「現実と妄想の狭間」さんのブログ閉鎖と記事全削除により読めなくなるドボン作品の一部をしばらくこちらでご紹介させていただけることになりました。
こちらでの預かり公開は期間限定ですが、それを終える際には、新サイトさんへのご案内も出来ると思いますので、ご安心ください。
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噂の人魚フェア~人魚特集リンク始めました!~
<リク記録210>人外カミングアウトドボン「現実と妄想の狭間」さんの「うわさの人魚」全7話です。
*こちらは、企画内でのドボンですので、魔人のふところ(目次)のリストには企画名とリク記録番号しか入っていません。
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このお話は【噂の人魚 前編 / 後編 by魔人】の続きとなっております。
レッツ、ウッカリつるるんドボン!
「うわさの人魚」作者:朱烙様
【前半:第1話から第4話まではこちら】
~後半:第5話から第7話まで~
【第5話】
*****************
今回も回想ではなく、過去編3?です~ あぁ・・・ボチボチ現代(完結)に行きたい・・・
*****************
「あ、キョーコ」
「なぁに?蓮」
「奏江達の事なんだけど・・・鱗1枚ずつ剥がす?それとも髪の毛全部毟り取る?それとも枯れ果てるまで泣かせて、宝石沢山出してもらう?」
「モー子さん苛める蓮なんて・・・大嫌い」
「嘘だよ、キョーコ・・・ちょっと昨日キョーコを泣かせたことが許せなかっただけなんだよ、本当だよ?」
一晩ぐっすり寝て、スッキリしたキョーコは一生懸命考えてみた
蓮の事、奏江達の言葉、侍女達の言葉などなど・・・
元々半端無く出来が宜しい頭の構造を持つキョーコ、全ての情報を(それは必死に)客観的に構築し分析した結果・・・
「・・・蓮は私を対に望んでくれるくらい好きでいてくれて、対になるプロポーズ(結晶交換)を本当なら舞泳会の時にしないいけないのに、フライングでやっちゃって・・・お見合い会場の雰囲気をぶち壊しちゃった?」
ありえないようなありえるような・・・
寝台の上で、可愛らしい顔をコテンと傾けてうんうん考える姿は大層可愛らしく、侍女達の目を和ませたのだった
思考回路の渦からようやく回復したキョーコは、自分を優しく見つめる侍女達の存在にようやく気付き、朝の支度を整えた
明日が舞泳会だからなのか、キョーコの離宮もいつになくザワザワとしているのが判る
何時もよりも丹念にキョーコの髪の手入れをする侍女に、キョーコが尋ねた
「舞泳会の前に、結晶交換したら・・・やっぱりダメなの?」
「ダメだという事は御座いませんわ、ただ毎年舞泳会での公開処け・・・いえ、プロポーズと共に結晶交換を行うというのが、自然な流れと言う事になってしまっているだけですわ」
侍女A、まさかのウッカリ発言ミス、けれども何事も無かったかのように話を続けるのは流石です、何か忌まわしい記憶でもあるのだろうか?
「蓮王子は、姫様を誰かに盗られてしまうのがどうしても許せなかったのでございましょうね、姫様はもうご自分の対だと言う事を知らしめたくて暴走してしまったのですわ」
侍女B、自分の仕える主人?に対するナチュラル暴言、今日も毒舌が素敵です
「むぅ・・・私みたいな地味で色気も何にもない人魚なんて、蓮みたいな優しい人しか相手してくれないのに・・・」
「まぁ!姫様はどの人魚よりも美しく気高い姫ですわよ!?でなければここまで私達がお仕えする事は御座いませんわ」
「けど、私のお母様は禁忌を犯☆して泡となってしまったのでしょう?だから・・・私は忌子だって・・・」
「姫様が忌子である場合、泡球の時に冴菜様と一緒に消えておりますわ。姫様がこうやって御成長されたのが忌子などではない正当な王族の姫だという証ですわ」
「姫様、姫様がお母上様の事でご自分を卑下なさるのは仕方がないかもしれません、けれど・・・姫様は私達の言葉や蓮王子方のお言葉を信じる事は出来ませんか?」
一番年かさの侍女にそう言われて、キョーコが目を見張って顔を上げる
「信じてる!!貴方達も蓮達も私を大切にしてくれる、愛してくれている・・・それを疑った事なんてないわっ!!」
「存じております、ですが姫様・・・この世にはどうして相容れない存在と言うものが御座います。それはんな人魚にでもでございます」
この意味がお分かりになられますか?
