結果は、素直に喜ぶべきモノがありました。
メルボルンは、このT1を抜けるポジションで決まると言っても過言ではないのですが、下記の理由でハラハラでした。
まずは、KOBの周りのメンツが荒くれ者揃い(笑)ですし、前方でもフォーミュラ・ルノー時代からKOBと覇を争ったGROがトップドライバーの中に紛れているので、一体何が起こるか解りません。
しかも、トップ10ドライバーはQ3で新品タイヤを使い切ってしまって、中古の、しかも保ちの悪いオプションタイヤを装着しているので、ブレーキロックやオーバーランの可能性が非常に高いことが予想されていたのです。
案の定、T1ではKOBの前でSENがスピンして回避行動に移って減速したところに、後ろからPERが突っ込んできて、KOBのリヤウィングにダメージを与えてしまったわけです。
幸い、DRSを駆動する油圧ライン(実は、翼端板の中に、ステンレスの油圧ラインが通っているのです。)はダメージを受けることは無かったのですが、正常なダウンフォースが発生しなくなり、いきなりバランスが崩れたマシンで、レースすることになってしまったというわけです。
しかも、後ろからはQ1を通過できなかったために、新品のタイヤを使用するRAIが、もの凄い勢いで追いかけてきたため、防戦しながらポイント圏内を目指すという、困難な展開が待ち受けていました。
しかしながら、予想(期待?)通りのGROの脱落、予想外のMSCの脱落、予想通りのMALの動きによるHULの脱落等で順位を上げることが出来、まずは順調にトップ10のポイント圏内に入りました。
ダメージを負ってペースは落ちたものの、KOBの前方に出たPERは、チームメートなので1ストップ作戦というのは知っていたことから、何とかオーバーテイクは可能と予想していました。
そして、予定通り2度目のピットストップを行うためにピットロードに入るか入らないかというタイミングでPETのストップによるセイフティカー導入となりました。
KOBにとっては、最悪のタイミングでした。
なぜなら、アウトラップを全力プッシュしなければ正常にスイッチが入らない堅い方のプライムタイヤなのに、アウトラップが低速の先導ランだったために、完全に orz だったのです。
つまり、KOBにはQ2と同じ「タイヤを正常に暖められない」という状況に陥っていた訳です。
この時点で、KOBの前には
1ストップ作戦でラップタイムの遅いPER、
タイヤの性能落ちの速いROS、
そしてタイヤが暖まるまではスピードの上がらないRAI という状況でした。
そして、SCイン。
再スタート直後に、KOBは持ち前のコールド・タイヤ・コントロールを駆使して、スピードが乗るまでに5ラップ程度が必要なRAIを一気に攻略。(P3、Qualifyのレポート参照
)
プレッシャーを掛けて、PERとROSのパフォーマンス・ダウンを待つことになりました。
ところが、RAIのタイヤが暖まってきたら、逆にプレッシャーを与えられることになってしまいました。
そうしているウチに、PERとROSのペースが落ち始め、ついにPER-ROS-KOB-RAIは1列縦隊になってしまいました。残り周回も少なくなったことから、KOBはもう前に出ていくしかありません。
まず、1回目のアタックは、ペースの落ちたROSに高速セクションでオーバーテイクを仕掛け、一旦は前に出るモノの、ブレーキをロックさせて、不発。
ここまでアラっぽくブロックされるなら、このままでは終わらないな・・・と、考え直したKOBは、この間にKERSの回生パワーをアシストに使わず、温存しながら時を待ちました。
ブレーキロックの後、ROSとの差が一旦開いたのは、それが原因です。
そして、チャンスが最終ラップのT6で巡ってきました。
なんと、MALがクラッシュ。
その破片を避けるためPERが減速。
そこへROSが追いついて仕掛ける・・・。
PERはROSに抜かれまいとして、T7-T8のコンビネーションでミスしてROSとサイドバイサイドとなり、最終的な攻防で接触しPERがROSのリヤタイヤをパンクさせてしまうことに。
そして、T7からはKOB得意の高速区間。
さらに、KOBはここで溜めていたKERSアシストを全て使用して一気にヨレヨレになったPERとROSを抜き、MALを含めて3つポジションを上げる事に成功。
さらにRAIをKERSアシストで完全にぶっちぎって、P6でゴール。。。
予選でP12のお隣さんのALOが、KOBの前のP5ですが、15秒も離されてしまいました。
リヤウィングのダメージが無ければ、或いはKOBはALOにチャレンジすることが出来たかもしれません。
2 x orz状態からすると、上出来だったと言えるでしょう。
しかし、ALOの前のP4のWEBにはさらに17秒の差がありました。
ただ、このP5、P4とのこれらの差が「解らない」の答えにもなりそうです。
なぜなら、セイフティカー導入時に、ほぼ全ドライバーが同程度の減り具合のプライムタイヤを装着しており、さらにゴールまでの燃料の搭載量は、全チームがギリギリを狙っている以上は同じという「ほぼイコールコンディション状態だった」からです。
この最終スティントの走行データは、かなり興味深いものになることでしょう。
これから3日間でデータを解析とマレーシアへの移動を済ませ、今週末、連戦で、GSRにも思い出深い灼熱のセパンでの第2戦です!
ただ、これからが大変です。相対的なスピードのデータが出そろったら、トップチームの解析力と対応力は、もの凄いのです。
Sauberの持っているアドバンテージがあったとしたら、あっという間に追いつかれてしまいます・・・。
KOB車チームも、開幕戦がP6だからといってウカウカできません。
ポイントは獲れるときに獲るを信条に、頑張ります。