ある夜、私は友人からの一本の国際電話を待っていた
いつもは‘通知不可能’の電話は拒否しているが
その数時間はその電話を受けるため拒否解除にしていた
しかし携帯電話を枕元に置いたまま寝入ってしまった
そして深夜4時過ぎ
電話が鳴っていることに気が付き反射的に応答した
数日前のEps035
で文末に書いたその日のことです
「
........HELLO?」
「イェーイ!!! やっとSPICYが電話に出た
イェーイ!!! I love you so much!!! I love you.....
やっぱり神様はいたんだ」
電話の向こうで誰かが英語で叫んでいる・・・
「・・・・・・Who is this?
」
時差というものを配慮せずにこんなハイテンションの野郎は
私の知り合いでただ一人、フレッドだ
「Did you forget my voice?」
これまでも留守電には何度もメッセージが入っていたが
半年振りにフレッドの生声を聞いた
「必ずSPICYのために日本へ行くからね
MICAは僕の言うことは何でも聞く
きみがいつか言った通り男に縁のない女は便利がいい
これでVISAが取得できるよ
やっと会えるね、愛するSPICY
」
―何???????―
まだ諦めずにMICAさんを騙し続けていたのか
というよりも・・・それでもフレッドを信じて
騙され続けているMICAさんは希少価値が高い
・・・昨年の秋にKAYOさんがヒントを与え(Eps040)
・・・つい一ヶ月前に私が無駄な協力を求め(前Eps041)
そんなことがあったらフレッドに何を言われようとも
「はい!さようなら」が当たり前だ
それなのにまだMICAさんはVISA取得に協力している
つまりインヴィテーションの身元保証人になろうとしている
それはそれである意味素晴らしい女性だ・・・A=´、`=)ゞ
そしてフレッドは私に一つの質問をした
「去年の10月にMICAにインヴィテーションを書かせて
日本大使館へVISAの申請をしたんだ
それはきみにメールで知らせたから知ってるよね?」
「あなたが日本へ来ようとしていることは
大家さんから聞いたから知っていたわ
でもいつVISAの申請をしたかなんて知らないわよ
その当時はあなたのメールなんか一切見てないもの」
「それはウソだよ
なぜなら日本大使館は渡航寸前に僕のVISAを取り下げた
それはきみが大使館へ電話して申し入れをしたからだろ?」
「私個人ごときの要望であんたのVISA発給を止めていたら
世界中の日本大使館と外務省の審査官は
忙しすぎて全員過労死よ
もしかして・・・過去の重要な出来事を覚えてないの?
あなた、私がNY市警にストーカー被害届を出した後
また私の部屋の窓を叩いて警察へ連行されたでしょ?
つまりあなたには犯罪歴が残ったのよ(Eps030 )
軽犯罪だって犯罪は犯罪よ
しかも日本人の被害は大使館へも連絡されるわ
それにあなたが昼夜問わず
一日100回も実家に電話するから
父の弁護士が日本の警察へも届けたって
警告したじゃない(Eps038
)
詳しくは知らないけど・・・
あなた数年間は日本入国のVISAを取得できないと思うわよ」
フレッドは言葉を失った・・・
本当にその事実を忘れていたようだ
それとも数回にわたる私の警告を信じていなかったのか
私が原因でVISAが取得できなかったのは間違いない
しかしわざわざ日本大使館へ電話などするわけがない
ちなみに昨年10月頃、私はほとんど日本にいなかったのだ
じつにばかばかしくこれもまた短絡的な考え方だ
しかもフレッド自身の行動が引き金になっているのに
それを忘れているとはおバカにも限度がある
しばらくフレッドは黙り込んだ・・・・・
その事実を思い出したからと言って今更ショックなのか
しかしその沈黙の間にフレッドが抱いた思いは
予想とはるかにかけ離れていた
「それだったら・・・MICAはいったい何だったんだ
彼女との関係は全く無意味じゃないか・・・」
「それはあなたの問題じゃない?知らないわよ
」
「I don't love her・・・
.」
「I know you don't love her anymore,・・・ 」
「NO!NO!NO! not anymore...
I'VE NEVER LOVED HER since I MET HER!.」
日本語よりも英語の方が時制がはっきりしていて
ニュアンスが伝わりやすいですね
ゲッ・・・めちゃくちゃひどいことを言っている・・・
つまり“もう愛していない”のではなくて
“出会ってから一度も愛したことがない”と言うのだ
もしも私が関係を持った男からこんな台詞を言われたら
地球の果てでも・・・
いや、宇宙の果てまでも追いかけて殺すだろう
「愛してもいない女と寝たのはあなたでしょう
あなたにはその責任があるわ」
「SPICYの責任だ
僕は言っただろ
―It's me
―
"I'll never give up to get you"
つまり全部きみのためだ
VISAが取得できないならMICAは必要ない」
「それなら“愛してない、別れてくれ”と
はっきり伝えるべきよ
MICAさんに失礼でしょ・・・」
「それでは
僕だけが悪者だろ?」
―ほかに誰が悪いというのだ・・・―
「それにそんなことくらいで諦めるような女じゃないよ・・・
SPICYにも責任があるんだからきみの協力が必要だ!」
―相変わらず狂ったことを言うやつだ―
「SPICYのことはMICAに全部話してある
今でも僕はSPICYを愛しているし
チャンスがあれば必ずSPICYのもとへ行くって
それなのにまた僕に会うために
航空券を買おうとしているんだぜ
もうMICAに用はないし僕は疲れたうっとうしいんだ
」
「私のことを知っていてMICAさんは
あなたを愛してるっていうの That's crazy!」
「そうさ
MICAはいまだに僕に夢中だよ
僕はMICAを利用していると人々に言われてもいい
それは事実なんだから
MICAだってそれを納得している、そういう便利な女だ
だいたいさぁ・・・
She is exactly not my type, you know that, right?」
―世の中にそんなつつましい女がいるわけがない
もしいたといたら天然記念物に指定される、江戸時代じゃあるまいし・・
そして excactlyがつくほど好みから外れた女を選ぶな(-"-;A ―
私も過去に“ひどい女”と呼ばれたことは数百回あるが
フレッドほど“ひどい残酷な男”に出会ったのは初めてだ
そんな途方もない会話を2時間近くして
フレッドはさらなる狂った行動に出た
「SPICYは僕を信じてないだろ?
いまからMICAに三者通話で電話をするから
どんな女か黙って聞いていてくれよ
とにかく諦めの悪いしつこい女なんだ」
―あんたにしつこいと言われる人は世の中にそういない(^_^;)―
「やめなさい
それはいくらなんでも非常識よ
だいたい今、日本は朝6時前よ 気は確かなの?」
「
冗談だよ・・・そんなことしないよ」
と言った1分後・・・
フレッドはMICAさんにダイヤルして
私に二人の会話の
一部始終を聞かせるのだった