その言葉に、キョーコは曖昧ながらも頷く
「姫様を襲った狼藉者、そしてそれを指示した愚か者共、更には蓮王子方に近付くために姫様に悪意を持つ者・・・自分の欲の為だけに他者を陥れる事に躊躇いも罪悪も感じない者が存在するも嫌な現実ではありますが事実で御座います」
侍女のかみ砕くようなその言葉に、キョーコの目がだんだんと深みを増していく
「私に非があろうとなかろうと、私に悪意を持つ存在が居ると・・・そしてそれは私だけでなく、蓮や貴方達にも同じようにアルと・・・」
「そうでございます。姫様は蓮王子がお認めになられた唯一絶対のお方、そしてその側近方が頭を垂れるに相応しいとお認めになられた唯一の姫様ですわ」
「姫様があるべきその場所を地位を、私利私欲の為だけに妬み奪おうとする狼藉者は存在します。蓮様方はそういった存在から姫様を護って・・・いえ、これからも護ろうとなさるでしょう」
「・・・・えぇ、私はずっとみんなに護られてきたわね。大切に大切に護って愛してもらって・・・だから、次は私がみんなを護る番よね?」
ローリィ―大公様やクーパパやジュリママ、それに貴方達からちゃんと教育されたから大丈夫よ
そう言って艶やかに微笑むキョーコに、侍女達がまた口を開こうとしたのだが・・・
「父さん達はキョーコにそんな事を教えていたの?ダメだよ・・・キョーコは俺が護るんだから」
そう言って、侍女達の間をすり抜けてキョーコを抱き締めたのは・・・既に正装を施した蓮だった
「蓮っ!?・・・・うわぁ!!!蓮綺麗っ!!素敵っ!!!」
「ありがとう、キョーコも綺麗になるよ?俺よりもね・・・キョーコの髪の手入れは終わった?」
「はい」
「じゃぁもう下がって良いよ・・・・・・・・うん、何だろうね?その全力で信用なりませんって顔は・・・心配しなくても、もうこれ以上の暴走はしないよ」
父さん達にも社達にも、これでもかってレベルで叱られたからね
そう言って苦虫を噛み潰したような蓮の顔に、侍女はまだ胡乱な視線をむけるものの、キョーコの微笑みに促されて静かに退出した
それを見送って、蓮は改めてキョーコの姿を満足そうに見つめる
「うん・・・凄く綺麗だよ。やっぱり俺の見立ては間違ってないだろう?」
「うん!とても素敵でドキドキしたわ!!本当にありがとう!!」
蓮が準備したキョーコの胸当ては、キョーコの体のラインをコレでもかと言う程引き立てる繊細な貝細工を中心に、蓮やキョーコを慈しむ全ての人魚達から譲り受けた宝石をふんだんにあしらった豪華なものだった
動くたびに体に合わせて泳ぐ宝飾がキョーコの体を彩る様は艶やかで優美
蓮はそれを満足そうに見つめて、最後の仕上げとばかりにキョーコに額飾りを差し出した
「じゃぁこれで仕上げだよ?俺の結晶を中心に置くようにみんなの宝石を全て組み込んでみたんだ・・・どう?気に入ってくれた?」
「っ素敵っ!!!凄く綺麗っ!!!蓮ありがとう!!!!」
喜びの余りに顔を上気させて満面の笑みを浮かべるキョーコに蓮が蕩けんばかりの笑顔で返し、キョーコの胸元にある自分の結晶を外してもらい受け取るとキョーコの額に自分の結晶を押し込んだ
吸い付くようにキョーコの額に蓮の黒金の結晶が半分埋まり込み、それと同時に髪の流れに従うように他の宝石達がキョーコの髪を彩り飾る
蓮の額にもキョーコの薄桃金に輝く結晶が同じように埋め込まれており・・・
舞泳会の前に、完全なる対となった2人は幸せそうに微笑んで会場へと向かうのだった・・・
「蓮王子、キョーコ姫御来場!!!」
既に賑わいを見せている会場に、そんな声が響き渡った
既に奏江達は会場入りを果たしており、蓮とキョーコに人魚達が群がらない様に動き回っていた
