快眠コラム 『寝る子は育ちます』 | ウメナ寝具の快眠BLOG

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静岡県三島市の寝具店「ウメナ寝具本店」の【店長(睡眠健康指導士・sleepdesigner)】が書くブログです。睡眠の話、睡眠に絡めた寝具(布団)の話、お店の情報などを載せています。
※6月18日にWebサイトをリニューアルし、記事内のリンクが一部切れています。

世界の国々と比較した時、日本人全体の睡眠時間はまだまだ少ないのが現状です。

睡眠時間国際比較
このグラフは2006年に発表された各国の睡眠時間比較です。日本と韓国の睡眠時間の少なさが際立っています。

このグラフは大人も子供も含めた調査によるものですが、睡眠時間が少ない傾向は子供に焦点を当てた場合も同じです。この睡眠時間の少なさ、質の悪い睡眠によって起こる様々な発達障害や睡眠障害が今や大きな社会問題のひとつとなっています。

子供達の健やかな成長の為に「良質な睡眠」は必要不可欠なのです。

もう少し具体的に子供達が良質な睡眠を得られないとどうなるか、子供達の睡眠問題に非常に熱心に取り組まれている神山潤先生のレポート「成績・やる気を左右する子どもの睡眠習慣」を参考にすると、①「集中力がでない」、②「体の成長や発達を妨げる」、③「抑うつ気分を招く」、④「肥満になりやすい」という4つの症状にまとめること出来ます。

そして、これらが原因で「勉強ができない」、「運動ができない」、「背が伸びない」、「コミュニケーションが上手くとれない」、「病気にかかりやすい」といった結果がもたらされます。

広島県教育委員会が行った調査では、睡眠時間を十分にとっている児童の方が成績がより優秀であるという結果が、約10年前の平成15年にすでに報告されています。(睡眠時間7~10時間の児童の成績が良くて、長すぎても逆に成績が落ちています。)

子供達の睡眠時間減少の原因は就寝時刻の後退、要するに「夜更かし」が一番の理由です。起床時刻は昔と比べてもそれほど大差はありませんが、就寝時刻は遅くなる一方です。特に中学生以降は就寝時刻が一気に遅くなる調査結果もあります。

起床時刻年代変化
図:厚生労働省 e-ヘルスネットより(日本学校保健会「平成16年度 児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書」から作成)

夜更かしの理由はいくつか考えられます。両親の共働きによる生活習慣の夜型化、ゲームやインターネットなどの娯楽の浸透、夜遅くまでの塾やクラブ活動、もちろん学校の宿題や受験勉強などなど。なかなか難しい問題が絡んできます。

一筋縄ではいかないでしょうし、万人に共通する解決策は無いです。その家庭、その子供に合った解決策が必要なのだと思いますが、その前に神山潤先生が提案する眠りの質を上げる睡眠衛生の基本を押さえておきましょう。どんな解決策を選ぶにしてもこの基本がスタートになるからです。

それは非常にシンプルです。「朝の光を浴びる。」「規則的に食事をとる。」「昼間に明るい環境で運動する。」「夜は暗い環境で休む。(寝る前のメディア接触を避ける。)」の4つです。要するに自然に逆らわない生活(体内時計を正常に動かす生活)です。

私の考えとして特に注意すべきは「夜は暗い環境で休む。(寝る前のメディア接触を避ける。)」という部分ですね。

人間の体内時計に最も影響力を持つ要素が「光」です。夜間に浴びる光は体内時計を狂わせ、体を夜更かしの方向へ導きます。室内の照明はもちろん、テレビ、パソコン、ゲームやスマホの液晶画面から発する光も、同じ光です。

ホテル室内照明
夜の室内照明のお手本はホテルです。数か所の光源を設けることで光の量を調節できます。また、オレンジ系の電球色の方が、蛍光灯の様な青白い光よりも人間に与える影響力は低いです。

後、この4つに寝具を扱う人間として、「適切な寝具を使う。」というポイントも入れたいと思います。子供は体力があって、ある程度劣悪な環境でも寝ちゃいますが、それが良いことのはずがありません。「良質な睡眠」は睡眠時間だけで測れるものとは違いますのでね。

「保温性」と「吸湿・発散性」という寝具選びの2大要素をきちんと踏まえて選んで頂きたいです。(詳しくは当店Webサイトの「グッスリ眠れる寝具選び」をご覧下さい。)

特に子供の寝具に関して言えば「吸湿・発散性」を第一に考えて下さい。子育ての経験がある方は身に覚えがあると思いますが、まず子供の発汗量は恐ろしいです。夏場なんか一晩でパジャマもシーツもビッショリです。子供は常に成長しています。大人よりも体温は高く、新陳代謝も良く、もちろん冬でも発汗しています。

吸湿性の確かな天然素材が良いですね。特にオススメは価格や使い勝手などを考慮しても「綿」です。

アレルギー用の寝具として洗えるという点から、また安価という点からポリエステルを使った寝具が多く出回っていますが、保温性、吸湿・発散性ともに能力は低いです。その様な寝具には綿を使った洗えるキルトシーツやキルトケットを使って吸湿・発散性だけでも補ってあげて下さい。基本的に綿製品はご家庭でお洗濯可能です。

ただし、あまり聞きませんが綿に対するアレルギーも存在する様です。この場合は少し厄介ですが、睡眠の質を考えた場合、その子のアレルゲン物質では無い天然素材(綿以外で、ウール、シルク、麻など)を探すしかないのかなって気がしてます。

この綿アレルギーについては宿題にさせて下さい。すいませんが進展があり次第報告します。

それでは再度、睡眠衛生の基本をおさらいしましょう。

「朝の光を浴びる。」「規則的に食事をとる。」「昼間に明るい環境で運動する。」「夜は暗い環境で休む。(寝る前のメディア接触を避ける。)」「適切な寝具を使う。」という5つです。この5つを基本に、その家庭、その子供に合った解決策を探しましょう。

最後に、これら睡眠衛生の基本は大人にも当てはまります。ほぼ確実に良質な睡眠は大人にも良い効果をもたらします。

生物学的にヒトの生活リズムに大きな影響力を持つものが光ならば、社会学的に子供に大きな影響力を持つものは親だと思います。子供の健やかな成長の為に、良質な睡眠を手に入れる為の睡眠衛生の基本は、「親子で一緒に取り組むこと」が非常に大切です。


by sleepdesigner:圭


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