※画像は『FindArmeina』さんより拝借
ニコハヨス・ティグラニャン(ティグラニャーン、ティグラニアン)
アルメニア文字表記
Նիկողայոս Տիգրանյան
ラテン文字表記
Nikoghayos Tigranian
キリル文字表記
Никохайос Тигранян
アルメニアの作曲家、民族音楽研究者、ピアニスト。
1856年(1857年?)、ギュムリ(Գյումրի)生まれ
9歳で失明する。
1873~1880年の間、ウィーンの視覚障害者学校で学び、
その後、サンクト・ペテルブルク音楽院で学ぶ。
1921年、故郷ギュムリの学校に、アルメニアで初めて『点字』を導入。
アルメニアの民俗音楽を蒐集し、それをピアノ曲に編曲したり、
自作の曲を作曲する。
1951年、イェレヴァン(エレバン)(Երևան)に没する。
※Wikipedia英語版を元に作成。これで正しいかは各々の判断に任せます。
Նիկողայոս Տիգրանյան - FindArmenia.com
ՀԱՄԱՑԱՆՑ ՀԱՅԱՍՏԱՆՈՒՄ` ԿՈՅՐԵՐԻ ՀԱՄԱՐ - Aztag Daily
Nikoghayos Tigranian - Wikipedia, English
グルジアの作曲家は今まで何人か紹介してきましたが、
アルメニアの作曲家は、
アレクサンドル・スペンディアリャン
(Ալեքսանդր Սպենդիարյան, 1871-1928)
くらいしか紹介していませんでした。
アレクサンドル・スペンディアリャン(Ալեքսանդր Սպենդիարյան)アルメニア作曲家
アルメニアのクラシック音楽の作曲家でよく知られている作曲家は
何人もいますが、皆20世紀以降に活躍した人ばかりです。
例によって私は、スペンディアリャン以前の、
19世紀~20世紀初頭に活躍した
ロマン派のアルメニア人作曲家が知りたいと思ったので、
それについて調べてみた所、何人か知る事が出来ました。
ちょっと前に、ポルトガルやギリシャの作曲家を
数人纏めて紹介するという事をしたので、
アルメニア人作曲家もそういう紹介の仕方をしようと思いましたが、
それだと、一人の作曲家の紹介に注ぐエネルギーが少なくなるので、
個別に紹介する事にしました。
無名の作曲家を出来るだけ有名にしたいという目的があるので、
一人々々きっちり紹介した方が良いと思ったからです。
それから、「ASV」というレーベルから、
アルメニアの管弦楽作品集(Orchestral Music of Armenia)【DCA 1037】
が出ていて、前々からレビューを書こうと思いつつも、
内容が多くなると思い、かったるくて中々出来ないでいました。
それについても、暫くは後回しにしておきます。
アルメニア人以外の作曲家によるアルメニア国民楽派的作品である、
ミハイル・ミハイロヴィチ・イッポリトフ=イヴァーノフ(イワーノフ)
(Михаил Михайлович Ипполитов-Иванов)による、
『アルメニア狂詩曲』
(Армянская рапсодия на народные темы)1909年
も注目に値します。
さて、本題に移ります。
前述のスペンディアリャンが、
一応『アルメニア国民楽派の祖』という事になってはいます。
しかし、そうでは無いかも知れない作品が
YouTubeに出ているのを発見してしまいました。
カフカースの民謡と舞曲集(ピアノのための)
Անդրկովկասյան ժողովրդական երգեր և պարեր
Caucasian Folk Songs and Dances for piano, op.1(1888)
より、
1:グルジアのロマンス(ქართული რომანის)
『Ախ դիլաւ, դիլաւ』(Ah, Dilav, Dilav!)
『Ախ դիլավ, դիլավ』(Ah, Dilak, Dilak!)
