過日お知らせした家庭教育学会への寄稿作業をしていたところ、私が提案する支援方法の根拠(基になった考え)を示す段になりました。
   その中で、「愛着7」と並び、私の考えの根幹になっている自立4支援」についても、その根拠を振り返ることに…。その“根拠”とは、石川尚子(株式会社「ゆめかな」代表取締役。国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ)さんの考え、いわゆる「自立3支援」(この命名は私のオリジナル)です。この「自立3支援」を振り返ることによって、「なぜ私がこの支援方法に惹かれたのか?」について、改めてお知らせすることができます。
   2016年11月の記事です。当時は、将来これが発展して、“父性”の働きとして自分の主張の根幹になるとは予想だにしていませんでした。
   では、ご覧ください。

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【今回の記事】

【記事の概要】

   半年間、コーチング講座に通ってくださったAさんは、大学生、高校生、小学生の3人のお子さまを持つお母さんです。最終回で、こんな興味深いお話をしてくださいました。

この半年間で、本当に子どもたちが変わったんです。もう、びっくり!びっくり!すごくたくましくなりましたよ。以前は、何回言っても聞かないし、ちょっとうまくいかないと、すぐあきらめてしまうような子どもたちでした。最近は、うまくいかなくても、自分で考えて解決しようとしています」。
「どう関わったら、そんなふうに変わられたんですか?」。ここは聞かずにはいられないポイントです。


◯黙って見守る

私がいちいち口を出すのをやめたんです。『宿題やりなさい』とか『早くしなさい』とか。もちろん、忍耐は要りますけど、『言わなくても自分でできる子だ』と子どもを信じて、極力黙って見守ることにしました。コーチングを知る前は、何回も言わないとダメだと思っていました。でも、それって、子どもを『言わないとやらない子』として扱っていたってことですよね。

よくよく観察してみると、子どもは子どもなりに考えてやろうしていることもあるんだなあとわかりました。それを先回りして、『やりなさい』と言ってしまうから、子どもたちはやる気をなくすんですよね。やらない子にしてしまっていたのは、こっちだったってことなんです。言いたくなる瞬間もありますけど、口を出さないで見守るようにしたら、本当に子どもが変わっていったんです!」。
Aさんの言葉には、体験を通して得られた力強さがありました。


◯指示命令より「任せる」

さらに、Aさんは、こんなお話もしてくださいました。

「休みの日に、小学生の子どもと一緒に、ちょっと遠くに出かける機会があったんです。行き方とか電車の乗り方とか、私が『一緒についてきなさい』と言って、連れていくのではなくて、全部、子どもに任せてみました。帰ってきてからが、またすごく変わったんです! 自分に自信がついたようで、今まで以上に、自発的に考えて動くようになりました。自分で考えてやってみるってすごく大事ですね!」

「任せる」こともまた、根底に、相手に対する「信頼」がないと、なかなかできないことです。「できるんだろうか?」、「失敗するんじゃないだろうか?」と思ってしまうと、つい、口を出したり、手を出したりしたくなります。

「~しなさい」と指示命令をするのではなく、子どもを信頼して、「~したいんだけど、どうしたらいいと思う? お願いしてもいい?」と全面的に任せてみるのは、とても効果的だと思います。おつかいでも、片付けでも、ささいなことからでよいのです。


◯「勉強しなさい」と言われないで育った子どもたち

私は日頃、コミュニケーション力も意欲も非常に高く、「頼もしい子だな~。きっとすばらしい社会人になるにちがいない」と思う高校生や大学生に出会うと、「親御さんはどんなかたですか?」と、つい質問してしまいます。返ってくる答えで、共通しているのは、
親から『勉強しなさい』と言われたことはないですね」という答えです。「基本的に何も言いませんが、見守ってくれている感じはします」。そんな答えが返ってきます。「勉強しなさい」と言わないほうが、よほど子どもを成長させるのではないかと思ってしまいます。

~しなさい」と言われないことで、自分で考え、自分で決めて、自ら行動できる人になっていくのです。自分で行動できた体験が、自信につながります。言って聞かせることで、多少動いたとしても、「親から言われてやった経験」は、その子にとって、真に「生きる力」となり得るでしょうか。

勇気と信頼を持って、「~しなさい」と言うのをやめてみませんか。Aさんのように、「びっくり!びっくり!」なことがきっと起こるはずです。

(筆者:石川尚子〜国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ)


【感想】
   この記事は大ヒットです!大切な支援をたった3つに限定していて、実践に移しやすいですし、必ず子どもが変わるはずです!

