前回の「川床でご飯食べそこねたorz」編に続き、
貴船編の記録を残しておこうと思います。

 

よもやこの後川床を楽しめないなんて思っていない能天気な私は、
七夕のイベントを催していた貴船神社を全力ウッキウキで楽しみます。

 

 

◇貴船の七夕イベント
7月1日~8月15日の間、叡山電鉄の「市原~二ノ瀬」間にて、
「もみじのトンネル 深緑ライトアップ」が行われています。

 

行きは明るかったのでそれほどでしたが、帰りは美しかったですよ~。
左右両方の窓に同じように深緑が広がりますので、どちら側に座ってもOK。


また、貴船神社では本宮を中心に「七夕笹飾りライトアップ」が行われています。
境内の七夕飾りが社殿とともに浮かびあがります。

 

川床を楽しんだ後、暗くなってから楽しむとよいでしょう。
・・・なぜ私はそうしなかったんだorz

 

▽社内は真っ暗になります

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▽携帯のカメラではきれいに撮影できませんでしたorz

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<2016年のイベント情報>
・もみじのトンネル 深緑ライトアップ
   7/1~8/15の金・土・休日及び、7/7、8/5~15の毎日
  もみじのトンネル(叡山電鉄 市原~二ノ瀬 間)
  https://eizandensha.co.jp/wp/wp-content/uploads/2016_0701.pdf

 

・七夕笹飾りライトアップ
  7/1~8/15 夕暮れ~20:00(土・日・祝は21:00まで)
  貴船神社 本宮
  http://www.kifunejinja.jp/tanabata2016/index.html

 

 

◇貴船神社(きふねじんじゃ)
(社格:延喜式名神大社、二十二社・下八社、近代社格制度[旧社格]では官幣中社)

 

貴船神社は全国にある「貴船神社の総本社」です。

 

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明治以前は、「賀茂別雷神社(上賀茂神社)の摂社」とされてきました。
これは天喜3年(1055)の社殿再建が契機となっているという説があります。


ご祭神は次の通り。

・本宮 高龗神(たかおかみのかみ)←水の供給を司る神
・結社 磐長姫命(いわながひめのみこと)←コノハナサクハヒメの姉、ニニギに「ブスは無理」扱いされたあの姫
・奥宮 高龗神(たかおかみのかみ)←船玉神(航海の安全を守る神)としても信仰される
     一説には闇龗神(くらおかみのかみ)
     玉依姫命も祀られていると伝わる


地名の貴船は「きね」と一般的に読みます。
しかし貴船神社は、水の神であることから濁りをさけ、「きね」と読みます。

 

また「きふね」は「黄船」「樹生嶺」「氣生根」などと表記されることがあります。

 

「黄船」は、創建の伝承に出てくる玉依姫が黄色い船に乗っていたから。

「樹生嶺・氣生根」は、氣力が生ずる根源の地という意味です。
神道は穢れを嫌いますが、ケガレの語源は「氣枯れ」。
水の神の神氣に触れることで、氣を蘇らせる地だということです。

 


<ご祭神:高龗神と闇龗神>

本宮には「高龗神」、奥宮には「闇龗神」が祀られているとする説もありますが、
社記によると呼び名は違っても同じ神と記されています。

 

高龗は「山上の龍神」

闇龗は「谷底暗闇の龍神」

とも言われ、降雨・止雨を司る龍神、水源を司る神です。

 

 

~ここからはラフにお届けします~

 

伊勢神宮編でも書きましたが、
神世七代(かみのよななよ)の末っ子、イザナミは火の神・カグツチを生んで火傷を負います。

この火傷が原因でイザナミは亡くなります。

 

大好きな妹で嫁のイザナミが死んじゃって、 ←古代は妹萌えはほぼ公認
兄(夫)のイザナギは大泣き。

 

古事記では「カグツチのせいなんだからねっ(怒)」ってキレて、

イザナギはカグツチを十握剣(とつかのつるぎ)で切り殺しちゃいます。
さすがツクヨミとスサノオの父。

 

