快眠コラム 『睡眠と入浴の関係』 | ウメナ寝具の快眠BLOG

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静岡県三島市の寝具店「ウメナ寝具本店」の【店長(睡眠健康指導士・sleepdesigner)】が書くブログです。睡眠の話、睡眠に絡めた寝具(布団)の話、お店の情報などを載せています。
※6月18日にWebサイトをリニューアルし、記事内のリンクが一部切れています。

質の高い睡眠を得たいなら、就寝予定時刻から2時間以内の間にシャワーではなく毎日湯船にしっかり浸かることが大切です。それは湯船に浸かって深部体温を上げることが寝つきの良さと深い睡眠をもたらすからです。

通常、人間が持つ深部体温リズムは早朝の起床直前を最低とし、徐々に温度を上げながら起床を迎えます。起床後もそのまま深部体温は上昇を続け、夕方に1日の最高体温を迎えます。そこから翌朝に向かって下降していくという一連の流れを作りますが、この深部体温が下降している時は眠くなります。

この下降のタイミングで入浴を行い一時的に深部体温を上昇させてあげると手足の抹消からの放熱作用が促進されて、その後の深部体温低下のスピードが速まります。この深部体温の低下がスムーズに行われると寝つきが良くなり、更に第一睡眠周期での徐波睡眠(深い睡眠)の時間も増えるという研究結果があります。

つまり睡眠の質が良くなるというわけです。

ただし、入浴によって深部体温を上げる場合はその湯温が非常に大切です。睡眠は副交感神経が優位に働きリラックスした状態を作らないといけません。湯温が高いと、副交感神経ではなく交感神経が優位なってしまいます。リラックスとは反対に興奮してしまうのです。

リラックス状態を作る為の湯温の目安は一般的に38~40℃とされていますが、これはその方の体型に応じて変化する様です。脂肪の多い方は熱が伝わりにくい為もっと高い湯温でないといけない様です。

そこで自分に合った湯温の目安は時間で探すことにしましょう。

入浴によるリラックス効果と深部体温の上昇を望む場合、まず15~25分程の時間は湯船に浸かる必要があります。そして最終的に額にじんわりと汗をかく状態を作らないといけません。つまり、15~25分浸かってこの様な状態を作れる湯温があなた合った目安の湯温と言えます。

どうしても熱いお湯じゃないとダメって方は、就寝時間の2時間以上前に入浴を済ませて下さい。この場合は入浴による睡眠へのプラスの効果は諦めるしかありません。

また冬場も半身浴をされる方がいらっしゃいますが、浴室内の温度に気を付けて下さい。浴室内の温度が低い場合の半身浴はおススメしません。経験上、多分体が温まるどころか逆に冷えると思います。半身浴をしたい場合は浴室内の温度をしっかり上げましょう。もともと半身浴は湯船に浸かり辛い夏場の暑い時期に、入浴の様々なプラスの効果を再現する為の手法です。冬場はしっかり肩まで浸かって下さい。

さてさて、実は入浴には睡眠の質の向上を促す効果だけでなく、温熱、浮力、水圧の3大作用による疲労回復効果もあります。

それぞれ仕組みを簡単に説明すると、温熱作用とはお湯の熱で体が温められると体表を走る血管が拡張します。全身の血液が体表を巡る(血液は約1分間で全身を巡ります。)たびに温まることになるので、体の芯からポカポカしてきます。深部体温が上がるということです。すると血液循環も良くなるので老廃物や疲労物質の除去も進みます。

続いて浮力の作用。アルキメデスの原理により、湯船に入ったカラダと同体積の水の重さと同じ浮力が得られる為それだけ体重が軽くなります。首までお湯に浸かると体重は約9分の1になる計算になります。地上ではつねに1Gの重力が加わり、体重を支えるために筋肉が働いています。浮力で体重が軽くなると筋肉の負担が減り、緊張が和らぐことになります。

最後は水圧の作用。標準的な体型の人が湯船に首まで浸かると、全身でおよそ860㎏もの水圧がかかります。特に骨格に覆われていない腹部にかかる水圧で腹圧が上がると横隔膜が押し上げられて肺の容量が減少します。その為、同じ量の酸素を吸うためには呼吸の回数を増やす必要があるため、呼吸を司る呼吸筋が鍛えられます。呼吸筋が強化されると、ちょっと動いたくらいでは息が上がらない疲れにくい体質になれます。

体の汚れを落とすだけならシャワーで十分かもしれません。しかし、ぐっすり眠りたい、寝つきを良くしたい、日中の疲れを癒したいのであれば、きっちり湯船に浸かる習慣を作って睡眠の質を上げることをオススメします。


by sleepdesigner:圭


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