快眠コラム 『毛布比較論後編 ~天然素材系~』 | ウメナ寝具の快眠BLOG

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静岡県三島市の寝具店「ウメナ寝具本店」の【店長(睡眠健康指導士・sleepdesigner)】が書くブログです。睡眠の話、睡眠に絡めた寝具(布団)の話、お店の情報などを載せています。
※6月18日にWebサイトをリニューアルし、記事内のリンクが一部切れています。

それでは後編です。天然素材系の毛布4種の紹介です。

まず天然素材系の毛布全般に言えることなのですが、アクリル毛布と比べて見た目が薄いので温かくないと思われがちです。ただし「厚さ」と「温かさ」は必ずしも相関関係にはありません。断熱性や保温性だけが人間の感じる温かさでは無いからです。

前編でも書きましたが、寝具にとって大切な要素に吸湿性という水分を吸収する能力があり、毛布も例外ではありません。人間は冬の寒い時期でも眠る時に汗をかいています。この汗を上手く処理できない寝具(毛布)は「快適な温かさ」をもたらしません。

前置きはここまで。では綿毛布からです。

「綿毛布」
$ウメナ寝具のBLOG-コットン

天然素材系の毛布で最もポピュラーな毛布です。保温性、吸湿性、洗濯性、経済性など毛布に必要とされる能力がバランス良く整った毛布と言えるでしょう。羽毛ふとんの下に使って頂ければ相当の冷え症さんで無い限りは十分に温かいと思います。

欠点は洗濯を繰り返すと、風合いの良さが損なわれていくことですね。また、使われる綿の質や織り方などによって値段に大きなばらつきがあります。シングルサイズの綿毛布で下は2,000円位から、上は100,000円位までの幅があります。やはり実際に商品を見て触って選ぶのが安全です。

また、通常の毛布の場合はグランドという基布に繊維の毛羽を植え込んでいきますが、綿のガーゼケットを起毛させた様な新タイプの毛布もあります。こちらは通常の毛布に比べて軽いのが特徴です。中にはポリウレタンを混ぜて伸縮するタイプもあります。

それから、綿毛布の生地で掛カバーを作った新商品もあって、こちらは非常に人気です。タオルカバーとか綿毛布カバーとか各メーカーで名称は様々ですが、基本はカバーなので内側に掛ふとんとくっつけるヒモがあります。布団とカバーが合体するので毛布の様にズレる心配が無いのが魅力です。

「ウール毛布」
$ウメナ寝具のBLOG-ウール

羊毛(ウール)を使った毛布で、綿毛布に比べると保温性と吸湿性に優れていますので、より良い天然素材の毛布を求めるならばウール毛布がオススメです。また吸着発熱の力も強いので綿毛布よりも温かいです。寒がりさん、冷え症さんはウール毛布が良いでしょう。

欠点として繊維の性質上、どうしても触り心地がチクチクするのでそれを苦手とする人がいます。チクチク感は羊の種類にもよりますので、一概には言えませんが、やはりこれも実際に触って確かめるのが一番です。昔のウール毛布ほどチクチクしなくなったみたいですしね。

また、ウール毛布は全体的に洗濯が難しいという事も欠点でしょう。洗うと縮みます。最近は洗濯対応のウール毛布や、ウール製品用の洗剤や洗濯機のコースもありますがね…。

ただ、私の考えとしては洗って縮むというのが吸湿性の良い証拠だと思っています。そうすると、裏を返せば洗っても縮まないというのは吸湿性の悪い証拠という事になるのです。

ウール毛布を洗濯対応にする加工はウールの吸湿性を支えるスケールというウロコの様な部分を取り除く事が一般的です。最近は全てを除去しないで、一部のスケールを残す様にしているみたいですが、それでもスケールの除去に変わりはないのでウール毛布の本来の良さを損なう事にならないのかと不思議に思っています。洗剤や洗濯機の洗える理由(仕組み)については勉強不足です。申し訳ございません。

今後、まずは通常のウール毛布と洗えるウール毛布を実際に使用してみて、その違いを検証しないといけませんね。

「シルク毛布」
$ウメナ寝具のBLOG-シルク

繊維の女王と呼ばれる絹(シルク)を使った毛布です。シルクは天然繊維の中で最も細い繊維(1本当たり)です。肌触りの良さは次に書きますカシミヤ毛布に匹敵します。保温性と吸湿性という大事な要素も優れた力を発揮しますので、ウール毛布同様に寒がりさんや冷え症さんにはオススメです。

欠点はウール毛布同様に洗濯の難しさです。多分、ウール毛布よりも難しいと思います。クリーニング店でもシルク製品は受けてくれないところがあります。シルク毛布の場合は縮むというよりも、洗う前と洗った後の風合いの違いに差があり過ぎると言いましょうか。毛束になって滑らかな風合いが損なわれてしまうのです。

また、価格が高い点も欠点と言えでしょう。

ちなみにシルク製品で良く言われる「肌に良い」という特徴ですが、肌に良いと言われる理由は成分が人間の皮膚に近いタンパク質で出来ているからです。2本のフィブロインというタンパク質の繊維をセリシンと呼ばれるタンパク質の膜で覆った形をしています。俗に肌に良いと言われる成分はセリシンなのですが、シルクを繊維にする過程でこのセリシンはそぎ落とされます。つまり衣料用のシルク製品には基本的にセリシンは含まれないのです。

それでもフィブロインはタンパク質ですし、セリシンを除去しても肌に良いのかもしれませんが、もう少し検証の余地がありそうなので今回は明言を避けたいと思います。また詳しい事が分かり次第お知らせします。

「カシミヤ毛布」
$ウメナ寝具のBLOG-カシミヤ

カシミヤは繊維の宝石と言われるインド北西部のカシミール地方に生息するカシミヤ山羊から採れる繊維です。極寒の渓谷が育てる暖かな繊維で作った毛布は数ある毛布の中でも最高の一枚と言えるでしょう。毛布に必要な保温性、吸湿性、肌触りなどの要素は文句のつけようがありません。

ただし、こちらも欠点として洗濯の難しさがあります。価格も宝石と言われる通り、一頭あたりわずか150g~250gの量しか獲れない稀少性から非常に高価になります。

その為カシミヤの場合はウール等の繊維と混合で製品化されることが多いです。

カシミヤを純粋に100%使用した毛布ならば価格は優に100,000円は超えるでしょう。それ以下の製品はタテ糸もしくはヨコ糸のみカシミヤ100%だとか、カシミヤとウールの混合だと思います。購入される際には製品の品票をしっかり確認して頂くのが安全です。

以上。前編と後編に分かれた主要毛布6種の比較はこんな感じです。

毛布を選ぶ際に見た目ではなく、実用性(温かさ)を重視するならやはり天然素材系の毛布を掛布団の内(下)側に使うのが良いでしょう。

コストで選ぶなら綿毛布、寒がりさん冷え症さんならウールかシルク毛布、睡眠にちょっと贅沢をしたいなって方はカシミヤ毛布といった具合でしょうかね。

まだまだ研究・調査の余地がある不完全な毛布比較論で申し訳ございませんでしたが、少しでも毛布選びの参考になってもらえたら幸いです。

ちなみに私の個人的なお気に入りはシルク毛布です。


by sleepdesigner:圭


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