この時に剣のいろんなところについたカグツチの血から、それぞれ神々が生まれます。
剣の柄に溜まり、指の間から漏れ流れ滴る血は「闇龗(くらおかみ)」となりました。


日本書紀でもやっぱりカグツチを切り殺しちゃいます。

が、なんと三つにカット(三段に為す)しています。
そのうちの一つから「高龗
(たかおかみ)が誕生。

 

「火の神」・カグツチ、から「水の神々」が生まれているわけですね。


~よくよく想像するとえぐいので、出来る限りラフにお届けしております~


なお、この後、イザナギは黄泉の国まで大好きな妹(嫁)をおっかけにいきます。
でもイザナミは腐乱しちゃってたから「やっぱりこの話はなかったことで」って黄泉の国から逃げ帰ります。

 

で、黄泉の穢れを洗い流している時に
・左目から、アマテラス

↑引っ越ししたーいって80年近く皇女を流浪の旅にださせたetc
・右目から、ツクヨミ

↑ゲロリンチョって食物を生み出しおもてなしをしようとしたウケモチを切り殺した
・鼻から、スサノオ

↑母(イザナミ)に会いたいって泣き続け父(イザナギ)を困らせたり、姉の神殿に汚物をまき散らしたりetc


この三姉弟(三貴子)が生まれるわけですね。

 

 

ちなみに、(おかみ)という字は「龍蛇の類」を意味するそうです。

 

社殿の創建を明記するものはなく、創建年代は不詳。
天武天皇白鳳6年(666or677)に社殿造替が行われたという社伝が残っており、
これにより極めて古い神社であると考えられます。

 

 

<創建伝説1>
伝説によると
「国家安穏・万民守護のため、太古“丑の年の丑の月の丑の日”に、

天上より貴船山中腹、岩鏡に天降れり」
とあります。

 

貴船明神が貴船山に降臨したのが「丑の年の丑の月の丑の日」だったことから、
実は「丑の刻参り」でも有名です。

 

ご神徳には「運氣隆昌、えんむすび、諸願成就」とありますが、
その一方で縁切りの神・呪咀神としても信仰されています。

 

ですが、本来、丑の刻に参拝して願いを掛けることは心願成就の方法であり、呪咀が本来の意味ではないそうです。


平安時代には、丑の刻であるかどうかは不明ですが、貴船神社に夜に参拝することが行われていました。(貴船神社の神社だよりから)

 


<創建伝説2>
別の伝説によると第18代反正天皇の時代、

初代神武天皇の母・玉依姫命(たまよりひめのみこと)が現れて

 

「吾は皇母玉依姫なり。恒に雨風を司り以て國を潤し土を養う。

また黎民の諸願には福運を蒙らしむ。よって吾が船の止まる処に祠を造るべし」

 

(※私、皇母のタマヨリヒメ。私の船が止まったところに水源の神を祀って祠を建ててね。

そうしたら国土は潤うし、民の願いには福運が与えられちゃうから!)

 

と言って、黄船に乗って、浪速の津(大阪湾)から淀川、鴨川を遡りました。

で、現在の奥宮の地に至り、清水が湧き出る霊境吹井を認め、水神を祀ったのが創建と伝わります。

 

黄色は貴人を表す色です。
この船は人目に触れぬよう、石で囲み包んだと伝えられています。


タマヨリヒメ(玉依姫)は記紀や風土記では結構でてくるようです。
その多くは、玉(霊)の依り代となる姫、つまり巫女を指します。

賀茂神社縁起では、賀茂別雷命(上賀茂神社の祭神)を生んでいますね。


が、ここでいうタマヨリヒメは神武天皇の母。

 

 

時は遡り(←私の備忘録ために遡っております)

 

1)オオクニヌシからの国譲り後、アマテラスは葦原中国(日本)を治めるため
孫のニニギに八咫鏡を持たせて高千穂に送り出しました。

 

