マイナークラシック音楽の新入手CD ジョンゲン ディーペンブロック カップ フェルヒュルスト | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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一月初頭から3回程に掛けて、

マイナークラシックCDを幾つか手に入れたので、

それらをご紹介します。

 

 

 

ジョゼフ・ジョンゲン 

Joseph Jongen (1873‐1953)

 

 

近代ベルギーの作曲家だが、

私は知らなかったので、

てっきりマイナーだと思っていたが、

そんなに知名度は低くないようだ。

ジョゼフ・ジョンゲン - Wikipedia

 

ベルギーの作曲家は、イザイ Ysaÿe(1858‐1931)

ヴュータン Vieuxtemps(1820‐1881) 

セザール・フランク César Franck(1822‐1890)

辺りが有名だが、いずれも国民楽派ではない。

ギヨーム・ルクー Guillaume Lekeu(1870‐1894)

『アンジェ地方の2つの民謡による幻想曲』《1892》

を書いているが、アンジェはフランスである。が、

『リエージュ地方のクラミニョン舞曲による対位法的幻想曲』《1890》

という国民主義的な曲も書いている。

もし長生きしていたら、

ワロン系ベルギー国民楽派の作曲家として

活躍していたかも知れない。

 

ヤン・ブロックス Jan Blockx(1851‐1912)

ペーテル・ブノワ Peter Benoit(1834‐1901)

などの国民楽派的な傾向のクラシックのCDが

MARCO POLOから出ているものの、

欲しいと思っているのは、確認してみた所、軒並み廃盤だった。

ネットショッピングは今まで利用した事ないが、

アマゾンでも利用してみるか・・・。

確か、1990年代半ば頃に、

今は亡きコタニ楽器新宿店辺りで見かけた様な気がするのだが、

名前が妙にフランス人っぽく、つまらないロマン派の亜流なのかと

勝手に思って買わなかったのかもしれない。

当時は色々知らなかったから・・・。

 

 

 

 

 

上に示した4種のCDは、

とにかく物凄く手に入れたいと思っている。

 

やっと本題なんですが、ジョンゲンはやはり「買い」でした。

後期ロマン派に印象派を加味した作風で、

色彩的な美しい音色が何ともいい!!

買った理由が、何と言っても国民楽派っぽい主題の

管弦楽曲が収録されていたから。

交響詩「アルデンヌの印象」は、

まさに音で風景を描く様な感じ。

ワロン地方の2つのノエルによる幻想曲は、

クリスマスシーズンに歌われる俗謡の主題が用いられており、

華やかさが、何とも楽しい。

チェロ協奏曲は、

内容の充実さの割りには、不遇の作品らしい。

 

このCDには、輸入代理店である

マーキュリーによる日本語解説が付いていて大変お徳だった。

よく分からなかったベルギー19世紀末音楽事情も紹介されていて、

今ベルギークラシック音楽に興味のある私にとっては凄く有り難かった。

 

 

・交響詩「アルデンヌの印象」 

Impressions d'Ardennes op.44 (1913)

・チェロ協奏曲ニ長調 

Concert pour violoncelle et orchestre op.18 (1900)

・ワロン地方の2つのノエルによる幻想曲

La fantaisie sur deux noëls populaires wallons op.24 (1902)

 

チェロ:マリー・アリンク Marie Hallynck

指揮:ロマン・コフマン Roman Kofman

演奏:ベルギー国立管弦楽団 

Nationaal Orkest van Bergië

MCYP1634

 

 

 

アルフォンス・ディーペンブロック 

Alphons Diepenbrock (1862‐1921)

 

 

彼の名は、かなり前に

オランダ近代のオムニバス管弦楽作品集

(DUTCH MASTERS, OLYMPIA, OCD507)

に収録されている

リディア夜曲 Lydische Nacht (1913)というので知っていた。

基本的にロマン派国民楽派好きの私にとっては、

音色の崩れた様な感じが余り好きになれない曲ばかりのCDであった。

聴いてみるまでは分からない、まさにバクチ買いだった。

で、ハズレだった。

 

