命を守る | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで30年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

長野市穂保地区を流れる千曲川。中央左が決壊した堤防=2019年10月13日午前8時15分、本社ヘリから

 

過去最強の台風が関東に上陸!と言われ続け、どれだけ人々を慄き震わせたことだろうか。
 
千葉を襲った台風15号の傷跡も癒されぬ間にやってきた19号。記録的大雨をもたらし、長野市では千曲川、福島県では阿武隈川、栃木県では秋山川の堤防が決壊し、住宅街などに水が流れ込んでいる。そして、初めて聞いたダムの緊急放水...。被害は1都10県以上にのぼるという、これほど広い範囲での災害は、震災以上であろう。
 
遠くから、風邪で倒れながらも映像を見続け唖然としていた。
 
日本の友人知人数十名に連絡を取ったところ、ほとんどの人が直接被害を受けてはいなかったが、職場の方が、会社の倉庫が...という話も耳にした。
 
ある友人が「命を守る行動を」という報道に違和感を感じた、と言っていた。マスメディアがこの言葉を多用していたようだが、確かに抽象的すぎてわかりづらい。
 
命より大切なもの
殉教と聞くと、
「命より大切なものなどあるはずがない」という人がいます。
ですが、命より大切なものを 見つけられずに生きることは、
本当に幸せなのでしょうか。
命より大切だと思えるものを見つけたとき、わたしたちの命は輝き始めます。by片柳神父
 
 
きっと、「自分の命より大切なものはない。自分の命が一番大事なんだよ」と思う人がほとんどだと思う。
 
もちろん、私もそうだ。頂いた命。その命を使っていかにいい人生を作るか、人々に課せられた使命であろう。
 
しかし、上記片柳神父様はおっしゃっている。
 
>自分の命より大切なものをしっかりと持ち、そのために生きる人もいます。例えば、人の命を助けるために、自分の命を投げ出して働く医師。人権を守るために、自分の命を捨てて政府に抗議する活動家。あるいは、好きでもない相手と結婚させられそうになって、命がけで抵抗する人。愛する家族のために、自分の命をすり減らしても働き続けるお父さんやお母さんも、きっとそうでしょう。そのように、大切な何かのために自分の命さえも捧げている人たちの命は、きらきらと輝いているように思えます。自分の命よりも大切な何かを見つけ出し、そのために生きるとき、人間の命は輝くものなのです。
 
確かにそうだ。ここのところ災害続きで、警察、消防、自衛隊などの方々が必死で救助されている。それを仕事だから、と一言では片付けられないだろう。

また殉教も、その延長線上にあると過言ではない。殉教者たちにとっては、信仰こそ、神様の愛こそ、自分の命を捨てても守るべきものなのだから。
 
気象庁が意図する「命を守る行動」とは、命を守るため、最善の行動を取るよう呼びかけているのだが、「命を守れる」防災。災害に備えた体制、予算はどうなのだろう?
 
最終的に全国で多くの死者、行方不明者、重軽傷者が出たのは悲しい出来事だが、過去の教訓、そして、過剰?とも思えるが報道などで取り上げないでいたならばもっと犠牲者が出ていたかもしれない。
 
まだまだ捜索や救助は続き、生活への影響が長期化しそうだが、この豪雨を教訓に(最大規模の洪水想定が公表された水系の一覧及び洪水浸水想定区域図が数年前に出ていたはずだが)、河川堤防の強化を始め、水害対策をより強化することが、命を守る第一歩であろう。(が肝心な税金がどう使われているのか....)