サン・マルテイーノの夏 2023 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで30年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 



この時期ミラノは、雨雨、休んで休んで曇り時々晴れ..の繰り返し。カスタネットかい?!

 

今朝久々あまりに良いお天気で、思わず口にしたのは、この曲。

 

🎵 Fra' Martino campanaro

Dormi tu? Dormi tu?
Suona le campane
Suona le campaneDin, don, danDin, don, dan
(ウトウト昼寝をしているブラザーマルテイーノに対し)鐘突きのブラザーマルティーノ、寝ているの?鐘を鳴らさなきゃ?デインドンダン デインドンダン....と言う詩。
しかし英語になると“Brother John ”で、フランス語だと“Frère Jacques”....名前は統一されていないのか???爆
 
ところで、11月の初旬、イタリアで一時的に暖かな日が続くことがある。これを「サン・マルティーノの夏」と呼ぶ。
 
あれ?もしや今日はサン・マルティーノの日だったのでは?と思い出したら確かにそうだった。
 

11月11日はサン・マルティーノ、つまり聖マルティヌスの祝日なのだが、イタリアでは今年仕込んだワインの醗酵がそろそろ完了しますよ~、と言われている日でもある。様々な土地で様々な習慣があるようで、ノヴェッロ(新しいワイン)と栗だ、フンギだ、サルシッチャだ、と結局秋の味覚を楽しむ日。

 
ちなみに、サン・マルティーノはドイツとフランスの守護聖人。4世紀、ローマ軍人の父がサバリア(現在のハンガリー)に駐屯中生まれ、イタリアで育った。彼が15歳の時、ローマ騎兵となり、フランスに派遣されたそうだ。ある大雪の日に、凍えている貧者に出会い、着ていたマントを二つに切り裂いて与え、その夜、切れたマントを纏ったイエスが夢に現れ、「あなたがマントを与えた男こそ、この私である」と言われたという。
 
さらに、このサン・マルティーノは騎士や兵士、毛織物関連業者、靴屋、物乞い、家畜、そしてホテル経営者の守護聖人でもあるという。また、ロワール川流域での葡萄栽培の先駆者としても知られ、イタリアではワインの守護聖人ともなっている。
 
このサン・マルティーノの祝日にノヴェッロを飲む伝統は、ジョズエ・カルドゥッチ(1835-1907 ノーベル文学賞、イタリアの詩人、教師)が書いた彼の有名な詩、まさに"サン・マルティーノ"と題された詩の中でも詠われている。
 

La nebbia a gl'irti colli
piovigginando sale,
e sotto il maestrale
urla e biancheggia il mar;

霧雨が
世を濡らしつつ
嶽につく
高西の海

ma per le vie del borgo
dal ribollir de' tini
va l'aspro odor dei vini
l'anime a rallegrar.

音《ね》と泡立つ

村道に
樽の酸香ぞ
葡萄酒や
発酵しつつ
魂癒す


Gira su' ceppi accesi
lo spiedo scoppiettando
sta il cacciator fischiando
su l'uscio a rimirar
燃える薪《まき》
焼い串炙り
回しつつ
口笛ふきて
狩人見張る


tra le rossastre nubi
stormi d'uccelli neri,
com'esuli pensieri,
nel vespero migrar.

赤雲に
黒き鳥々
夕方へ
渡り行きつつ
思想の如き
 
あー栗買ってきて、赤ワインと楽しもうっと🍷