若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog
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感謝の言葉はいらないけど、仲間と楽しそうに語り合う笑顔はほしい。

 

トラブルに遭うことも、解決できることも経験です。

 

味の素スタジアムに向かっている途中、社内チャットで「チケットなくした若者がいます」の連絡がありました。

駅からスタジアムまでの数百メートルの間、ポケットかどこかから落ちたのだと。

 

それを読んで、「まぁ、トラブルあるよね」ということで、僕が持っていたチケットを渡して、どこかで待つから帰ればいいかなくらいに考えてました。

 

駅に着くとチケットを探していた職員がいて、僕のチケット渡せばいいと思っていたところに、「突然、ひとり若者が観戦したいって来ちゃいました」と。

 

誰が来ちゃったのかを聞いて、「あぁ、そうか(笑)」と。ただ、チケットが不足してしまうので、その職員と僕のチケットを渡して、どうしようかなと。近くのバーミヤンでビール飲みながらDAZNで観戦して、終わるの待とうかなんていうプランBをのんきに。

 

こういう仕事をしていると、この手のトラブルは、ある程度、回避策を講じていても必ず起こるので、もはや計画範囲くらいというのは、対人援助をされていると理解できるところじゃないかと思います(当日会場に現れるのは想定してなかった!)

そんな僕と職員が、ネットでチケットを確保しながらスタジアムに歩いている間、FC東京の石川クラブコミュニケーターは、若者たちをスタジアム内にエスコートしてくださって、まさかのピッチレベルまで!(これはうらやましかった・・・)

 

 

会場に到着して、席を確保したとき、「できれば点が入って、FC東京が勝利」がベスト。勝ち負け以上に、玄人がうなろうがなんだろうが無得点は避けたいなーと祈ってました。

 

サッカーに縁のなかった若者も、ルールをよく知らない若者もいるなかで、やっぱり得点があって、スタジアムが盛り上がって(声だしゾーンがあった!)、みんなでいろいろ話しながら自宅に帰るというのがベストシナリオなので。

 

試合観戦しながら食べ物や飲み物(ジュースやビール!)を食べ、得点も入り、3-0でFC東京が勝利するなか、こういう経験がコロナ禍があっても、ないときも少なかった、なかった若者の笑顔というのは、見えない経験蓄積になっていくのだろうと感じます。

 

現場でご飯を食べたり、食糧や生活用品を配ったりすることが、緊急時には大切で、生活の土台を支えないといけません。もちろん、就労支援を通じて仕事についていく若者の存在に、むしろ、励まされています。

 

それでもなお、生活設計にも、就労にも直接的にはかかわりづらい文化的な活動は、小さくない形で若者たちに残っていけばいいな、と思います。

 

 

あとで気が付いたんですけど、一緒に帰ってた若者たちは、サッカーのことを話しながら、翌日以降の話をしているんですが、特に「感謝の言葉」という形での表現はなく、それがまたよかったなと。

 

楽しかったことや、すごかったプレーについて語り合う空間に対して、御礼や感謝を言ってほしいわけでもなく、とても楽しそうに帰った(駅で解散するとき、ご飯行った若者たちも)姿が、寄付をしてくださる個人や企業さま、お金では買えない機会をくれたFC東京のみなさまなどによってできているんだ、と思うだけで幸せでした。

 

(後にわかった話)

昨日、チケット紛失してしまった話に対して、友人の知人が、それかどうかはわかりませんが、チケットを拾って警察に届けてくださったそうです。コンサドーレ札幌のサポーターの方ということで、心から感謝しますm( _ _ )m

若者が「夜」に立ち寄れる場所、作りました。

 

育て上げネットは、若者支援団体です。その活動は、主に通所およびオンライン型です。若者支援分野には、いくつかの「型」があります。通所型、合宿型(ワークキャンプ型)、宿泊型、訪問型、オンライン型などがそれにあたります。

 

オンライン型はあるにはありましたが、本格化したのは2017年頃から始まったSNSを使った相談事業やコロナ禍後でしょう。実際にオンライン型で支援プログラムを提供してみて、これまでとは異なるデジタルを通じたアウトリーチやスキル習得、関係性の構築、そして就労がたくさんかなっています。

 

顕著なのは、自宅から出ることが難しい(居住エリアに希望する仕事が少ない)若者が、オンライン型の支援を通じて、リモートワーカーとしてパートやフルタイムで働くケースが結構あることですね。「フルタイムで働いてますが、ひきこもっているのは変わってないですね」という話を笑ってする若者もいました。

 

僕は宿泊型と呼ばれるなかでも、共同生活型の若者支援が家業である両親のもとに生まれました。そのため「夜」の時間帯のよさと難しさを理解しているつもりですし、そもそも共同生活型というのは本当にいろいろ起こります。トラブルもありますし、(幼心に)嫌だなと思うこともありました。

 

その一方、通所型の場合は、朝から夕方くらいまでが開所です。自宅を出て、育て上げネットに来て、自宅に帰るという生活リズムが生まれやすい特徴があります。

 

2003年、日本政府は本格的に(史上初めてといってよい)若者支援を始めました。その際、有識者として集められたのは研究者や識者のみならず、通所型や合宿型で活動しているNPO団体でした。

 

もともと公的施設でも通所型は一般的で、9:00から18:00にオープンしているというのはよくある形です。対象者によって土曜日や日曜祝日も開ける施設もあります。ただ、「夜の時間帯」はあまり多くありません。