生まれた時期からして、

初期の曲はもっと綺麗な感じだろうと思っていて

思い切って買ってみた。

が、収録されているのは、中期以降のものばかり。

正直な話、私は、音楽評論家としては、

素人も素人(今頃言うのもなんだが・・・)。

そんな訳で、あくまで私の独断と偏見による感想だが、全体的に、

末期ロマン派に印象派を加味した、神秘的な雰囲気だ。

悪く言えば、ドロドロした感じ。

でも、Wikipediaによると、物凄い経歴で、音楽的にも、

独学であったり独自の作風を確立していたりで、驚いてしまう。

いやあ、こんな凄い方だったとは・・・。

アルフォンス・ディーペンブロック - Wikipedia

 

でも、個人的には余り好きになれない作風だ。

好みの問題だからしょうがない。

世紀の変わり目頃の曲は、

まだヴァーグナー風の割りと美しい作風ではある。

後期に入ると、印象派っぽい神秘的ドロドロ感が加味されてくる。

 

 

・序曲「鳥たち」 De Vogels (1917)

・演奏会用組曲「マルシアス」 Marsyas (1909-10)

・賛歌(ヴァイオリンとオーケストラのための)

Hymne voor viool en orkest (1917)

・交響組曲「エレクトラ」

(エデュアルト・リーゼルによる編曲)

Elektra (1952) Arranged by Eduard Reeser

・夜への賛歌 第2番(ノヴァーリスの詩による)

Hymnen an die Nacht Nr.2 (1899)

・夜(ヘルダーリンの詩による) De Nacht (1910-1911)

・賛歌(ノヴァーリスの詩による) Hymne (1902)

・大きな沈黙の中で(ニーチェの『曙光』より)

Im Grossen Schweigen (1918)

 

メッツォソプラノ:リンダ・フィニー Linda Finnie

テノール:クリストフ・ホンベルト Christoph Hombert

バスバリトン:ロベルト・ホル Robert Holl

ヴァイオリン:エミー・フェルヘイ Emmy Verhey

指揮:ハンス・フォンク Hans Vonk

演奏:ハーフ・レズィデンツィ管弦楽団

Haag Residentie Orkest

BRILLIANT CLASSICS 93412

 

 

 

アルトゥル・カップ 

Artur Kapp (1878‐1952)

アルトゥール・カップ - Wikipedia

 

 

やっとですよ!!出たのが!!

エストニアの、主にロマン派や民族楽派

の傾向を持った曲を取り上げた重要なCD

MUSIC FROM ESTONIA

VolumeⅠCHANDOS 8525

VolumeⅡ CHANDOS 8656

は、それぞれ1987年と1989年に出ている。

で、そのライナーノーツによると、

エストニアクラシック音楽の祖として、

ルトルフ・トピアス Rudolf Tobias (1873-1918)

と並んでカップも紹介されていた

ものの、彼の曲は収録されていなかった。

で、今回、そのライナーノーツによって紹介されてはいたものの、

収録されなかった曲のCDを、

マイナークラシック音楽の発掘に情熱を燃やす

ネーメ・ヤルヴィがやっと出してくれた。

何でこんなに遅くなったのでしょうか?

 

劇的序曲「ドン・カルロ」は、

20歳頃の作品だが、若いにしては、

管弦楽処理技術がきちんと身に付いている。

「劇的」と名が付いている通り、やはり劇的な感じ。

オルガンも用いることで、迫力は倍加している(?)。

 

このCDには、彼の息子と甥の曲も収録されている。

息子のエウケン・カップ Eugen Kapp(1908‐1996)

民族叙事詩「カレヴィポエク」からのバレエ組曲は、

民族色溢れるコテコテの組曲だが、時代も時代だけあって、

現代的な手法(表現主義)の見られる曲もある。

が、親しみ易い作風で、民族楽派好みにはお薦め!!

同じ民族であるフィンランドの「カレヴァラ」に当るものか?