扉がゆっくりと開かれる中、蓮とキョーコが完全なる対へとなっている事実を知らない愚か者達が、ギラギラした瞳で扉を見つめるのを奏江達が鼻で笑う
誰もが長年存在をないモノとされたキョーコを軽視していた
雑誌にも掲載されない程、みすぼらしい人魚だと
忌親を持つ、哀れな忌子だと
だが・・・完全に開かれた扉から現れた蓮とキョーコのその姿に、その額を飾る結晶に、会場から息を呑む音が響き渡る
人魚界1の美貌を誇る蓮王子の横に並び立ち、霞むことなく咲き誇る人魚姫
2人の額を飾るのは、誰がどう見ても判る互いの結晶
更には蓮のそしてキョーコの身を飾る宝石は、どれも素晴らしい魔力を内包した2人の祝福だけを祈るもので
あの人魚姫だから、王族がそして側近達が掌中の球と慈しんで大事に大事に隠していたのだと
蓮王子が誰一人として見向きもしなかったのは、あの人魚姫がいたからなのだと・・・否応無しに理解させられたのだった
あまりの衝撃と怒りの余りに、限界まで飾り立てた人魚姫が少なからず卒倒し
キョーコの美しさにノックアウトと同時に、アプローチのチャンスもなく惨敗し打ちひしがれる人魚達
今までの舞泳会でも例を見ない程の混沌化した会場だった・・・と、後に大公であるローリィが語っている
そんな会場の雰囲気など丸無視して、蓮とキョーコそして側近達はウキウキと朗報を待つ国王夫妻の元へと泳いでいく
「ローリィ祖父様!!クーパパ!!ジュリママ!!」
「見違えたな!!流石キョーコだ!!!」
「キョーコ!!なんて可愛いんだ!!!我が息子は幸せ者だな!!!」
「きゃーーー!!キョーコなんて可愛いのっ!!!悔しいけど蓮の見立ては完璧だわ!!!」
蓮がキョーコの装飾を全て準備する代わりに、舞泳会当日に自分達とキョーコの交流は一切邪魔するな!と厳命されていた蓮が(判る人には判る超嫌そうな顔)苦笑しながらキョーコの後ろに下がる
それと同時に、この国のTOP3人から大絶賛と共に囲まれ愛でられるキョーコの姿に、周囲はもう唖然として言葉も出ない
ひとしきりキョーコを褒めちぎり、ようやく満足したのか国王であるクーが(今更ながらに)威厳のある顔つきと声で蓮を呼んだ
「で?我が息子であり時期国王である蓮王子・・・そなたは無事に対となる相手を見つけ、その許しを得たのか?」
「はい・・・ここにいる我が従妹であり私の唯一絶対の対となるキョーコです、既に対の誓いを交わし結晶交換も終えております」
「本来ならば、この舞泳会で結晶交換をするのが何時の間にからの暗黙の了解なのだけど・・・けれどキョーコ姫を見れば納得できるわ、我が息子に相応しい人魚姫だもの」
「結晶交換打診のチャンスなく残念だろうが、これだけ素晴らしい対が誕生したのだ!周囲もきっと祝福してくれるだろう!さぁ2人で側近達と共にお披露目をしてくるといい!」
最後のローリィのその言葉に、蓮とキョーコそして奏江達は満足そうに頷き、貴族達は苦虫を噛み潰したような顔になる
そんな全員を一瞥したローリィがキョーコへとそっと近づいてその耳に何事かを呟いた
「キョーコ、どんなことになろうと俺達が沈めてやる・・・お前は安心して俺達の教育の成果を披露すればいい」
「ありがとうローリィ祖父様」
「祖父様・・・キョーコに何を吹き込んでいるんですか?キョーコ無茶な事は言われていない?」
「ふふ・・・大丈夫よ、ね?さぁモー子さん達と合流してみんなで舞いましょう?私すごく楽しみにしていたのよ?」
王族としての気品を保ちながらも、期待に胸を膨らませながらそういうキョーコに蓮が破顔し、奏江達の元へと泳いでいくのだった・・・
【第6話】
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まさかの過去編4!?だとうっ!?Σ(゜Д゜ )朱烙吃驚!!←ツッコミ無用!
