吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002


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☆ハーヴィー・フークワ80歳で死去~ムーングロウズのリード・シンガー:マーヴィン・ゲイの育ての親

【Harvey Fuqua Dies At 80】

訃報。

1950年代名門ドゥー・ワップ・グループ、ムーングロウズのリーダーでありリード・シンガー、ハーヴィー・フークワが2010年7月6日デトロイトの病院で死去した。80歳だった。

ハーヴィー・フークワは、1950年代ムーングロウズのメンバーとして「シンシアリー」、「モースト・オブ・オール」「テン・コマンドメンツ・オブ・ラヴ」などの大ヒットを出し、その後、マーヴィン・ゲイと知り合い、マーヴィンを自身のグループに。マーヴィンはソロとしてモータウンと契約。彼を育てる一役を担った。ドゥー・ワップ・グループとして、ムーングロウズをヒットさせた最大の立役者がハーヴィーだ。

本拠としたデトロイトで、1960年代初期に自身のレーベル、トライ・ファイを設立。ジュニア・ウォーカー&オール・スターズ、スピナーズなどを発掘、育てた。さらに、70年代に入ると、シルヴェスター、ニュー・バースなどを発掘、育てている。1950年代から70年代、80年代までR&B業界で活躍。

1988年5月、スモーキー・ロビンソンの来日に帯同していた。また、日本では山下達郎氏がアルバム『オン・ザ・ストリート・コーナー』で「モースト・オブ・オール」をカヴァー。彼のファンや、ドゥー・ワップ・ファンの間では大変人気の高いグループだった。

一月ほど前から体調を崩し、デトロイトの病院に入院していた。冠状動脈の問題があり、心臓発作で死去したという。

■ 『ソウル・サーチン~第二章~ハーヴィー・フークワ』(吉岡正晴著)
http://www.soulsearchin.com/soulsearchin/2.html


■ ハーヴィー・フークワ死去のニューズ
ABCニューズ
http://abcnews.go.com/Entertainment/wireStory?id=11103904
AP
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5hLAx9zj0WzOV6E1H4NrSnVBYrsUQD9GPUU0G0
EURWEB
http://www.eurweb.com/?p=34412

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プロフィール。

ハーヴィー・フークワは1929年(昭和4年)7月27日ケンタッキー州ルイヴィル生まれ。やはり1950年代に活躍したインクスポッツのチャーリー・フークワのいとこにあたる。1951年地元でドゥー・ワップ・グループ、クレイジー・サウンズを結成、その後本拠をオハイオ州クリーヴランドに移住。ここの有力DJアラン・フリードの力添えで名前をムーングロウズとする。ムーングロウズは、ロマンティックなドゥー・ワップ・サウンドで「シンシアリー」、「モースト・オブ・オール」、「テン・コマンドメンツ・オブ・ラヴ」などの大ヒットを出した。特にハーヴィーは、低音の魅力でファンを獲得。1958年、ハーヴィーは他のメンバーと折り合いが悪くなり、グループを脱退。そんな頃、当時マーキーズというグループと知り合い、このリード・シンガー、マーヴィン・ゲイに注目する。ハーヴィーはこのマーキーズを新しいムーングロウズとして活動するようになる。当時十代だったマーヴィンは、ムーングロウズ、とりわけハーヴィーの声の大ファンであり、あこがれであった。

ハーヴィーはこの頃、シカゴのチェス・レコードに所属、同レーベル所属のエタ・ジェームス(一時期、ハーヴィーとつきあっていた)とのデュエットなども録音している。その後、ハーヴィーは裏方で活躍するようになり、1960年、トライ・ファイ・レーベルを設立。ジュニア・ウォーカー&オール・スターズ、マーヴィン・ゲイを迎える。一方、ハーヴィーと恋仲になったグエン・ゴーディーはアンナ・レコードを設立。そこにはスピナーズ、ラモント・ドジャー、ジョー・テックスなどが在籍。両者はふたつのレーベルを統合。しかし、このレーベルが経済的に行き詰まり、グエンの弟であるベリー・ゴーディー(モータウン社長)に身売り、これにともない、このレーベルにいたアーティストは自動的にモータウン所属となった。