4:アルメニアのラウンドダンス(Հայկական պար)
『Ետ ու առաջը』(Yet u Araj)
7:ペルシャ舞曲(رقص ايراني)
『Շարաշուպ』(Charashup)
『Շարաշուբ』(Charashub)(Charachoube)
演奏:フィリップ・スィアー(シアー)(Phillip Sear)
http://www.youtube.com/watch?v=r6Y0d3fVxqE
スペンディアリャン以前にも
アルメニアのクラシック作曲家は当然いたわけですが、
スペンディアリャンが『アルメニア国民楽派の祖』
と見做されているからと言って、
それ以前のアルメニアの作曲家が、
単なるロマン派様式でしか作曲していなかった
わけでは無かったわけです。
また、アルメニア民謡を蒐集して合唱曲などに編曲したことで功績のある
ゴミダス・ヴァルタベット(コミタス・ヴァルダペット)
(Կոմիտաս Վարդապետ, 1869-1935)
がおりますが、民謡の蒐集とその利用は、
ティグラニャンの方が先の様ですね。
作曲年についてですが、作品番号が1番なので、
かなり早い時期の作品であるのは間違いありません。
上にリンクしてあるアルメニア語による経歴では、
1888年作曲と出ています。
スペンディアリャンのWikipedia頁に出ている最も初期の作品は
1888~1889年作ですが、
ロシアの詩人の詩に曲を付けたものと思われるので、
ティグラニャンの方が先だと思います。
「カフカース」と銘打っているだけあり、アルメニアだけではなく、
グルジアやペルシャ(イラン)までカバーしています。
YouTubeに出ているのは、
『コーカサスの民謡と舞曲集』から3曲を選んで演奏したものらしいですが、
上にリンクしてあるアルメニア語の頁を見ると、全7曲のようです。
作品を聴いた感想ですが、かなり民俗的要素が強く出ていますね。
初期作品とはとても思えません。
特に、第7曲のペルシャ舞曲なんかは、かなり大胆な旋律が特徴的で、
とても印象深いです。
「Dilav」の意味がよく分かりません。
グルジア文字に直すと「დილავ」となりますが、
それに近い言葉に「დილა」があり、「朝」を意味します。
が、「Ah, Dilav, Dilav!」を「ああ、朝、朝!」と訳して良いものか、
自信がありません。
上にリンクしてあるアルメニア語の頁によっては、
ラテン文字で「Dilak」と表わす文字も出ています。
「朝」で合っているのかも?
YouTubeに、アルメニアのラウンドダンスとして紹介されていた曲
『Ետ ու առաջը』の文字を検索したら、
『カリン』(Կարին)という舞曲が出てきました。参考までに。
http://www.youtube.com/watch?v=BsEEzL9SO4M
http://www.youtube.com/watch?v=nTe6Kin2MmQ
「Charachoube」について検索してみたのですが、全く分かりません。
発音も「チャラチューベ」で良いのかどうかも不明。
「チャラチュベ」「チャラチューブ」等の検索でも分からない。
恐らく、ペルシャ文字による表記では検索でヒットするのかも知れませんが、
その綴りが分からない。
上にリンクしてあるアルメニア語の頁には、
「Շարաշուբ」(Charashub, チャラシュブ)あるいは、
「Շարաշուպ」(Charashup, チャラシュプ)と出ていましたが、
やはり、検索で殆ど出てこない。
アルメニアの画家
スィモン(シモン)・メスロピ・ガルスティヤン(ガルスティヤーン)
(Սիմոն Մեսրոպի Գալստյան, Simon Mesropi Galstyan)1914-2000
による、ティグラニャンの肖像画(1946年)
Գալստյան Սիմոն Մեսրոպի | Նիկողայոս Տիգրանյանի - Հայաստանի ազգային պատկերասրահ
アルメニアの彫刻家
アラ・ミフラニ・サルグスィヤン(サルグスィヤーン)
(Արա Միհրանի Սարգսյան, Ara Mihrani Sargsyan)1902-1969
による、ティグラニャンの肖像木彫刻(1940年)
Երաժշտագետ Նիկողայոս Տիգրանյանի կիսանդրին - Հայաստանի ազգային պատկերասրահ
【関連エントリー】
未CD化交響曲の色々(ロマン派・国民楽派・無名作曲家限定!!)(2)
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11259011718.html
マイナークラシック音楽紹介記事アドレス保管庫(8)