リディア・アウステル(Lydia Auster)中央アジア→エストニアの作曲家 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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Lydia Auster


画像はコチラから拝借↓

Lydia Auster - Eesti Muusika Infokeskus


1912年、ペトロパヴル(Петропавл)生まれ。


1927~1931年、オムスク(Омск)で、ピアノと作曲を学ぶ。


1931~1934年、レニングラード音楽院で学ぶ。


1938年、モスクワ音楽院にて、

ヴィッサリオン・ヤコヴレヴィチ・シェバリーン(Виссарион Яковлевич Шебалин)

の許での研究を修め、1944年まで、中央アジア地域で作曲家として活躍する。


1945年、エストニアのタリンへ移住。


エストニア国営放送局で音楽監督を勤める。


民族ロマン主義の作風で、管弦楽、ピアノ、ヴァイオリン、歌曲、合唱、

バレエ等の作品を書いた。


1993年、タリン(Tallinn)没。

※Wikipediaドイツ語版を基に構成。

Lydia Auster(Wikipedia, Deutsch)

Lydia Auster - Eesti Muusika Infokeskus


【代表作】

・幻想的序曲『エストニア』(1945)

Avamäng-fantaasia “Eestimaa”

・エストニア民謡組曲(管弦楽)(1948)

Süit eesti rahvaviisidest, sümfooniaorkester

・ピアノ協奏曲第1番ト長調(1952)

Klaverikontsert nr 1 G-duur, op. 18

・バレエ音楽『ティーナ』(1955)

Ballett “Tiina” op.20

・叙情的小協奏曲『夏のカスム』(ヴァイオリンと管弦楽)(1966)

Lüüriline kontsertiino viiulile ja orkestrile “Suvi Käsmus“, op. 25

・ショート・オペラ『5月の朝』(1970? 1972?)

Novellooper “Maihommik”

Teosed - Eesti Muusika Infokeskus

Muusika24 - Lydia Auster-Novellooper "Maihommik"


ピアノ協奏曲第1番ト長調

ピアノ:ヴァイケ・ヴァヒ(Vaike Vahi)

指揮:ペーテル・リリェ(Peeter Lilje)

演奏:国立エストニア交響楽団(Eesti Riiklik Sümfooniaorkester)

http://www.youtube.com/watch?v=rI_WWZZ5hLI


叙情的小協奏曲『夏のカスム』

ヴァイオリン:ユハン・シュッツ(Juhan Schütz)

指揮:ロマン・マツォフ(Roman Matsov)

演奏:エストニア放送交響楽団(Eesti Raadio Sümfooniaorkester)

http://www.youtube.com/watch?v=R70giv0IfbU


この作曲家は、最近YouTubeに出ているのをたまたま発見して知りました。

ちょっと前に紹介した、同じエストニアの作曲家キリルス・クレーク と同様、

20世紀の活躍であるにも拘らず、所謂“現代音楽”に走らず、

穏健な作風で作曲したようです。


ピアノ協奏曲第1番

北欧的な雰囲気を感じる協奏曲。

旋律は殊更明快というわけでは無いけど中々魅力があって表情に富み、

その分楽曲構成も単純に感じられないので、深み溢れるものを感じました。

ピアノパートも適度に技巧性があり、管弦楽との比率的バランスも

取れていると思います。


特に第2楽章(緩徐楽章)の、ピアノやオーボエ等によって奏でられる

情感溢れる旋律の美しさは格別なものがあり、恋愛映画にでも使えそう。

民謡から取られたのでしょうか?


第3楽章は、やや早いテンポの民俗舞曲風旋律。

如何にもフィナーレという感じで感動的。

最後の一歩手前附近で、第1楽章の序奏と同じ音形が再び現われ、

そして締め括り。


叙情的小協奏曲『夏のカスム』

は、時代を反映した様なやや不協和音的な響きで、

明快さはその分後退しますけど、

民謡調の旋律が中々魅力的なので、意外と退屈さを感じませんでした。

幻想的な表現が、中々のもの。


20世紀に活躍したにも拘らず、

穏健な作風を堅持した作曲家は、実は沢山います。

ベルギーの、イェフ・ファン・ホーフ(Jef van Hoof)、

アイルランドの、ハミルトン・ハーティ(Sir Hamilton Harty)、

ノルウェーの、スヴェッレ・ユーダン(Sverre Jordan)、

スウェーデンの、オスカル・リンドベリ(リンドベルィ)(Oskar Lindberg)等々。


で、三枝成彰も指摘している事ですが、

20世紀というのは現代音楽の時代で、

一般的に美しいとされるメロディが否定され、

一般的に耳障りな不協和音とされる音楽が好まれた時代であったため、

ロマン派などの美しいメロディを書く作曲家はまともに相手にされず、

大半は埋もれてしまう事になったようです。

リディア・アウステルも、その中の一人ではないかと思います。


女性である事や中年期の風貌などが、何処と無く、

沖縄民族楽派の祖、金井喜久子を彷彿とさせます。


名前の「Lydia」についてですが、

最初、エストニアの作曲家という事で、

「リティア」と表記しようと思いましたが、

元は中央アジアの出身という事なので、

「リティア」「リディア」両表記にしていました。

現在は、「リディア」表記のみにしています。


今回紹介したピアノ協奏曲はCD化されているようですが、

YouTubeに出ているのは演奏者が同じであるため、

そのCDから取られた可能性が高いです。

チェコとエストニアから - ユビュ王の晩餐のための音楽


Lydia Auster EAÜ – NBC


ヴァイケ・ヴァヒのピアノ名演集(Klaveril Vaike Vahi)

・ボフスラフ・マルチヌー(Bohuslav Martinů)

ピアノと管弦楽のための小協奏曲(Kontsertiino Klaverile ja Orkestrile)1938

指揮:ネーメ・ヤルヴィ(Neeme Järvi)

演奏:国立エストニア交響楽団(Eesti Riiklik Sümfooniaorkester)

・マティ・クールベルク(Mati Kuulberg)

ピアノ六重奏曲(Klaverisekstett)1974

フルート:サムエル・サウルス(Samuel Saulus)

オーボエ:ヘルドゥル・ヴァルヴ(Heldur Värv)

クラリネット:レイン・カリン(Rein Karin)

ファゴット:イルマル・アーサメッツ(Ilmar Aasamets)

ホルン:ウヴェ・ウースタル(Uve Uustalu)

・リディア・アウステル(Lytia Auster)

ピアノ協奏曲第1番(Klaverikontsert nr 1 G-Duur, Op. 18)1952

指揮:ペーテル・リリェ(Peeter Lilje)

演奏:国立エストニア交響楽団(Eesti Riiklik Sümfooniaorkester)

【EAÜ – NBC】2008年

Vaike Vahi - Klaveril Vaike Vahi (CD) at Discogs

Klaveril Vaike Vahi - Lasering


因みに、やや先輩格にあたるエストニア人作曲家、

マルト・サール(Mart Saar)も、

『エストニア組曲』を書いています(ピアノ曲ですけど)。

Mart Saar - Eesti Süit Nr 1 / Eesti Süit Nr 3 - Discogs




【更新】2015年12月28日

肖像画像を追加。

「リティア(リディア)」両表記を廃し、

「リディア」表記のみに変更。

削除された頁へのリンクを削除。




【関連エントリー】

ニコハヨス・ティグラニャン(Նիկողայոս Տիգրանյան)

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http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11363548060.html