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●(速報)ドン・コーネリアス、75歳で死去 自殺か

【Don Cornelius Dies At 75: Killed Himself?】

訃報。

1970年代から始まり、大きな人気を得たアメリカの音楽テレビ番組『ソウル・トレイン』を始めたドン・コーネリアスが、2012年2月1日(水)午前4時(日本時間1日午後9時)ごろ、アメリカ・カリフォルニア州シャーマンオークスの自宅で銃で撃たれた状態で発見され、すぐにシーダース・サイナイ病院に運ばれたが4時46分、死亡が確認された。75歳。救急、警察ともに、傷口から自殺とみている。正確な検死報告は後日発表される。

自殺の理由はわからないが、ドン・コーネリアスは、2009年に、妻に離婚を求めていたが、その際の陳述書で「私はもう72歳だ。健康に問題がある。自分が死ぬ前に、この離婚を決めたい」と語っていた。体に問題があったことがひとつの理由かもしれない。妻とは、ドン自身が暴力を振るったりしたことから、不仲が伝えられていた。

クインシー・ジョーンズのコメント。“I am shocked and deeply saddened at the sudden passing of my friend, colleague and business partner Don Cornelius, “Don was a visionary pioneer and a giant in our business. Before MTV, there was ‘Soul Train.’ That will be the great legacy of Don Cornelius. His contributions to television, music and our culture as a whole will never be matched. My heart goes out to Don’s family and loved ones.” (友人であり、仕事仲間であり、ビジネス・パートナーであるドン・コーネリアスの突然の死去に衝撃と深い悲しみを覚えています。ドンは、映像のパイオニアであり、私たち音楽業界のジャイアントでした。MTV以前に『ソウル・トレイン』があったのです。ドン・コーネリアスの素晴らしい伝統、レガシーはこれからもずっと語り続けられるでしょう。彼のテレビ、音楽、そして私たち黒人文化への貢献は誰にも勝る、計り知れないものです。ドンの家族とドンが愛した人々へお悔やみを申し上げます)

ミニ評伝。

ドン・コーネリアスは、1936年(昭和11年)9月27日、シカゴ生まれ。本名ドナルド・コーテッツ・コーネリアス。地元のラジオ局WVONからジャーナリスト、アナウンサー、DJ人生を始めた。全米で人気だったディック・クラークの『アメリカン・バンドスタンド』の黒人版を作ろうと思いつき、シカゴで『ソウル・トレイン』のパイロット版を制作。当初はシカゴのローカル番組だったが、徐々に全米にネットワークを広げ、黒人居住人口の9割以上のエリアで放送されるようになった。

番組コンセプトはシンプルで、レコードにあわせて観客が踊るシーンと、基本は口パク(リップシンク)でゲスト・アーティストが歌うという構成で、アメリカのソウル・ミュージック・シーンに大きな影響を与えた。当時は、なかなか黒人アーティストがテレビに出ることができなかった時代にソウル専門で人気を集めた。一般客とダンスの上手なダンサーが踊り、そのダンサーは「ソウル・トレイン・ギャング」「ソウル・トレイン・ダンサーズ」などと呼ばれた。このダンサーの中から、ジョディー・ワトリーや、ジェフリー・ダニエルズらがスターに育っていった。

『ソウル・トレイン』はアメリカでは1971年10月から2006年3月まで放送され、日本でも当初はTBS、東京12チャンネル、のちにNHK-BSなどで放送された。ドン自身は、開始から1993年まで、メインの司会を務めた。その後もさまざまな司会者が登場するなか、1997年頃まで時折、ドンもでてきた。 週一回の一時間番組(オンエア内容は実質45-48分)、トータルで1117回、放送された。ドンは2008年に、『ソウル・トレイン』の全権利を、「マッドヴィジョン・エンタテインメント社」に売却していた。

1970年代には、なかなか黒人アーティストがテレビ番組に出ることは難しかったが、ソウル・チャートに上がるアーティストは、ほぼこの『ソウル・トレイン』に出ることが出来、スターの階段をかけ上がるようになった。ジェームス・ブラウン、マイケル・ジャクソン、ジャクソン5、プリンス、スティーヴィー・ワンダー、スタイリスティックスなどすべてのブラック・アーティストが登場。『ソウル・トレイン』に出ていない黒人アーティストは数えられないほどの存在となった。

日本人でも、久保田利伸、イエロー・マジック・オーケストラが出演している。

また、日本では1999年4月から東京のFM局Jウェイヴで深夜の時間帯にドン・コーネリアスお墨付きの「ソウル・トレイン」という名前のラジオ番組が始まり、2005年9月まで続いた。1999年、同時にお台場に、「ソウル・トレイン・カフェ」というライヴも出来るカフェも登場。ドン・コーネリアス、スティーヴィー・ワンダーなどもやってきた。

『ソウル・トレイン』は、ソウル・ミュージックの歴史を語る上で、もっとも重要なテレビ番組と言っても差し支えない。そして、それを生み出したドン・コーネリアスは、ソウル・ミュージックの歴史を変えた人物ともいえる。

ご冥福をお祈りする。

(ドン・コーネリアス死去続報が来次第、またお伝えします)

■CDボックスセット





OBITUARY>Cornelius, Don (September 27, 1936 – Feburary 1,2012, 75-year old)