若者支援における「グレーゾーン」「ボーダー」という言葉の使い方 | 若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog

若者支援における「グレーゾーン」「ボーダー」という言葉の使い方

若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog-border

photo credit: D r e w W i l s o n via photo pin cc

本日の会議で出たトピックとして
困難を抱える若者の一部を示す言葉として「ボーダー」や「グレーゾーン」
が活用されている、というのが出てきた。

僕は使った記憶がほとんどありません。また、現場に詳しい
社員から、若者支援の現場でも日常的に使われるとは思えず
いろいろな専門家でも、これらの言葉で若者を示すコミュニケーションは
ほとんどないと言います。

さてはて。この言葉はどういう意味を持って活用されて
いるのだろうか。

ちなみに、僕もこれらの言葉を聞いたことはあります。

・最近、ボーダーの若者が来ている
・彼はグレーゾーンですよね

みたいな感じで。定義はよくわからない。そもそも合意形成された
定義に支えられた言葉であれば、もう少し流通していても
いいように思う。

これは仮説でしかないが、これらの言葉はとても便利に使われて
いる可能性はないだろうか?

白と黒。右と左。0と1。

明確に何かを定義づけたとき、そのどちらにもあてはまらない、または
どちらにも当てはまり得るときに使われる。ひとは簡単に0-1で
わけられない。だから、区分けできないときに”とりあえず”使う。

もうひとつ考えられ得るのが、自分の知識の内側(わかる/学んだ)と
知識の外側(わからない/学んでない)の間に位置する若者と
対峙したときだ。

こちらのケースで使われるとしたら、それは過分に「排除」を
誘発し得る。自分が知らない状況にある若者が来たとき、
わかりたい気持ちと、わからない世界のわからない世界側に
若者を置くことができず、”とりあえず”中間のポジションに
置くことで個人(支援者)が立場を守る、安心する。

しかし、中間におかれた若者はどうにもならない。どちらでもなく
解決策も中途半端になってしまう。

そもそもこれらは定義づけすることができるのだろうか。
それとも、明確に定義づけられた二つの言葉のどちらにも
当てはまらないところ”すべて”という位置づけがいいのか。

ふと思ったのが、

「手帳取得が可能」(福祉)と「最低賃金に値する労働生産性を出せる」(労働)
のどちらでもない場合に、「ボーダー」や「グレーゾーン」という
言葉が成立し得るのか?ということだ。

手帳の取得にはルールがあり、最低賃金に値する労働生産性もまた
雇用者が被雇用者に求める水準が(全部ではないかもしれないが)ある。
そのどちらにも”今の段階では”はいら(れ)ない場合に
この言葉は出てくるのか?

あくまでも仮説でもあり、純然たる疑問でもある。

若者支援のように非常に新しい分野(産業)であり、かつ、
専門性/専門家が存在しない場合、定義づけられていない
言葉が安易に走ってしまうのは危険なのではないかと感じている。


繰り返しになるが、比較的耳にするような言葉であるとともに
社内・社外の若者支援分野に通ずるひとたちが使っていない
という状況との「狭間」で、言葉だけが先行しつつあるいま
何ができるのか。何をしなければならないのか。

そもそも何もしなくてもいいのかもしれない。
でも、ちょっと気になる。。

NPO法人「育て上げ」ネット
理事長 工藤 啓
Blog: http://ameblo.jp/sodateage-kudo
Twitter: @sodateage_kudo
Facebook:facebook.com/kudokei

〒190-0011
東京都立川市高松町2-9-22生活館ビル3F
TEL 042-527-6051 FAX 042-548-1368
E-mail: kudo@sodateage.net
URL: http://www.sodateage.net

NPO法人育て上げネットは、ニートやひきこもり状態の若者
更生保護が必要な若者の持続的な社会参加と経済的自立を
支援しています。また、若者(わが子)が動きだせない状況に
ある保護者への支援、予防型/セーフティーネット型の
キャリア教育講座を展開しています。


●不要になった古本で若者に社会投資ができます

 若者支援のためのキフボン・プロジェクト
 http://www.kifubon.jp/

 
●印刷発注で次世代育成に寄付ができます

 New Page for Everyone:キフ印刷
 http://fujiwara-i.com/service/kifu.html

 
●あなたの1クリックが寄付につながります

 プレコラ
http://www.precolla.jp/index20.php

●CSR/教育活動もやっています

Money Connection with 新生フィナンシャル株式会社
www.moneyconnection.jp

Mobile Connection with NEC


Green Connection with GISPRI
http://www.green-connection.net/


●書籍も出版しています

「NPOで働く-社会の課題を解決する仕事」(東洋経済新報社)
「16才のための暮らしワークブック」(主婦の友社)
「育て上げ-ワカモノの自立を支援する」(駿河台出版)
「ニート支援マニュアル」(