ひとりの成長が始まった。
種として生れ落ち、最初に行ったことは、
大地の上まで、芽を出すことだった。
ひとつの芽はただひとつの希望を胸に、種からその身を伸ばし始めた。
世界のどこかで同じように生まれている、お互いを想い合いながら・・・
ふたりがひとりで成長していく中で、
お互いの体の上では、〝 様々な生命たち 〟が生まれた。
それは、お互いの体を寝床としている動物たちの生命や、
〝 昔のふたり 〟のように、葉っぱの姿で生まれてくる生命たちだった。
そのたくさんの生命たちと共に、
たくさんの季節を、ふたりはひとりで過ごした。
しかしいくつの季節が過ぎようとも、
お互いを想う気持ちは変わらなかった。
廻り行く季節の中で、
春は、鳥と歌いながらお互いを想った。
夏は、澄んだ風に揺られながらお互いを懐かしんだ。
秋は、落ちる葉を見ながらお互いを信じた。
冬は、凍える星空を眺めながら、ひとりを耐えた・・・
それは永遠とも感じられるような、遥かに長い時だった。
しかしどんなに時が経っても、
ふたりの心はいつも寄り添うように、ふたりはひとつだと感じ合っていた。
どんな困難がふたりを苦しめても、
お互いを想う楽しさと、お互いを信じ合える喜びを忘れたことはなかった。
そして、
いつか訪れる至高の時を、ふたりは心から信じ合っていた。