快眠アドバイス 『毛布の正しい使い方』 | ウメナ寝具の快眠BLOG

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静岡県三島市の寝具店「ウメナ寝具本店」の【店長(睡眠健康指導士・sleepdesigner)】が書くブログです。睡眠の話、睡眠に絡めた寝具(布団)の話、お店の情報などを載せています。
※6月18日にWebサイトをリニューアルし、記事内のリンクが一部切れています。

この時期の恒例みたいになりましたが、まだまだお客様から相談されますし、快眠アドバイスシリーズでは触れていないテーマなので、改めて「毛布」の正しい使い方をまとめます。


毛布


まず、毛布に求められる役割ですが「肌触りの柔らかさ」、そして「吸湿力」です。保温力を求める場合は毛布ではなく、掛ふとんや敷ふとん等の「布団」、ベッドマットレス等の「重寝具」を優先して考えましょう。保温力に関しては「厚み」のある寝具の方が影響力が大きいからです。


さて、毛布に肌触りの柔らかさが求められるのは、冬場に掛ふとんを単独で使った時、入った直後の嫌なヒンヤリ感を和らげてスムーズな入眠を促す為です。少し体を丸めて耐えていれば体温が寝具に伝わり温かくなりますが、この温まるのを待つ時間が耐え難いのです。そこを毛布でサポートします。


もう少し正確に言うと、この嫌なヒンヤリ感は掛ふとんに使う「掛カバー」のヒンヤリ感とも言えます。よって掛カバーの種類を毛布の様な起毛された生地、もしくはガーゼやニットの様な肌触りのソフトな素材に変える事もヒンヤリ感を和らげるもう1つの手段です。


ヒンヤリ感を和らげる為に毛布があるのならば、掛ふとんの内側に使うのが正しい気がしますよね。


しかし、全ての毛布を掛ふとんの内側に使う事は正しい使い方ではありません。ここで注意すべきが「吸湿力」なのです。これは「毛布の素材」と置き換えても良いでしょう。


人間は冬でも睡眠時に汗をかきます。発汗によって深部体温を下げないと眠りにつけない仕組みになっているからです。この発汗に対処できる吸湿力を持っているかどうかで毛布を掛ふとんの内側に使うのか、外側に使うのかを決めなければいけません。


吸湿力に安心の持てる素材は「綿・ウール(羊毛)・シルク(絹)・カシミヤ」といった「天然素材」です。これらを使った毛布であれば掛ふとんの内側(下)に使いましょう。


シルク糸


吸湿力に乏しい「アクリル・ポリエステル(マイクロファイバー)」といった化学繊維素材の毛布は、残念ながら掛ふとんの外側(上)に使って下さい。毛布の重さを利用して掛ふとんの肌沿いを良くし、保温力のサポートの為に使いましょう。


化学繊維素材でも特殊な加工を施し吸湿力を持たせた高機能毛布もあります。当店で扱っている山甚物産の「マイクロマティーク毛布」がその部類です。この毛布は天然素材の様に使って下さい。


つまり毛布の正しい使い方は毛布の吸湿力(毛布の素材)で決まります。一概に内側とか外側ではなく「毛布の素材を確かめる事」が大切なのです。


ちなみに毛布の品質表示を確認すると毛羽部分と地糸と2種類に分かれています。ヨコ糸とタテ糸で表記している場合もあります。この毛羽部分の組成を確認してみましょう。現在、ほとんどの天然素材毛布の地糸はポリエステルを使います。これは毛布の耐久性や洗濯性と関係します。


毛布タグ


地糸に化学繊維のポリエステルが使われていても、冬場の使用において毛羽部分が天然素材であれば吸湿性に支障はきたさないと言えるでしょう。もちろん睡眠時の発汗量との関係なので、使う方の筋肉量の違い、性差、年齢差によって発汗量が変わり毛布に対する感じ方は変わります。


試しに毛布を内側に使ってみて、夜中に毛布や掛ふとんを蹴飛ばして体に掛かっていなければ使い方や毛布の選び方が間違っている証拠だと思って下さい。


それから、アクリルやポリエステルの毛布を標準的な毛布と想像されている方が天然素材の毛布を見ると、見た目が薄いので温かさに不安を覚える方は多いです。しかし、吸湿性のある天然素材の毛布は使うと「吸着発熱」という化学反応が起きて熱が生まれます。使っているといつの間にか気持ち良い暖かさに包まれます。


もしそれでも寒いと感じるのであれば、毛布の役割の部分でも触れましたけど毛布ではなく布団や重寝具を見直した方が良いと思います。特に敷ふとんやベッドマットレス等の「敷寝具」です。


羽毛ふとんの普及もあって掛ふとんについては保温力に問題ない場合は増えてきました。しかし、敷ふとんやベッドマットレスは硬いモノが良いという誤った解釈で長い間販売がされてきたこともあり、耐圧分散の悪い硬い敷寝具を使っている方はまだまだ多いです。


耐圧分散の良い敷寝具を使うと体と敷寝具が密着します。つまり空気が通らないので体温によって暖められた敷寝具が冷めにくくなるのです。


肩コリや腰痛の改善を目的に敷ふとんやベッドマットレスの耐圧分散を良くした方が、肩コリや腰痛の改善という効果だけじゃなく「寝る時に暖かくなった」という効果を喜ぶ人も実際に多いです。


この敷寝具と保温の関係については、次回の快眠アドバイスでもう少し掘り下げて解説します。


長々と書いてしまいましたが、今回は「毛布の正しい使い方が素材で決まる事」だけは覚えておいて下さい。


■関連ページ
⇒BLOG:お店の日常 店内の様子「毛布、合・肌掛ふとん」2015年11月5日現在

⇒BLOG:お店の日常 『毛布は掛ふとんの下に使うの?上に使うの?』 2014年10月23日

⇒BLOG:快眠アドバイス 『敷ふとんは硬い方がイイという誤解』 2014年10月28日


by sleepdesigner:圭


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