アウゴスト・ヴィンディング(August Hendrik Winding)デンマークの作曲家 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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August Winding

 

画像はココ から拝借。

 

アウゴスト(アウグスト)・ヘンドリク・ヴィンディング

August Hendrik Winding

 

デンマークのピアニスト、音楽教師、作曲家。

1835年、ロラン島(Lolland)生まれ。

彼の父は牧師で、デンマークの民謡を収集して編曲するなどしていた。

 

最初、父より音楽の手ほどきを受けた。

 

ライプツィヒ音楽院に留学し、

1947年にカール・ライネッケ(Carl Heinrich Carsten Reinecke)

から作曲の指導を受けた。

 

1848年から1851年にかけては同音楽院において、

ショパンと交流のあった

アントン・レー(Anton Ree 1815年-1891年)にピアノを、

ネルス(ニルス)・ゲーゼ(Niels Gade)に音楽理論と作曲を師事した。

 

ヴィンディングの公のキャリアはピアニストとして始まった。

彼はヨーロッパ中の国々を演奏して回り、

特にベートーヴェンとモーツァルトを専門としていた。

中でもベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第4番」は彼の十八番だった。

 

1864年、彼はJ.P.E.ハートマンの娘のクララと結婚し、

ゲーゼもその姉妹と結婚した。

ヴィンディングは1867年にコペンハーゲンのデンマーク音楽アカデミー

(Det kongelige danske musikkonservatorium)の教員となっており、

私的にも教育活動を行うようになった。

 

1867年、ヴィンディングは腕を酷使しすぎて痛めてしまい、

演奏活動から身を引かざるを得なくなったが、

彼はこれによって作曲に専念できるようになった。

しかし、1881年には音楽アカデミーでの教員生活を再開している。

また1888年から没するまでには、演奏会にも何度か登場している。

 

ヴィンディングは、1899年、

ケブンハウン(København)(コペンハーゲン)にて、

64年の生涯を閉じた。

彼の音楽は讃美歌を除いてほとんど忘れ去られていたが、

他の主要作品にも注目が集まりつつある。

 

※Wikipedia日本語版に加筆、修正。

 

【主な作品】(管弦楽)

・北欧風序曲(“悲劇的序曲”だという情報もあり)(1864年)

Nordisk Ouverture, op. 7(Ouverture til en Sørgespil ?)

・ピアノ協奏曲 イ短調 - 3楽章(1868年)

Klaverkoncert i a-moll, op. 16

・ピアノと管弦楽のための演奏会用アレグロ ハ短調(1875年)

Concert Allegro for klaver og orkester i c-mol op. 29

・交響曲 ハ短調 (1894年)

Symfoni i c-mol, op. 39

 

【主な作品】(室内楽)

・ヴァイオリンソナタ(1864年)

Violinsonate, op. 5

・チェロソナタ(1854年)

Cellosonate, op. 10

・ピアノ四重奏曲 - 4楽章(1870年)

Klaverkvartet, op. 17

・クラリネット、ヴァイオリンとピアノのための3つの幻想的小品集 - 3楽章(1872年)

3 Fantasistykker for klarinet, violin og klaver

・弦楽五重奏曲 - 5楽章(1879年)

Strygekvintet, op. 23

・黄昏の情景(ヴァイオリン、ピアノとオルガンのための)(1904年)

Aftenstemning for violin, klaver og orgel, op. 47b

 

【主な作品】(ピアノ曲)

・田園の情景

Landlige Scener

・夏の思い出

Sommerminder, op. 26(?)

・全ての調性による前奏曲集

Præludier for klaver, op. 26

・左手のための3つの小品

Trois Morceaux pour la main gauche, Op. 27

 

その他、編曲、歌曲、賛美歌など

 

【資料】

アウグスト・ヴィンディング - Wikipedia

アウグスト・ヴィンディング - IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー: パブリックドメインの無料楽譜

https://bibliotek.kk.dk/ting/object/710100%3A03891631

http://dvm.nu/periodical/dmt/dmt_2001-2002/dmt_2001-2002_01/plader-29/

 

ピアノ協奏曲 イ短調

ピアノ:オレグ・マルシェフ - Oleg Marshev

演奏:南ユラン交響楽団 - Sønderjyllands Symfoniorkester

指揮:マティアス・エッシュバッハー - Matthias Aeschbacher

 

