作品 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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【イチローの傑作】

作品野球走る人

7月10日(現地時間=日本時間11日)にアメリカで行われた野球のオールスターで、イチロー選手が3安打を放った。そのうちの一本はご存知の通り、ランニング・ホームランとなった。

イチローはこれらの打撃を「ピッチャーの指先からボールが離れた瞬間からイメージどおりに来て、打てた。作品のようだった」といった趣旨のことをコメントしている。

このコメントには、やられた。本当にすごい。こんなせりふを言える野球選手がいまだかつていただろうか。あの世界の王選手でも、落合選手でも、こんな文学的な形容はしたことがない。

おそらく、イチローには相当な「自分なりの野球の美学」というものがあるのだろう。類まれな集中力から生まれる、たかが一本の「ヒット」をひとつの「作品」という高みに持ち上げる。

僕には「作品」がたまっていけば、その中には、ただのひとつの「作品」だけでなく、「傑作=Masterpiece」が誕生するだろうと思う。ただの「ヒット」を「作品」にし、「作品」を「傑作」にするイチロー。自分で選んだ「作品ベスト10」などを聞いてみたい。あの「レーザービーム」も文句なくベスト10入りの作品だろう。

イチローが書いた文章というのを読んだことはないのだが、彼が書く文章も読んでみたい。目を大事にしているので、パソコンはやらないとか。

ところでランニング・ホームランは、和製英語なんですか。英語ではinside-the-park homer というそうで。

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