そして友よ、静かに死ね | 調布シネマガジン

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1970代フランスに実在したギャング、エドモン・ヴィダルの半生を描いたクライムサスペンス。実在の人物ではあるけども、内容的にはフィクションも混ざってるんだそうだ。主役のエドモンを演じてるのが『この愛のために撃て』で実に嫌らしい悪徳刑事を演じたジェラール・ランヴァンてことで何気に期待の一作だったりする。ただ銀座テアトルシネマって場所が悪くて行きづらいんだよね(笑)

$調布シネマガジンこの作品、子供の頃からの大親友セルジュ(チェッキー・カリョ)とエドモンの2人の人間関係を軸に描かれている。ただ…邦題が最悪なんだよね。何がって思いっきりネタバレ。原題『LES LYONNAIS』は直訳すると“リヨンの男たち”、というより若かりし頃のエドモンドたちが呼ばれていた通り名なの。まさかねと思って観ていたけど最後の最後で「おいおいマジかよ…」って(苦笑)

当然死ぬのはセルジュなわけだけど、じゃあどうしてこの親友が死ななくてはならなくなったのか。その過程をギャングだったころの回想を交えて見せてくれるのね。その意味ではばれててもいいのかもしれないけど、本質的には生死の話じゃなくて、“リヨンの男たち”の友情と裏切り、それを長い歳月を丁寧に見せつつ感じさせるのが目的だと思う。だからやっぱり俺には相応しいとは思えないな。

さてさて、そうは言っても個人的にフランスのクライムサスペンスはとても性に合うのよね。この作品のオリヴィエ・マルシャル監督の『あるいは裏切りという名の犬』だとか『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男』シリーズとかも気に入ってるし。過去のフレンチギャングが関わってくる作品はアメリカのそれとはまた違った雰囲気がいいの。$調布シネマガジン

俺は専門家じゃないからフィルムノワールの定義はしらんけど、例えばジョニー・トーが描く男たちのように、全てを言葉にせず背中で語れる男たちの渋さ、その場に立っているその存在感の重厚さにはもう痺れるとしか言いようがないよ。昨今の草食系男子くんにこそたまにはこんな作品を観て欲しいわ。あー、こんな風に年を取りたい…

『そして友よ、静かに死ね』公式サイト