ピアノと管弦楽のための演奏会用アレグロ ハ短調

ピアノ:オレグ・マルシェフ - Oleg Marshev

演奏:南ユラン交響楽団 - Sønderjyllands Symfoniorkester

指揮:マティアス・エッシュバッハー - Matthias Aeschbacher

 

「ピアノ協奏曲イ短調」は、

ロマン派ピアノ協奏曲の魅力に溢れた佳曲と言えるかも知れません。

 

「演奏会用アレグロ」も、余り味気ない題名を付けるには勿体無いくらい、

劇的でロマンティシズムに溢れた、隠れた名曲と言って良いかも知れません。

 

旋律が、とても印象深く魅力的に感じます。

 

ピアノ独奏は、適度に技巧性がある上に流麗で繊細。

ヨハン・ペーター・エミリウス・ハートマン

(Johann Peter Emilius Hartmann)や、

ネルス・ゲーゼなどに代表される、デンマーク・ロマン派の要素を、

やはり受け継いでいる様に感じます。

 

 

 

◎「ピアノ協奏曲」に於ける、奇妙な偶然の一致?

これは、私が偶然見つけたのですけど、

何と、ヴィンディングのピアノ協奏曲と、

グリーグのかの有名な「ピアノ協奏曲」とは、

作曲年、調性、作品番号が、

全く同じなのです!!

https://twitter.com/OtsukaSatoru/status/428153283555753984

 

どちらも、作曲年が1868年、調性はイ短調、作品番号は16番。

 

グリーグはノルウェー、ヴィンディングはデンマークですが、

共に北欧の作曲家。

何らかの交流でもあったのでしょうか?

 

作品番号が同じである事を指摘している英文を見つけました↓

The first work given on this CD is the Concerto for Piano and Orchestra in A minor.

It is Opus 16 (not Opus 19 as the typographical error on the CD notes suggest)

which by a strange coincidence is the same opus number as

Grieg's concerto in the same key!

WINDING and HARTMANN piano concertos [JF]: Classical Reviews- August 2001 MusicWeb(UK)

 

それから、グリーグのピアノ協奏曲の第1楽章の冒頭の音形が、

シューマンのピアノ協奏曲の第1楽章の冒頭の音形と似ている

という指摘を何かで見た事があります。

 

実際、グリーグのピアノ協奏曲は、

シューマンのピアノ協奏曲の影響を受けているそうです。

 

そこでまた気付いたのですけど、

ヴィンディングのピアノ協奏曲の第1楽章の冒頭の音形も、

シューマンのピアノ協奏曲の第1楽章の冒頭の音形に

似ている気がするのです。

 

「グリーグのピアノ協奏曲」より、第1楽章

ピアノ:レオン・フライシャー - Leon Fleisher

演奏:クリーヴランド管弦楽団 - Cleveland Orchestra

指揮:ジョージ・セル - George Szell

 

「シューマンのピアノ協奏曲」より、第1楽章

ピアノ:マウリツィオ・ポッリーニ(ポリーニ) - Maurizio Pollini

演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 - Berliner Philharmoniker

指揮:クラウディオ・アッバード(アバド) - Claudio Abbado

 

グリーグのピアノ協奏曲も、ヴィンディングのピアノ協奏曲も、共に、

冒頭部分がシューマンのピアノ協奏曲を意識している様に感じられるのです。

 

考え過ぎでしょうか?

 

しかも、ヴィンディングの方が、

グリーグのよりも、シューマンのにより近い。

 

因みに、シューマンのピアノ協奏曲も、「イ短調」です。

 

 

 

◎情報の食い違いや疑問

Wikipediaで『北欧風序曲』(Nordisk Ouverture)と紹介している曲は、

別の頁では『悲劇的序曲』(Ouverture til en Sørgespil)と紹介しているので、

どちらが正しいのかよく分かりません。

 

どちらも「作品7」と出ているのです。

Ouverture til en Sørgespil, Op.7 (Winding, August) - IMSLP

 

また、ピアノ曲『夏の思い出』も、『全ての調性による前奏曲集』も、

共に「作品26」(op. 26)なんですけど、これもどうしてなのでしょうか?