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「きゃーモー子さん達綺麗っ!!!」
「あんたもね・・・まぁ見事にここまで・・・」
「キョーコちゃんの魅力が存分に発揮されてるのは喜ばしいけど、この独占欲の象徴が・・・」
「喜んでいいのかなぁ?悔しがったほうがいいのかなぁ?」
周囲が蓮とキョーコのぶっちゃけ発言にフリーズする中、蓮とキョーコは何事も無かったかのように奏江達へと近付いていた
蓮とキョーコには劣るものの、十分に魅力を引き出す隙のない胸当てと額飾りを纏う奏江達は大層魅力的だった
親友達の艶姿をこれでもかと喜んで、歓喜観賞するキョーコを慈しむように満足そうに見る蓮、そして奏江達の通常操業の毒舌に顔を引き攣らせつつも何時もの事だと見守る社達
彼らを認め、理解のある大人達はその光景を優しく見守るが・・・そうでない集団は古今東西何処にでもいる訳で
ようやくフリーズから解放された、極上の獲物(蓮とその側近達)を奪う前に奪われたことを理解した面々が、表面上は穏やかにキョーコ達へと近付くのだった
「ご歓談中失礼させていただきますわ」
「お初にお目にかかります・・・忌ひ・・・いえ、キョーコ姫」
「舞泳会前に既に対契約を交わしてしまわれるとは・・・いやはや、昨今の姫とやらは慎みが少々御留守のようですなぁ」
キョーコに対する侮蔑や見下す視線を隠そうとせずに、近付く面々
その姿を視界にとらえるや否や、キョーコを除く全員がスッと目を細めキョーコを護るようにそっと囲い込む
その先頭に立った蓮の前に、豪華ではあるが決してその身に相応しいとは言い難い人魚達がわれ先にと群がり声を上げ始めた
「蓮王子!ご婚約成立とは本当でございますの?」
「舞泳会前に対を決めてしまわれるとは・・・いくらキョーコ姫に強請られたからと言ってもお優しすぎますわ」
「是非ともキョーコ姫に御挨拶をさせてくださいませ、キョーコ姫には私達の方から王族の義務とは何かをきちんとご説明させていただきますわ」
ねぇ、お父様
そう言って勝ち誇るように隣に立つ父親を見上げる人魚は・・・確か、貴族の1人だったはずで
誰も彼もがキョーコの我儘に蓮達が巻き込まれたと、決めつけているのだ
蓮達が幼い頃から何度訴えても無駄だった
彼らにとっては、そちらの方が『自分達に都合がいいから』
キョーコを傷付け、キョーコを自分達から引き剥がそうとした元凶達
蓮がキョーコを独占したくて画策できた一番の要因になった事は褒めてもいい
だが、キョーコを・・・自分達の至宝の宝である唯一の人魚姫を侮辱するのだけは許せない
常は穏やかな笑みを絶やさない蓮が次第に無表情に、奏江達もまた嫌悪と侮蔑も露わな顔をして群がる人魚達を見つめる
「・・・一体、誰が、どんな理由で・・・・」
キョーコをそこまで貶める権利があるのか?