 

コロナ禍で、僕らもなかなか若者たちに「いつでも来ていいよ」「暇なら遊びにおいでよ」と言いづらい時期がありました。特に卒業生と呼ばれる、過去にジョブトレなどのプログラムを通じて就労していった若者は、20年前からいまにいたるまでたくさんおり、忘年会や夏祭りなどの大きめのイベントには結構顔出してくれます。

 

また、土曜日などは仕事が休みだからと卒業生は毎週多く遊びに来てました。それがこの2年間で、以前のようなゆるやかで柔軟な形が取れないことが続き、一部からは自宅と仕事の往復だけの生活で、他のひとと話すことも、穏やかな関係性のなかで過ごす時間、空間がなくて苦しいという声もありました。

 

本日(2022年5月7日)、私たちは夜の時間帯を空けました。

 

通常時間帯を越えて、大幅に時間を延長することや、みんなでご飯を食べる機会提供、いざというときの緊急宿泊のための費用など、さまざまなコストとリスク管理が伴います。また、実際にやってみて、どのような感じになるのかを掴んでいくテスト期間がなければ、先々どのような運営形態を目指すのか、継続可能な形はどうあるべきなのかを考えられません。

 

今回、私たちの取り組みに手を差し伸べてくださった公益財団日本フィランソロピック財団「ソーシャル・グッド基金」に、心から感謝申し上げます。また、本基金以外でも、育て上げネットの各種事業所、プログラムを利用するための交通費が出せない若者たちのために、交通費分を寄付してくださっている寄付者のみなさまにも感謝いたします。

 

夕食の機会のみならず、翌週分の食材や生活用品なども持って帰ってもらえるようにしたいと考えていますが、場に来て帰る交通費、実費が出せないところを解決したいと考えています。

 

本日はプレオープンということで、広く地域に情報を展開する前に、1,2か月の準備期間にあてています。それでも、僕が20:00過ぎに来たときには、帰宅した若者も結構いたようですが、何名かの若者とスタッフが残っていました。ジョブトレを利用している若者は、過去に利用していまは働いている卒業生と話せたことが嬉しいと言ってました。

 

いつもは別のプログラムにいる若者は、普段はあまりゆっくり話すことのないスタッフや同世代の若者と語り、ゲームをしながら、和やかに団らんしてました。ご飯も食べおわり、何をするわけでもなく、それぞれのペースで好きなことをしたり、ぼんやりしたりできるスペースが、「夜」に開いていることに少なからず日中とは異なる空気を感じます。

 

まだまだこれから運用していく段階ですが、少しずつ夜の時間帯を通じて、若者たちと出会い、つながりをゆるやかに続けられる機会を作っていきます。

 

寄付で若者を応援してくださる方々を募っています

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貧困・困窮状態にある若者の「実費」を肩代わり!継続支援のお願い

 

交通費があればあきらめることはなかった:実費負担の原則は、当たり前じゃない。

 

またおいでよ、いつでも待っているよ。

 

育て上げネットでは、応能負担型の考えのもと、プログラム参加への費用負担がかなう環境であればお支払いをいただきます。しかし、相談に来る若者の大半は収入がありません。そのため、支払えるお金はありません。

 

そう考えて、プログラム利用が無料になるよう努力をしてきました。それは行政の委託事業や企業との連携、個人からの寄付など。それによって多くのプログラムに、自己負担のない無料利用ができるようになりました。

 

「参加したいけれど、交通費が出せません」

 

 

片道1,000円以上かかる場所に住む女性がいました。ご両親からは「女性は無理して働かなくてもいい」と言われ、豊かではないけど、経済的に困窮しているわけでもない家庭です。しかし、女性には収入も貯金もなく、ご両親はその価値観を曲げず、プログラム利用にかかる費用はびた一文出しません。

 

週に何日も通うとなれば定期でも月に数万円かかります。僕らは、彼女に対して交通費も出しました。そして彼女は3か月ほどで働けるようになり、笑顔を取り戻しました。

 

現場の援助職はもちろんのこと、他者に対して利他的なひとたちは、さまざまなつながりを紹介し、機会・情報を提供します。そこに費用がかからなくても、移動のための実費が発生します。

 

「またおいでよ」「いつでも待っているよ」という心からの言葉であっても、その背後には交通費など実費部分は自分で出してね、が常に見え隠れします。

 

 

一日数百円から1,000円くらいで暮す若者にとって、ある場所までの往復の交通費は、“参加無料”であっても、大きな壁となって立ちはだかります。また、暖かい気持ちをいただきながら、「交通費がない」ことによって、気持ちを反故してしまう自分の状況に、自尊心を傷つけられます。

 

私たちは、実費負担の原則が「当たり前化」されている社会に対して、そんな原則はないと言いたいです。僕らのプログラムを利用したい若者に、交通費がないことであきらめさせることのない環境を作りたいです。

 

たった数百円から1,000円かもしれませんが、それがないことで自身の環境に絶望しない機会を若者に提供したいと思い、月1,000円からのマンスリーサポーターを募集します。さまざまな課題や困難を抱える若者が、ひとたちが実費負担の原則が当たり前でない社会を一緒に創っていただけませんか。

 

 

貧困・困窮状態にある若者の「実費」を肩代わり!継続支援のお願い

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