①について
   親がいつもいちいち口うるさく指示や注意をしていると、子どもは嫌気がさして、あらゆることに意欲を無くします。その結果、とても厄介な第二反抗期を迎えるか、最悪の場合、思春期を迎えた頃に、親より大きくなった体で親に暴力を振るってきたり、親の言うことを全く聞き入れなくなり部屋に引きこもってしまったりすることも少なくありません。以下の投稿を参照ください。
口うるさい親”に対して子どもが抱いた“殺意
   反対に温かい目で見守ることは、子どもの心の安定とともに、親との「愛着愛の絆)」の強化をもたらします以下の投稿を参照ください。
キムタク母・木村悠方子さん流子育て 〜「自然体で遠くから見守る」〜

②について
   他にも、身近な例でいうと、子どもと一緒に買い物に行って、献立メニューだけ子どもに伝え、食材の買い物を子どもに任せてみるというのはどうでしょうか?もちろん、親も同行し、子どもの買う様子を見守り、足りなかった分は教えてあげます。きっと目を輝かせて、親が予想したよりも正しく買い物をするはずです。その時は、必ず褒めてあげてください。ただし、足りなかった分を教えるのはその後です。この①褒める②教える、という順番が大切です。その後の子どもの意欲に明らかな差が出ます。褒められた子どもは、もしかしたら、「調理もやってみたい!」と言い出すかもしれません。ここでももちろん親が危険のないように、また、忘れている段取り等教えるために、見守りながら調理させてみてはどうでしょうか?単なる調理技術だけでなく、段取りを考える力も身につきます。これは将来に生きるとても大切な力です。
   しかし、子供に任せても、子供が迷ったり出来なくなったりする時があります。その時は「遠慮せずに親にヘルプを言っていい」と教えておいてあげてください。子供の方からヘルプが言える事はとても大切な力です。やってはいけないのは、「親の方から手を出さない」という事です。

③について
「〜しなさい!」と言われるたびに、子どもにとっては言葉の攻撃を受けているような感覚に襲われます。そうすると、本来なら「安定基地」であるはずの母親が「危険基地」と化していきます。「安定基地」を失い「危険基地」が目の前に現れた子どもは、緊張の連続です。飛んできた言葉のミサイルを防御し続け、いつも神経をとがらしています。だから、親の言うことに「うるせえなぁ」といちいち反発をしてくるのです。このことは、勉強に限ったことではなく、あらゆることで親に敵対心をむき出しにします。そして、ある程度成長して子どもも言い返す知識や力が蓄えられた頃にいよいよ反撃に出るのです。言葉のミサイルを発射してくる相手に反撃をするのはごく自然の防衛反応です
   親からの攻撃を受けなければ、子どもは子どものままの素直な心を持ち続けます。そんな素直な心を持っているからこそ、親の言葉を聞き入れることができるのです。語調は基本的に穏やかにして話しかけましょう。

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   合言葉は「①見守る。②任せる。③命令しない。」ですね!
   手前味噌になりますが、「セロトニン5」の支援と共通するところがあります。よろしければご参照ください。“親の雰囲気”がより明確になるはずです。
全ての子どもの気持ちを安定させるスーパー支援法「セロトニン5」②

「こんなに子どもに委ねてしまって大丈夫?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、“子どもの圧倒的なやる気”がその心配を吹き飛ばします!何よりも、親の温かい見守りがあれば大丈夫です。
   もし仮に失敗しても、親が子どもに任せて、見守っていれば、その苦い経験を糧にして「次は同じ失敗をしないようにしよう」と自分で工夫するようになります。そこに親が「転ばぬ先の杖」をわざわざ用意してしまうと、失敗しないでしまうので、失敗しない工夫をする必要がなくなり、いつまで経っても自立できない子どもになってしまうのです。