蓮を筆頭に全員がそう口を開いていたその瞬間だった
ゴォォォォォォ!!!!!!
自分達が作ったサークルの中心(要するにキョーコ)から、どす黒い何かが大量に放出したかと思うと、周囲の人魚達へと次々に絡まった
「きゃぁぁぁぁぁぁ!?嫌っ!?何これぇぇぇぇっっっ!!!!?」
「のわぁぁぁぁっっ!!!?????」
「ぎゃーーーーーー!!!助けてくれぇぇぇぇっ!!!!!」
そう・・・ソレはどう見ても、漆黒の意思を持つ海草?のようなモノがトリモチがごとく人魚達を絡め取る姿で
あんまりな出来事に、蓮達が言葉を続けることも出来ずにポカンとしていたその時だった
「・・・クスクスクスクス、ねぇ?私に一体何を教えていただけるの?」
まるで鈴を転がすような可憐なキョーコの声・・・のはずなのだが、何故だかそこから感じる気配は今まで感じた事もない程の冷気とどす黒さを湛えていて
ギギギギギ・・・・錆びついた金属のような状態で、自分達の護るキョーコを見た蓮達は、今度こそ絶句した
何故なら、そこには極上の笑みを浮かべつつも目だけはガッツリシッカリと据わりきったキョーコが居たのだから
唖然とする蓮達の間を縫って、キョーコが一際甲高くキョーコを非難していた人魚姫親子へと近付く
そして・・・
「ね・・・?私に何を教えていただけるの?私を見下して、私の大切な親友達を利用しようとする方々・・・それほど優秀ならば、私のコレごとき簡単に振り払えますわよね・・・?」
負けない様に私もっと沢山沢山『魔力』を籠めますから、頑張ってくださいね?
口元だけがそう言ってそれはそれは嬉しそうに微笑みを形作る
その雰囲気に、その魔力に・・・そしてその表情に、雁字搦めになって動けない人魚達が、真っ青な顔をしてガタガタ震える
そんな彼らの頬へとキョーコは優しく手を伸ばして・・・更なる追い打ちをかける
「あぁ・・・ご心配なさらないで?私より優れた術者ならばいともたやすく振り払えますもの、少ぉ~~~~し時間がかかりすぎると、ジワジワと毒素が体へと回るだけですわ」
ふふ・・・この白くて綺麗なお肌がどんな色になるのか、とても楽しみですわよね?
「ヒィッ!!!」
恐怖の飽和状態を突破した人魚達が、次々と気絶する中、キョーコだけがクスクスと笑い続けている
その様子を唖然としたままみている蓮達
けれでも、何とか我を取り戻してキョーコを護れる位置を保ちながらもボソボソと話し始めた
「ま、前から本気で怒らせるととんだ恐怖を覚えた記憶はあるんだけど・・・」
「それにしたって、あの変わりようは・・・天使から一気に悪魔ですよ?」
「蓮っ!?お前キョーコちゃんにお前の腹黒芸仕込んだんじゃないだろうなっ!?」
「失礼ですねっ!!俺だってあそこまで酷い腹黒なんかキョーコの前で披露した事ありませんよっ!!」
「この馬鹿王子っ!あんたが一番毒吐いてるわよっ!!キョーコのあの状態は、まちがいなく大公様方の御教育の成果に決まってるでしょうっ!?」
さっき大公様がおっしゃったこともう忘れたのっ!?