2)そのニニギは「ブスは無理」ってイワナガヒメはふって、コノハナサクハヒメとだけ結婚しました。


3)でニニギとコノハナサクヤヒメの子に、ホデリ(海幸彦)ホオリ(山幸彦)ってのがいます。

名前のとおり、兄・ホデリ(海幸彦)は釣りが得意。
弟・ホオリ(山幸彦)は狩りが得意。

 

ホオリ(山)「ねぇねぇ、兄さん、道具交換しようよー。」
ホデリ(海)「やだ」
ホオリ(山)「えーいいじゃーん」

 

ってのを三回くりかえして、

 

ホデリ(海)「わかったよ。(しつこいし)」
ホオリ(山)「やったー!」

 

となる。
が、両者、結局海の幸も山の幸もゲットできず。

 

ホデリ(海)「やっぱり自分の道具じゃなきゃだめなんだよ。じゃ釣り針返して。」
ホオリ(山)「・・・釣り針、失くしたorz まじ、ごめん。」

 

で、兄激おこ。

 

ホオリ(山)「自分の十拳劔(とつかのつるぎ)から1000の釣針を作ってきたヨ。これで許して~(涙)」
ホデリ(海)「いらねーし。あの針がいいんだし。」

 

ってことで、弟・ホオリ(山)は釣り針を探しに海の中へ。
で、色々あって、釣り針を見つけたうえに、海の神・オオワダツミの娘「豊玉姫(トヨタマヒメ)」もゲット。
ってか、針のこと忘れて、先に嫁をゲットしてるんだけどもな←

 

地上に戻って、兄・ホデリ(海)に釣り針を返します。
さらに海の神・オオワダツミに貰った極秘アイテムで仕返し!!
これ以降、兄・ホデリ(海)は「隼人」として弟・ホオリ(山)に仕えます。
(以上は浦島伝説の元ネタとも言われています)


4)その後、ホオリ(山)とトヨタマヒメの間に「ウガヤフキアエズ」(面倒だから通称アエズとする)誕生。

 

トヨタマ「天つ神の子を海の中で産むわけにいかないから、(地上に)きちゃった♪産屋作ってね~」
ホオリ「もちろんだよ~」
トヨタマ「あと産んでるとき、産屋を覗いちゃだめヨ?」

 

と言われても、・・・まぁ、お約束ですよね。

ホオリ(山)は産屋を覗いちゃいます。

 

そしたら・・・
なんとトヨタマヒメはサメの姿をしていました( ゚Д゚)!

しかも産屋は完成していませんでした( ゚Д゚)!!

 

トヨタマ「見られたから海に帰る~(涙)」

 

って、アエズをおいて海に戻ります。


5)で、アエズの養育係としてやってきたのが、トヨタマヒメの妹、玉依姫(タマヨリヒメ)
(やっとでてきた)

 

本当の姿を見られたトヨタマヒメ(姉)は二度と地上に戻ることはありませんでした。

だからタマヨリヒメ(妹)は、海と地上を行き来して
姉にはアエズの成長を伝え、ホオリには姉の歌を届けていました。

 

結婚後の遠距離恋愛。
ホオリは寿命がつきる580年間、日向の国をおさめつつトヨタマヒメのことを忘れませんでした。


6)さて、息子のアエズは小さいころから本気で乳母である叔母・タマヨリヒメを嫁にする気でした。

 

アエズ「大きくなったらタマヨリをお嫁さんにする~」
タマヨリ「背が私より大きくなったらね」

 

と言われ続け、身長を気にする日々。
で頭一個分くらい大きくなった時、なんとかかんとか口説き落とします。

 

アエズとタマヨリヒメの間には、4人の子供ができます。
父・ホオリのアドバイス(というか必死の訴え)もあり、

アエズは産屋をしっかりたてて、中をのぞきませんでした。

 

この子供たちは、
・曾祖父であるニニギ(太陽の神:アマテラスの孫)から天の力
・曾祖母であるコノハナサクハヒメ(山の神:オオヤマツミの娘)から山の力
・祖母トヨタマヒメ&母タマヨリヒメ(海の神:オオワダツミの娘)から海の力
の流れをくんでいます。

 

つまり、天山海の全ての属性を兼ねそろえた、最強属性!!

