こんな映画があるのを、先日、検索していたら見つけた。
主演はなんと、スター・トレックのカーク船長役のウィリアム・シャトナー。
へぇー。
興味を覚えて、内容のあらすじを読んでみると、
【STORY】
田舎の村の教師に就任したメロディ(K・ダービー)。
しかし、あまりにも閉鎖的で奇行が目立つ村人に不信感を覚える。
やがて子供たちの特殊な能力を知るが、それは村の重大な秘密に繋がっていた。
ん?
なんか、ゼナ・ヘンダースンの 『果しなき旅路』の第一作「アララテの山」みたいな展開やな …
と思って、原作者を見たら、
なんと、ゼナ・ヘンダースン。
マジでー!!
アララテの山って、映画化されてたんかー、知らなかった。
とあまりの驚きに、思わずポチッ
映画自体が面白いかどうかは、まだわかりません。
ただ、原作の「アララテの山」以下のピープル・シリーズが大好きなので、
その映画化となったら、観ないわけにはいかないでしょー!
というわけで、
ブログ記事でも、はるか以前に書いて紹介してあるんですけどね、ゼナ・ヘンダースンの 『果しなき旅路』『血は異ならず』などの、ピープル・シリーズ。
いずれも絶版なので、あらすじを以下に記します。知りたくない方は、読まずに済ますべし!
この映画の原作であろう「アララテの山」
アララテの山、ってのは、ノアの箱舟が最後に辿り着いたアララテ山のことですね。
それをタイトルにして、テーマを象徴している。
物語を最後まで読めば、その意味がわかります、という趣向。
とある村に赴任してきた女性の先生が主人公なんですが、
その先生が赴任することになった学校の生徒たちが、何やら皆、あやしげな超能力めいたものを持っているらしい、んですよね。
しかし、 … という謎めいた始まり方をする短編です。
世界のSF文学・総解説にある、あらすじ紹介を転載すると、こうあります。
クーガー渓谷では、いつも教師難に悩まされていた。辺地ということもあって赴任してくるのは行き場のない老教師が常だったが、決して長続きしないのだ。住民の<同胞(ピープル)>の持つ<能力>が彼らを怖がらせてしまうのである。外界の人には秘密にするきまりだが、子どもたちはつい、いたずらに使ってしまう。今では奇妙な噂が広まり、老教師すら寄りつかなくなっていた。
ところが、新しくやってきたミス・カーモディは若くて美しかった。前の学校を解雇されて、仕方なくここへ来たのだが、そんなことは気にならなかった。子供たちは有頂天になり、チョークを飛ばしたり、岩を持ち上げるといった<能力>を使ってしまうのだが、幸い先生は気づかなかった。
そんなある日、山火事が起こり、学校は猛火に囲まれてしまう。<能力>を使っても子供たちは一分も飛べない。ところが先生は呪文をとなえると豪雨を降らし、火を消してしまった。彼女は<同胞>だったのだ。
これが「アララテの山」のあらすじ。
この短いあらすじ紹介を読んだだけで、面白そうだと思って読んでみたら、予想以上に深い感銘と余韻を受けて、わたしの心に残る名作SFとなってくれたのが、ゼナ・ヘンダースンの著作群だったわけです。
同胞(ピープル)シリーズというのは、かつて故郷の惑星が最後を迎えたときに、その星から脱出して散り散りバラバラになった仲間たちが、地球で再会する物語です。
自分が持っている能力を知られたらまずいので、互いに隠しているのだけれど、ふとしたことで互いの力を知ることによって、ああ僕たちは仲間だったんだ、同じ星からやってきた、地球に逃げ延びて孤独に暮らしていたけれど、ようやく仲間に出逢えた!
というエピソードをさまざまに語って見せてくれる短編集なんですよね。
ここまで種明かししてしまっても、面白さは変わらないので、ご安心あれ。わたしは筋を知ったうえで読んで、それでも新たな短編を読むたびに、予想外の結末に、時にはホロリ、時には心がホッコリと癒される。そんな読書体験を、このゼナ・ヘンダースンの短編の数々を読むことで、味あわせてもらいました。
絶版になっているのがおかしい、そう思わざるを得ない名作です。
オススメ!!
ゼナ・ヘンダースンの別の短編「なんでも箱」も、ホンワカ心が温かくなる名作です。