奏江のその言葉に、全員がハッとしたようにローリィ達を見る
ローリィ達と言えば『ようやく気付いたのか』と言わんばかりの呆れた目を蓮達に向けつつ、キョーコへと近付いていた
「キョーコもういいぞ、いやぁ~俺達が教えた事を完璧に使いこなせているなっ!!」
「やっぱり私の娘は最高の人魚姫よ~~~!!!無邪気にして妖艶!無垢にして邪悪っ!!!国を統べるべきものこれくらいの事は出来ないといけないわっ!!」
「ダーリンに言われて最初は戸惑ったけど、キョーコちゃん見事よ~これで次代の王妃と魔女の座は安泰ねっ!!」
「キョーコがこれだけ成長を遂げたのだ、蓮も倖一達もこれに負けぬよう更に精進を重ねるだろう?」
国のトップであり、キョーコの理解者であり、師匠であり、保護者でもあるローリィ達から口々に褒められ、キョーコが一瞬にしていつものキョーコに戻る
周囲はキョーコのその変わりざまに愕然とし、蓮達はようやく『いつもの』キョーコが戻ってきたと安堵のため息を吐いた
ローリィ達に囲まれているキョーコをさりげなく自分の方へと引き寄せて、蓮がキョーコに問いかける
「キョーコ、さっきのが父さん達に習った事?」
「えぇ、ずっと護ってもらってばかりがどうしても嫌だったの・・・自分だけ何も出来ない役立たずなんだって思ってしまって・・・私も蓮達が護ってくれたように、蓮達を護りたかったの、それをパパ達に相談したら教えてくれたのよ?」
それに私だって、ずっとずっと悔しかったし・・・怒ってたんだもの!
むぅ!と口を尖らせて言うキョーコは可愛い事この上ないのだが、やった内容は恐怖一色
流石にどこをどう突っ込んで良いモノやら判らず固まる蓮達を見て、キョーコは自分のやったことが不安になり・・・
ダメだった?
そういって、コテンと首を傾げて不安そうに蓮を見上げたキョーコは・・・
そらぁもう、ド偉いレベルで破壊力満点の可憐さだった
そんなキョーコを見ながら、蓮達はふと思う
さっきのモードで自分達が怒られる事になったら・・・やめよう、夢に出る
さっきのモードで自分達が責められる事になったら・・・やめよう、トラウマレベルで凹める
さっきのモードで自分達が嫌われたら・・・やめよう、立ち直れなくなる
結論、キョーコだけは本気で怒らせることなかれ
「判りやすいな・・・」
「判りやすすぎるわ・・・」
「何て言うか・・・完全敗北宣言?」
「情けないと言うべきか、賢いと言うべきか・・・」
自分達の傍で国家最高権力者たちが言いたい放題だが、蓮達は本能に忠実だった
言いたければ言うがいい!だが、絶対にキョーコだけは本気で怒らせない様にする!
何時の間にか、会場全てにおいてキョーコを揶揄する者はいなくなっていた
キョーコが通常モードで見せた素直さ可憐さ賢さにノックアウト兼信奉者デビューを果たしたもの
キョーコがブラックモードで見せた邪悪さに、骨の髄まで恐怖を刻み込んだもの
自分達の心の平穏の為に、遠くから見守りつつ話のタネにしようと傍観を決め込む者
蓮達の牽制がなくとも、ローリィ達の圧力がなかろうとも・・・
キョーコは自分自身の力で、蓮の隣に立つ権利をもぎ取ったのであった・・・
****************
よ、ようやく・・・ようやく、過去編終わったZE・・・(吐血)
お、お気付きであるとは思いますが・・・
Q キョーコが噴射いた黒いモノは? → A 怨キョ です!
Q キョーコがくすくす笑っているときのイメージは? → A 堕天使キョーコです!
Q キョーコが獲物(あれ?)をいたぶっているときは? → A 美緒姫+ナッちゃんです!
【第7話】
*****************
ようやくラスト~ようやく現在に戻ってきたーーー!!ひゃっほぅ!
