札幌の桜、今年は例年より少し早め、4月末には開花、と。

 税務調査と言えば、法人税、所得税、次いで相続税について調査されることが大半多くなります。法人税、所得税では経費の水増しや売上の除外がないか、相続税では申告漏れの資産はないか、という点がおもなポイントになります。

 

 法人税、所得税、相続税以外の税目も調査対象となります。印紙税もその一つです。

 

 近年、企業側が税務代理権限証書をととのえ、顧問税理士に納税について税務署との窓口になってもらうことが多くなっています。なぜか印紙税は税務代理権限証書で代理できる税目の対象外です。(他に登録免許税や関税も対象外)厳密にいうと印紙税調査は税理士に連絡はなく、直接納税者に調査連絡が行き、調査には税理士も立ち会えないことになります。

 

 印紙税法を概観すると、印紙を貼るべき文書が列挙されています。身近なところでは手形小切手や請負契約書などが思い浮かびます。

 

 しかし…

 

 印紙税法や基本通達をよく読むことはほとんどありません。納税者である事業者も税理士も、ひょっとすると部門が違えば税務署の職員も良く知らない税目なのです。

 

 印紙税法で定める印紙を貼付すべき文書で例えば領収証(金銭又は有価証券の受取書)はどう書かれているでしょうか。

 

 「金銭又は有価証券の受取書」とは、金銭又は有価証券の引渡しを受けた者が、その受領事実を証明するため作成し、その引渡者に交付する単なる証拠証書をいう。(平元間消3-15改正、平20課消3-74改正)

 

 そのあとの注意書きに、

 

 (注) 文書の表題、形式がどのようなものであっても、また「相済」、「完了」等の簡略な文言を用いたものであっても、その作成目的が当事者間で金銭又は有価証券の受領事実を証するものであるときは、第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)に該当するのであるから留意する。

 

 とあります。どのような表題のものでも、金額が表示され、「領収した」ということが読み取れるものなら該当、ということになります。

 

 印紙税法上、該当する文書の範囲は広く設定されていると言えます。

 

 もう一つ、印紙税で注意しなければならないのは、取引件数が多くなりがちなことです。領収証で言えば小口の売掛先が多くあるような先は文書の出し方、表現の仕方、手交方法(例・メールでの通知は印紙税の対象外)を見直しをすべき、と思います。

 

 税務署側とすれば、過去の該当取引件数×1通当たり貼付すべき印紙の額、で税額がすぐ計算でき、税務上の時効である5年分、しっかりとれる税目となります。

 

 お聞きするところでは印紙税の調査を受けた企業で過怠税なし(正しく納付できていた)はほぼないそうです。

 

 話戻って印紙税の範囲をきちんと把握している人が世の中にほとんどいない中、印紙税に精通した調査官が調べるわけですからほとんどの企業で印紙税の過怠税が発生するという、その結果に驚きはありません。

 

 印紙に不足がある場合、悪意があるとき(最初から印紙をごまかす意図があって貼らない、同じ印紙を使いまわすなど)は貼らなかった税額の3倍が過怠税として徴収されます。悪意のない、「ついうっかり」に類するものは税額の1.1倍を過怠税とする取り扱いもあるようです。

 

 (印紙の不足を指摘され、抵抗しようとしても、「では1.1倍ではなく3倍かけます」と言われたら…?)

 

 防衛策としては税務署に「この運用で良いのか」と事前問い合わせすることになると思いますが、それとて、印紙税の過怠が明らかな場合、税務署側がそれを見過ごすかというと…?

 

 企業側の努力で回避することが難しい、印紙税のリスクについてでした。

 

 

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