ベルナルト・ズヴェールス(Bernard Zweers)(3)オランダの作曲家 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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ベルナルドゥス・ヨゼーフス・ヴィルヘルムス・ズヴェールス

Bernardus Josephus Wilhelmus (Bernard) Zweers(1854-1924)

 

アムステルダム(Amsterdam)の本と音楽の専門店の息子として生まれる。

最初は独学で音楽を学んでいたが、

後に本格的に学ぶためライプツィヒに留学し、

ザロモン・ヤーダスゾーン(Salomon Jadassohn)に対位法を学んだ。

 

1881年に『ニーベルングの指輪』のベルリン初演を聴き、

非常に感銘を受けた。

 

オランダに帰国後、

アムステルダム音楽院(Conservatorium van Amsterdam)

で教鞭を執るなど、盛んに音楽活動を行ったが、

耳の疾患に悩まされ、晩年にはとうとう聴覚を失ってしまった。

 

Bernard Zweers - Wikipedia, Nederlands

 

Bernard Zweers

 

ずっと前 にご紹介したズヴェールス(ズウェールス)ですけど、

何故今頃になっての紹介なのかというと、

実は、やっとスターリング(Sterling)から、

交響曲第3番『我が祖国に』(Aan mijn vaderland)のCDが出たからです!!

 

まず、交響曲第2番のCD(CDS-1061-2)が2004年に登場し、

その2年後に、交響曲第1番のCD(CDS-1068-2)が出ました。

しかしその後、主役である交響曲第3番のCDが中々出ない!!

 

何故交響曲第3番の存在を知っていたのかというと、ネット上で、

大分前に『OLYMPIA』からそのCDが出されているという情報を

得ていたからです。

(追記:20年程前の登場らしく、現在は廃盤になっていて極めて入手困難)

で、じらしていたつもりなのかは知りませんが、

2010年にやっと登場していたという事を、

1ヶ月程前にネット検索してたまたま気付いたわけです。

 

即購入して聴いてみましたが、中々の出来栄えで驚きました。

というのも、交響曲第1、2番はドイツロマン派の亜流そのもので

独自性が感じられなかったため、ちょっと不安だったのです。

 

所が彼は、実はオランダ国民楽派の先駆者だそうです。

交響曲第3番で初めてクラシック音楽にオランダ民謡を取り入れた上に、

オランダ語のテキストによる声楽曲も書いたそうで。

 

交響曲第1、2番の、

あの保守的なドイツロマン派風の曲を聴いてしまうと、

やっぱり誤解してしまいます。

 

そんなわけで、要するに、交響曲第3番のCDが出たから、

交響曲第2番のCDを駆け込み紹介しようと思ったわけです。

この後直ぐに、交響曲第3番のエントリーを書く予定。

 

ズヴェールスの風貌がボロディンに似ていると思ったのは、

私だけではない筈?

 

 

 

 

 

ベルナルト・ズヴェールス管弦楽作品集

 

・演奏会用序曲『サスキア』(Ouverture Saskia, 1906)

レンブラント生誕300周年を記念した曲。

ズヴェールスと同じオランダの作曲家、

コルネリス・ドッペル(Cornelis Dopper)の

交響曲第3番『レンブラント』(1892, 改訂1904)

の改訂版も同年演奏された。

 

作品の感想ですが、

冒頭のフルートなどによって奏でられるメロディが可愛らしい。

荘厳さや威厳溢れるメロディが主ですが、

不安げで緊張感漲るフレーズも出てきます。

最後は栄光に包まれながら静かに幕を閉じてゆく感じなのですが、

音楽でサスキアの何を具体的に表しているのかは不明。

前述の可愛らしいメロディが、

サスキアの美しさを表しているのだろうなというのは大体分かりますが。

 

サスキアは、レンブラントを成功に導いた妻として知られていますが、

親の遺産を無駄使いしていたとも言われ、

結核で29歳の若さで亡くなりました。

 

・交響曲第2番変ホ長調(Symfonie nr.2 in Es, 1882-1883)