*****************
そう言えば、そんな事があったなぁ~
古参の侍女達の娘である、次期王妃付の侍女候補の人魚達と庭を散策しながらキョーコがふと婚約時の舞泳会を思い出していた
キョーコが現在、LME王国最高魔術師であるジュリー・ウッズ、ことテンより指導を受けた魔術を使ったのはあの時を含めて片手に足りる程度
王族という特殊な存在故に、その魔術を頻発する事になるだろうと踏んでいたのだが・・・
実際はキョーコが魔術を使うより早く、蓮達が全力投球で相手を凹っていた
チラリと未だ蓮達がフリーズしている場所を見つめ、キョーコはコテンと首を傾げる
私がやったほうが一番効率よくかつ早急に対処できるって、パパ達は言ってたのに・・・
何故だか、毎回全力で阻止されるのだ・・・蓮達だけではなく近衛や側近達にまで(何故だか侍女達は除外される)
『王妃様はそのままっ!!!えぇ是非そのままっ!!我らの癒しであって下さいませぇぇぇぇっっっ!!!!』
と、滂沱の涙付きでだ
流石にあの勢い(常ならば蓮が嫉妬の笑顔と共に自分の後ろに隠すのだが)ではキョーコは素直に頷くしか出来ない
「まだまだ修行が足りないのかなぁ・・・?」
ポツリと呟くキョーコの言葉に、微笑ましい笑みを浮かべる侍女達と冷や汗を垂らす護衛達
「まぁまぁ王妃様ったら、本当に勤勉で努力家でいらっしゃいます事」
「・・・・・あ、あれで修業不足っておっしゃるのか・・・・?」
まったくもって正反対の感想である
結局、舞泳会で醜態を晒した人魚達は衛兵によって強制退場させられ、何とか?場を持ち直した状態で無事に終わった
その時に対になったのは、蓮とキョーコを筆頭に側近達そして身の程を弁え、自分に見合った幸せを求めた(ある意味賢い)人魚達
ただ、その時の舞泳会の出来事は関係者及び経験者達が口をつぐんだために、未だに多くの謎が残されているとか
キョーコの恐怖の真髄に関してもそれは同様で、蓮達の血のにじむような努力の結果、キョーコは慈悲深く温和な優しい王妃として名高い
一通り庭を散策し、見習い侍女達と共に侍女達の待つ場所へと戻るキョーコ
キョーコが戻るや否や、自分達が座っていた場所を素早く片付け、キョーコが心地よく過ごすための場所を整える
お礼を言って座るキョーコの傍に控え、談笑をしながら未だフリーズする蓮達を見る
「それにしても・・・本日は随分と長い時間ですわね・・・」
「毎日どうしてあんなになるのかしらね?私そんなに変な事いったとは思えないんだけど・・・」
これに関してはパパ達も笑ってばかりで何も教えてくれないのよ
コテンと首を傾げてそう言うキョーコは、何とも言えず可愛らしくて
侍女達は微笑ましくキョーコを見つめて苦笑を漏らす
「王妃様がお分かりになられずとも何も問題がないと言う事でございますわ」
「さぁさぁ王妃様、そろそろ王達を起こしてきて下さいませ。これからの政務が滞ってしまっては、お困りになる方が大勢いらっしゃいますでしょう」
「そうね、じゃぁちょっと行ってくるわ」
貴方達は片付けを始めてていいわよ
そう言って蓮達の元へと泳いでいくキョーコを全員が優しく見つめる
今は若い国王達の束の間の休息
だからこそ、細心の注意を払って彼らのプライベートを死守する
ギリギリ声が聞こえない位置をキープしつつ、様子を見ていれば王妃が何事かを言うと同時に王達が見事なまでに復活を果たしてたちまち王妃は全員から囲まれる
年相応の屈託ない笑顔や怒鳴り声をあげながら楽しそうなこの国の柱達
彼らの結束力を・・・そして実力を知る彼らは思う
この国も安泰だと・・・
今日もLME王国は平和である
【完結】
*****************
終わったどーーーーー!!!!