 

一応、前者には、(?)付きで出ていますが。

 

 

 

◎CD化について

「Danacord」というデンマークのレーベルより、

デンマークの珍しいピアノ協奏曲のCDのシリーズが出ており、

その内の Vol 3, Vol 4 を数年前に手に入れております。

Vol 2 に、ヴィンディングのピアノ協奏曲が収録されていますが、

残念ながら手に入れておりません。

 

ヴィンディングの

『ピアノと管弦楽のための演奏会用アレグロ』も収録されており、

デンマーク・ロマン派の重鎮、

ヨハン・ペーター・エミリウス・ハートマンの息子、

エミル・ハートマン(Emil Hartmann)のピアノ協奏曲とのカップリングです。

 

 

デンマークのピアノ協奏曲集:第2

Danish Piano Concertos Ⅱ

ピアノ:オレグ・マルシェフ - Oleg Marshev

演奏:南ユラン交響楽団 - Sønderjyllands Symfoniorkester

(デンマーク・フィルハーモニー管弦楽団 - 南ユトランド)

(The Danish Philharmonic Orchestra, South Jutland)

指揮:マティアス・エッシュバッハー - Matthias Aeschbacher

【DACOCD 581】

Danacord Records - DACOCD 581

ヴィニング:ピアノ協奏曲 イ短調/演奏会用アレグロ/E. ハルトマン:ピアノ協奏曲 ヘ短調 - NML ナクソス・ミュージック・ライブラリー

 

その他、「Romantic Discoveries Recordings」というレーベルから、

ヴィンディングのピアノ曲集CD

Piano Music of August Winding (1835-99)

ハートマン父子とのオムニバスのピアノ曲集CD

【RDR CD86】

Piano Music of J.P.E. and Emil Hartmann and August Winding

などが出ています。

 

 

 

◎名前の表記について

「Winding」という表記のため、

「ヴィンディング」と発音、表記しそうですけど、

地元では「ヴィニング」「ヴィニン」に近い発音の様です。

 

「アンデルセン」(Andersen)も、

地元では「アナスン」「アンスン」に近い発音をするとは

一部で知られています。

 

つまり、語中の「d」の発音が脱落しているわけです。

 

なので、「ヴィニング」表記にしました。

 

(追記:ネイティヴの発音を確認した所、

『ヴィンディング』と発音していたので、

『ヴィンディング』に修正)

 

 

 

◎オーケストラ・ナデージダ第10回演奏会情報

有名な曲と共に、滅多に演奏されない無名のクラシック曲も取り上げる、

オーケストラ・ナデージダの演奏会が、4月19日に行われます。

 

以下がその情報です↓

 

オスカル・リンドベリ

Oskar Lindberg

3つのダーラナの絵画(1907-1908)

Tre dalmålningar op 1

 

カール・ネルセン(ニールセン)

Carl Nielsen

交響曲第2番ロ短調「4つの気質」(1901-1902)

Symfoni nr. 2, h-mol, op. 16 “De fire Temperamenter”

 

セルゲイ・リャプノフ

Сергей Михайлович Ляпунов

交響曲第1番ロ短調(1885-1887)

Симфония № 1 h-moll

 

日時:2014年4月19日(土)14時開演

入場料:1.000円(全自由席)

※60歳以上は無料(当日証明できるものをお持ち下さい)

場所:狛江エコルマホール

指揮:渡辺新

オーケストラ・ナデージダ第10回演奏会 - Orchestra Nadezhda Facebook

 

 

 

それから、5ヶ月も先の事になりますけど、

魅力溢れるにも拘らず無名に甘んじているクラシック曲を取り上げる、

オーケストラ《エクセルシス》

の第5回演奏会のプログラムが決まったとの事で、

その連絡が入りましたので、その内容をお知らせいたします。

 

テオドール・デュボワ

François-Clément Théodore Dubois

アドニス(交響詩) ※日本初演

Adonis, poème symphonique

 

フィリップ・ゴーベール

Philippe Gaubert

海の歌 - 3つの交響的絵画(1929) ※日本初演

Les Chants de la Mer, trois tableaux symphoniques

 

アルベリク・マニャール

Lucien Denis Gabriel Albéric Magnard

交響曲第4番 嬰ハ短調(1913)

Symphonie nº 4 en ut dièse mineur op. 21

 

日時:2014年 9月23日(火・祝)午後公演

場所:杉並公会堂 大ホール

指揮:大浦智弘

http://excelsis.sub.jp/concert_info.shtml

 

今回は、フランスの作品を取り上げるようです。

フランスとは言うものの、やはり無名の作曲家はいます。

今から楽しみです。

 

【追記:2023/1/3】

「Winding」の発音をFORVOで確認したところ、

出ていた発音が皆「ヴィンディン」と発音していたので、

「ヴィンディング」に修正しました。

 

CD画像差し替え

 

 

 

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