交響曲第1番(1881)は、習作として書いたんじゃないかと思える様な

保守的なドイツロマン派風なのですが、

第2番は、第1番に比べると格段に力量が上がってはいるものの、

シューマンの物真似っぽい印象。

第1楽章(Allegro vivace)は、

シューマンの交響曲第3番『ライン』の第一楽章を

思わせ、力強さに溢れています。

第2楽章(Andante)は、

もの悲しくも美しさを湛えている旋律がなかなか魅力的。

第3楽章(Allegro con moto)は、牧歌的な可愛らしい旋律と、

テンポ早めのロシア風舞曲(?)という対照的なメロディが出てきます。

フルートによる上昇旋律や下降旋律には、大胆な響きを感じました。

第4楽章(Allegro)は、シューマンの交響曲第1番『春』を思わせます。

ウキウキと喜びに溢れ、力強さに満ちています。

 

・フォンデルの劇のための付随音楽『アームステルのヘイスブレヒト』

(Toneelmuziek bij Vondels ”Gijsbrecht van Aemstel”, 1892)

アムステルダム初の劇場が、

1637年に完成した記念として当時上演された劇を、

管弦楽組曲にしたもの、らしい。

原作者は、ヨースト・ファン・デン・フォンデル

(Joost van den Vondel, 1587-1679)。

Gijsbrecht van Aemstel - Wikipedia, Nederlands

5つの楽章で構成されています。

劇付随音楽から5つを選んで組曲にしたのか?

それとも元からそうなのかは不明。

(というか、解説書をキッチリ翻訳すれば

その答えが出てくるのかも知れませんが、

面倒なのでしません。)

このズヴェールスの音楽を用いて、再演されたらしい。

 

聴いた感想ですが、最初聴いた時、

旋律が余り印象的ではなかったため、とても退屈に感じました。

大体皆同じ雰囲気に感じました。

この戯曲の内容はよく分かりませんが

(翻訳が面倒なので内容は調べません)、

悲劇らしいのは確かで、

楽章によってはテンポが速めだったり遅めだったりしますけど、

全てに於いて悲劇的な雰囲気に満ちています。

17世紀当時を意識したと思われる古風さを感じる旋律ですが、

勿論それに、ロマン派的な劇的表現も加わっています。

 

以前は1回くらいしか聴いて無かったのですが、

今回エントリーを書くにあたって何回か聴いてみたところ、

そんなに悪くないなと思う様になりました。

それから、ヘイスブレヒトを表しているものと思われる”主題”が、

全5楽章に渡って形を変えて登場します。

ベルリオーズの”固定観念”(Idée fixe)ってヤツですかね?

 

因みに、ズヴェールズの先輩にあたるオランダロマン派作曲家

ヨハネス・フェルフルスト(Johannes Verhulst, 1816-1891)は、

序曲ハ短調『アームステルのヘイスブレヒト』作品3

Ouverture ”Gijsbrecht van Aemstel” C mineur op.3(1837)

を書いております。

 

 

ズヴェールス管弦楽作品集

演奏:オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団

(Radio Filharmonisch Orkest Holland)

指揮:ルーカス・フィス

(Lucas Fis)

【STERLING CDS-1061-2】

 

 

 

 

 

【追記】(2016年6月5日)

ベルナルデュス・ヨゼフュス・ヴィルヘルミュス・ズヴェールス

ベルナルドゥス・ヨゼーフス・ヴィルヘルムス・ズヴェールス

 

オランダ語の「u」は基本「ユ」らしいのですが、

実際の発音を聴いてみると、「ウ」に近い感じに聴こえるので、

上記の様に改めました。

 

ヤダスゾーン → ヤーダスゾーン

 

本文中にある、「OLYMPIAのCD」はこちらです↓

 

 

レズィデンツィ管弦楽団 オランダ音楽の400年 第4集

Het Residentie Orkest 400 Years of Dutch Music series Vol. 4

フルート協奏曲第1番 二短調 (テオドール・フェルヘイ)

Concert nr. 1 in d mineur voor fluit en orkest (Theodor Ferhey)

指揮:ルーカス・フィス(Lucas Vis)

演奏:レズィデンツィ(レジデンツィ)管弦楽団(Het Residentie Orkest)

交響曲第3番 変ロ長調 『我が祖国に』 (ベルナルト・ズヴェールス)

Symfonie nr. 3 in Bes majeur “Aan mijn vaderland” (Bernard Zweers)

指揮:ハンス・フォンク(Hans Vonk)

演奏:レズィデンツィ(レジデンツィ)管弦楽団(Het Residentie Orkest)

【OCD 503】Olympia

Release “400 Years of Dutch Music, Volume 4: Verhey, Zweers - MusicBrainz

Zwe..Zwi - Album List

 

【追記:2023/2/7】

CD画像2枚差し替え

 

 

 

 

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