甥のヴィッレム・カップ Villem Kapp(1913‐1964)

交響曲第2番ハ短調は、何と言うか、

20世紀に於ける分かりやすいクラシック曲という感じ

(例えて言うならショスタコーヴィチの交響曲第5番みたいな)。

ロマンティックな手法にちょっと崩れた感じが絶妙である。

 

Eugen Kapp | Discography | Discogs

 

Kapp, Villem | Eesti Muusika Infokeskus

 

 

○アルトゥール・カップ Artur Kapp

・劇的序曲「ドン・カルロ」

Sümfooniline avamäng "Don Carlos" (1899)

○エウケン・カップ Eugen Kapp

・バレエ組曲「カレヴィポエク」

Balleti "Kalevipoeg" (1947)

○ヴィッレム・カップ Villem Kapp

・交響曲第2番ハ短調

Sümfoonia nr 2 c-moll (1954)

 

指揮:ネーメ・ヤルヴィ Neeme Järvi

演奏:BBC管弦楽団 BBC Philharmonic

CHANDOS 10441

 

 

 

ヨハネス・フェルヒュルスト

Johannes Verhulst(1816‐1891)

Johannes Verhulst - Wikipedia

 

 

正直な所、

「フェルヒュルスト」と表記すべきかどうか、悩んだ。

というのも、そう表記しているのは私だけだから。

他の人は、「フェルフルスト」と表記する。

でも、オランダ語は「U」を「ユー」と発音するので、

私はそれに従っただけである。

 

彼の名を知ったのは、

「音楽家 409人の肖像画」

(ガブリエーレ・ザルメン著、龍村あや子訳、音楽之友社)

音楽家409人の肖像画(4)19世紀 | ガブリエーレ ザルメン, 龍村 あや子 - アマゾン

によってなので、かなり前だ。

この本では「民族風ロマン主義の作風」と紹介されていて、

私にとってはまさにツボなのだが、

活躍したのが「前期ロマン派」時代という事もあって、

そんなコテコテ感は期待していなかった。

実際聴いてみると、やはり、そんな感じだった。

私がオランダ民謡を余り知らないからというのもある。

 

やはり、彼が親交していたメンデルスゾーンや

シューマンに似た情熱的ロマン派の作風で聴き応えはある。

一言言わせて貰えば、

交響曲ホ短調作品46の第4楽章の4分30秒頃に、

印象深いロシア民謡を思わせる感じの

サビっぽい旋律が出てくるのだが、

それが、クライマックス辺りに

又華々しく再現されていれば良かったと思った。

それが無いので、何となく歯痒い。

もしかしてオランダ民謡?と最初は思ったが、実は、

軽い序奏の後に登場する第一主題の変形である。

第一主題の速いテンポを遅くして、聴く者に深い印象を与えている。

 

因みに、

収録曲のうち、序曲ロ短調作品2序曲ニ短調作品8は、

世界初録音だそうである。

19世紀オランダ音楽界では権勢を誇っていたようなのだが、

死後は余り見向きもされなくなったということか?

しかし、メンデルスゾーンシューマンとは違って、

トロンボーンの音を使い惜しみせず

バランス良く配置している所が気に入った。

 

 

・序曲ロ短調 Ouverture B mineur Op.2 (1835-36)

・序曲ハ短調「アームステルのヘイスブレヒト」

Ouverture "Gijsbrecht van Aemstel" C mineur Op.3 (1837)

・序曲ニ短調 Ouverture D mineur Op.8 (1839)

・交響曲ホ短調 Symfonie E mineur Op.46 (1841)

 

指揮:マティアス・バ-メルト Matthias Bamert

演奏:ハーフ・レズィデンツィ管弦楽団

Het Haagse Residentie Orkest

CHANDOS 10179

 

【記事修正】

エウゲン・カップ → エウケン・カップ

ヴィレム・カップ → ヴィッレム・カップ

 

【追記:2021/6/24】

肖像画像追加

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ヘイスブレヒト・ファン・アームステル

アームステルのヘイスブレヒト