丹田と呼吸 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで30年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

黒帯になって新しい型を習ったが、まず闘う前に上丹田から臍下丹田に気を落とすと言う、非常に難しい技術が必要となった。

 

丹田とは「気」が集まるところだが、一般的にはお臍の下辺りをいうが、額にある上丹田、胸に中丹田、そして文字通りお臍の下あたりの臍下丹田がある。

 

丹田の意識は、精神の落ち着きとともに、体を使ったり、動いたりするときの土台、軸として機能する。体の安定は心の安定。丹田が安定することは体の軸を作り、体の軸ができることで、精神の軸ができるといっても過言ではないだろう。

 

余談だが、「腑に落ちる」「腹を割って話す」「腹に据えかねる」「腹におさめる」などの、からだ言葉が昔からあるように、日本人は物事を腹(肚)で考え、捉えて来た。この文化は江戸時代を中心に発展したと言われている。その一例が、武士が一命を賭して訴えを行うのが切腹。切腹は丹田を刀で搔っ捌く。肚(丹田)に「武士の武士たる根本がある」からこそ、切腹はこの部分でなくてはならなかったのだろう。

 

ところで,「アンガーマネジメント」と呼ばれるものがある。70年代にアメリカで生まれたもので、当初は犯罪者のための矯正プログラムなどとして活用されていたそうだが、時代と共に一般化され、企業の研修などにも取り入れられるようになったのだと言う。

 

良くも悪くも、正義感や使命感が強すぎる私は、時に自分だけではなく他人にも厳しいので、ルールやマナーなどに関して自分の意見を押し通そうとするところがあるし、特にマナーが悪い人に対しては、カッチーンとなりがちだ。また、はっきりしない物事や人に対しても、うーっとなりがちなので、気をつけなくてはならないし、介入しすぎて怖い目、痛い目にあうことも度々あるので、見ないふりをしようとは思わないが、押さえておこうととぐっと我慢する。

 

そこで重要なのは、数秒待つこと。待って呼吸を整える。そうすると、丹田が下に下がってきて、気持ちが落ち着くのだという。ちなみに怒りのピークは6秒なのだそうな...

 

呼吸はゆっくり、深く。

 

「調身、調息、調心」

 

姿勢を整え、呼吸を整え、心を整える。

 

まだまだ修行だあ。