ハーヴィーは、モータウンでA&R(制作担当ディレクター)の仕事をして、レコード制作、宣伝などを担当。この時期、ハーヴィーはマーヴィン&タミーの「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」、「ユア・プレシャス・ラヴ」などをプロデュース。ハーヴィーは1970年までにモータウンを退社。インディペンデント・プロデューサーとして活動、RCAと契約。ここでニュー・バース、ナイトライターズをてがけた。さらに、70年代中期、サンフランシスコで活躍していたゲイのシンガー、シルヴェスターも発掘、ヒットさせている。ここからの派生プロジェクト、トゥー・トンズ・オー・ファン、のちにウェザー・ガールズをヒットさせる。

マーヴィンは、ベリー・ゴーディーの姉アンナと結婚、またハーヴィーは同じくグエンと結婚していたことから、一時期、義理の兄弟関係にあった。

その後、1981年から1982年にかけて、モータウンを辞めていたマーヴィン・ゲイのCBSレコード移籍第一弾となるアルバムを手伝い、完成させる。それが『セクシュアル・ヒーリング』となり、マーヴィンは奇跡の復活を果たす。

しかし、マーヴィンは1984年4月1日、父親の銃弾に倒れるという衝撃の結末を迎え、ハーヴィーも衝撃を受ける。ハーヴィーはその後、モータウン時代の旧友であり親友のスモーキー・ロビンソンと公私共にすごしながら悠々自適な生活をしていた。

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ソウル・サーチン。

ご存知の方はすでにご存知だと思うが、僕が2000年7月に発表した作品『ソウル・サーチン』(音楽之友社)は、7人(組)のソウル・アーティストたちが体験する「ソウル・サーチン」の人生を描いたものである。ソウル・ミュージシャンを描いた作品としては他に類のない著作だ。ここの第二章でハーヴィー・フークワを書いた。ハーヴィーには1988年6月にインタヴューして、素晴らしい話を聞くことができた。あのときのインタヴューしていたときの空気感は、22年経った今も、そして、生涯忘れることはない。

ちょうどそのときは、スモーキー・ロビンソンが初来日していたときで、共同会見の席で大きなブラックの人がいて、スモーキーが彼を紹介した。その名前を聞いて僕は驚嘆した。それがハーヴィー・フークワだった。彼はあのムーングロウズの低音のリード・シンガーだったのだ。そこでその場でインタヴューを申し込んだ。彼は快く引き受け、翌々日、ライヴ後にホテルでインタヴューすることになった。

一時間余の短い時間だったが、めくるめくソウル・ヒストリーだった。まるで映画を見ているようなストーリーだった。低音のしびれるような声で、しかも話がうまい。それより3ヶ月前にジョン・ホワイトヘッドから聞いたストーリーとはまったく違っていたが、ひとつだけ共通点があった。それが「ソウル・サーチン」ということだった。ジョンとハーヴィーの2人から話を聞いて、「ソウル・サーチン」という言葉が僕の中で大きなものになっていった。そして、それから12年を経て『ソウル・サーチン』は一冊の著作になった。

『ソウル・サーチン』では、もちろん成功者におけるアップダウン、激動する運命と心の動き、悩みを描くことが第一義だったが、いわゆる「ソウル・ジャイアント」についても描いてみたかった。それは、オーティス・レディング、サム・クック、マーヴィン・ゲイなどだ。そして、マーヴィンの生涯を、その恩師であるハーヴィーの視点から書いたのである。サムは、ウーマック・ウーマックの視点から、オーティスはその一時的な弟子でもあったジョン・ホワイトヘッドの視点から書いた。

7章のうちいくつかをネットに公開しているが、ハーヴィーのものは公開している。これを機にじっくりお読みいただければ幸いである。(上記リンクアドレス)

ハーヴィーにはもう一度会いたいとずっと思っていた。高齢になっていることは知っていたが、その望むが絶たれたことが残念でならない。

■ザ・フラミンゴス・ミート・ザ・ムーングロウズ(とりあえず、ムーングロウズのいいベストが見つからなかったので、これを)

ザ・フラミンゴス・ミート・ザ・ムーングロウズ
Flamingos the Meet the Moonglo Flamingo フラミンゴス/ムーングロウズ
Pヴァインレコード (1997-11-22)
売り上げランキング: 627660


OBITUARY>Fuqua, Harvey (July 27, 1929 – July 6, 2010 – 80year old)
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