 

この4人兄弟の末っ子、イワレヒコが高千穂を出て大和に進出。
畝傍山の東南の麓に橿原宮を建て、初代天皇・神武天皇となります。

 

このアエズに口説き落とされたタマヨリヒメが、後々、貴船にやってきたということです。
あ~、長くなったorz

 

 

タマヨリヒメの黄船が到着した場所が、今の奥宮

以前はここが本宮でしたが、洪水で社殿が流されます。

そこで現在の場所に本宮を再建し、旧本宮があった場所を奥宮として祀っています。

 

そのため奥宮には、

水を司る神・高龗神(たかおかみのかみ)・闇龗神(くらおかみのかみ)だけでなく

玉依姫命も祭神として祀られ、船玉神(航海の安全を守る神)としても信仰されています。

 


<磐長姫命(いわながひめのみこと)と縁結び>
本宮・奥宮のご祭神に続き、結社のご祭神についてもまとめておきますφ(..)

 

本宮・奥宮のご祭神は、どうやって貴船にやってきたかは諸説あるものの

どちらも降雨・止雨を司る龍神、水源を司る神でした。

 

一方、結社のご祭神・磐長姫(イワナガヒメ)えんむすびの神です。

 

 

イワナガヒメはこれまでブログの中でも数回名前がでてきました。

山の神の娘で、妹に美人のコノハナサクヤヒメがいます。

 

妹・コノハナサクハヒメに一目ぼれしたアマテラスの孫・ニニギは、求婚。

父である山の神・オオヤマツミは「姉のイワナガヒメも一緒にどうぞ」と言ってきます。

 

ニニギ「ブスは無理」

 

ということで、コノハナサクハヒメだけを娶りました。

 

父はセット販売で売れ残りをなくそうとした・・・のではありませんw

 

実は、妹・コノハナサクハヒメ(木花開耶姫)は花のように繁栄をもたらすが、散ってしまうさだめ。
けれど姉・イワナガヒメ(磐長姫)は岩のように永遠の命を守る力がありました。

だから、父は二人セットでどうぞ。といってきたわけです。


で、フラれたイワナガヒメは

「我長くここにありて縁結びの神として世のため人のために良縁を得させん」
といって、貴船神社の「(縁を)結(ぶ)社」に落ち着きました。

 

平安期にはすでに縁結びの神として知られ、貴族から庶民まで参詣したと伝えられています。

 


平安時代の宮廷歌人・和泉式部の話は有名ですね。

 

貴船神社に参詣し、

 

「もの思へば 沢の蛍も わが身より あくがれいづる 魂かとぞ見る」

(※夫が心変わりして他の女性に心を奪われたので、悩んで貴船神社に参拝にきたら…、貴船川に蛍が乱舞してたの。

そのはかなく点滅する光をみてると、私の魂が抜け出いって、今にも死にそうな気がするわ。)

 

と歌を詠んだら、御社の中から(神の)声がして

 

「奥山に たぎりて落つる 滝つ瀬の 魂ちるばかり ものな思ひそ」

(※しぶきをあげて飛び散る奥山の滝の水玉のように、魂が抜けて飛び散り消えていくほど、そんなに思い悩みなさるな。)

 

と返歌がありました。

その後ほどなく夫婦円満に戻ったといいます。


この話は「後拾遺和歌集」「沙石集」「扶桑記」などに伝えられています。

 

いつの世も悩む女性には「まぁまぁそんなに深く考えないでさぁ」っていうアドバイスが通じるんですねw

 

縁結びを祈願したい方は、ぜひ結社まで足を運ばれてください。

 

▽結社 入口

ちょっとだけ階段を登ります

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▽結社

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▽和泉式部の歌碑

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ご祭神や創建についてまとめただけで、すっごく長くなったので、今日はここで終わり。

次回は貴船神社の歴史から現在に続く祭りなどをまとめたいと思います。

 

<つづく>