タイソンが尊敬する男・ ファイティング原田
世界バンタム級王座の歴史 ( 5 )
１９６６年（昭和４１年）５月３１日、前王者・１位エデル・ジョフレ（ブラジル）とのリターンマッチで、”黄金のバンタム”を見事に返り討ちにした試合は、６３．７％（関東地区）の高視聴率をマーク。原田人気を不動のものにした。
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『巨人、大鵬、玉子焼き』の時代であったが、大鵬（大相撲横綱）の変わりに原田の名を入れた方も多いのでは。
３度目の防衛戦は、一度ＫＯで敗れているジョー・メデル(メキシコ）を挑戦者に選んだ。ジョフレに続き世界ランキング１位。ランキング充実時代に、連続して最上位挑戦者と対戦。
６７年１月３日。愛知県体育館は１万２千人の大観衆で埋まる。バンタム級に転向した原田選手が、自慢のラッシュ攻撃で追い詰めた矢先に、メデルの巧みなカウンターに倒されてから３年以上の時間が経過していた。
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チャンピオンは打っては離れるラッシュ＆アウェイ。中盤戦、右クロスから攻勢を取りハッキリとペースを握った。足のない挑戦者は追うことが出来ず、試合は最終ラウンドへ。
残り時間は１分も切り、このままかと思われた時、挑戦者起死回生の左右フックが原田選手のアゴを捕らえた。これは効いた。よろけるチャンピオン。なおも追撃のメデルは、痛烈な左を突き上げるが空を切る。危なかった。
グロッギーに陥った王者は、終了ゴングに逃げ込み試合終了。ラストのピンチはヒヤッとさせられたが、それ以外は安定した試合運びで、原田選手は文句なしの判定勝ち。Ｖ３を達成。視聴率は５３．９％（関東地区）。
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同年７月４日の４度目の防衛戦は、同級２位ベルナルド・カラバロ（コロンビア）が相手。２６歳の挑戦者は、５０勝（２３ＫＯ）１敗２分。唯一の敗北は、３年前ジョフレの王座に挑んだ時（７回ＫＯ負け）のもの。多彩なパンチを持つ、技巧派だ。
日本武道館の観衆は１万１千人。褐色の肌を持つ挑戦者は、立ち上がり好スタート。軽いフットワークから、鋭いパンチを放ち王者をコントロール。初回は文句なしにカラバロのラウンドと思われたラウンド終了間際、原田選手の右フックで挑戦者は思わずダウン。
嫌な流れを断ち切った王者は、前半リードで中盤戦を迎える。しかし、リズムを立て直した挑戦者は、素晴らしいアウトボクシングを展開。ステップバックして突き上げられる左右のアッパーカットは、ことごとく王者を捕らえた。
だが、根性の男はひるまない。目、鼻、後頭部からの出血にもめげず、得意のラッシュングパワーでカラバロを追い込む。試合は踏ん張りどころで、猛烈なガンバリを見せた原田選手が、明白な判定勝ち。しかし、カラバロは上手かった。視聴率は５７％（関東地区）。
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いよいよ５度目の防衛戦を迎える原田選手。世界ランキングは１位へスス・ピメンテル(メキシコ・上写真）、２位桜井孝雄（三迫）、３位中根義雄（不二）と続く。笹崎会長は、「日本人同士の初の世界タイトルマッチに魅力を感じる」と、その実現を目指していた。
一方、ＷＢＡはピメンテルとの指名試合を強要。これまでのルールは、「１位と他の挑戦者を交互にやればよい」だったが、「半年に一度は１位と対戦しなければならない」へと解釈が変わっていた。ルール条文は変わっていないのにである。
１位ピメンテルは、６７年６月メキシコに於いて３位中根選手に１２回判定負けしたが、トップランカーの地位は変わらなかった。この辺からＷＢＡのおかしな介入が始まる。組織の正常化というのが、その名目であったが・・・。 ＝ 続 く ＝
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