そして、毎度のことながら終わらせたどーーーーー!!!
そんな訳で、朱烙的seiさんの話の裏側を書いてみました!!!
えぇ何時ものことながら苦情なんて聞こえません(とうとう聞こえなくしやがった!!)
相変わらず、計画性皆無の長編になりましたが・・・少しでも楽しんでいただけたかな?楽しんでいただけたら嬉しいです
って事で言い逃げシマース(笑)
*****************
そして、コッソリ・・・
キョーコが怨キョを発動するタイミングとは・・・?
「ねぇ、キョーコ」
「どうしたの?蓮」
何時もの如く、執務中であり謁見中であるほんの僅かな休憩時間
王と王妃だけが座る事の出来る椅子の上で、椅子と椅子の僅かな隙間すらも許しがたいと言わんばかりに、蓮がキョーコの方へと体を寄せる
キョーコの豊かな髪を愛おしげに梳く蓮の行動は、慈愛に満ち溢れており・・・
周囲の者達が、顔を赤らめながらもその光景を微笑ましく見つめている
軽いボディタッチをクスクスと笑いながら受け入れるキョーコに、蓮が優しく優しく・・・けれどもどこか艶を纏った妖艶な雰囲気でそっと囁いた
「もう!くすぐったいわ蓮」
「キョーコが可愛いのがいけないんだよ?ねぇ・・・そろそろ良いんじゃないかな?」
「?何が?」
「うん、今思ってたんだけど・・・」
「えぇ」
「俺達も今日から泡球作るの頑張ろうか?」
ブフゥッッッ!!!!!!!!!(国王夫妻の会話がダイレクトに聞こえた面々のリアクション)
「なっなっなっ//////」
「王っ!!!一体公衆の面前で何をおっしゃっているのですかっ!!!!(怒)」
王妃の右腕であり、宰相の妻(対)である奏江が顔を真っ赤にしてギャーギャーと抗議するが、蓮は真っ赤な顔をして固まるキョーコを愛おしそうに撫でながら平然と告げる
「変な事じゃないだろう?さっきの謁見中でもあったじゃないか、最近泡球の誕生が芳しくないって」
それは、あの舞泳会の影響で発狂した年頃人魚達が立ち直って対を探すのに時間がかかっただろうがよっ!!!
そんな宰相夫妻の心からの全力ツッコミにも気付かず(勿論意図的)
蓮が愛おしそうにキョーコを撫でながら告げる
「ね?だから頑張ろう?政務は数日くらい何とかなるし・・・」
我ながら良い案だ!と言わんばかりに満面の笑みの蓮に対し、キョーコは真っ赤な顔で口をパクパクさせていて
そして・・・
「・・・・の・・・・」
「ん?どうした?キョーコ?」
「・・・の・・・・蓮の・・・・・・・この破廉恥ぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!!時と場合を考えなさぁぁぁぁいっっっ!!!!」
「わっ!!ご、ごめんキョーコ!!!この通りだからっ!!!うわっ!!!うわあぁぁぁぁぁっ!?」
キョーコの盛大な怒鳴り声と共に、真っ黒い怨キョが盛大に吹き出し・・・見事に国王、蓮は絡み付かれ吹っ飛ばされた
余りの怨キョの勢いと量に、全員が顔をヒクつかせる中、キョーコは真っ赤な顔で涙目でフルフル震えており・・・
「蓮の破廉恥ぃぃっっ!!!!うわぁぁぁぁぁんっ!!!!!!」
それはそれは素晴らしい勢いで、大公宮へと泳いで行った
それをポカンと見送った面々だったが・・・
「あ~・・・・近衛はすぐ王を確保・・・奏江悪いけど・・・」
「・・・迎えにはいくけど、当面は真珠の貝(天岩戸の意)よ?」
「だろうなぁ・・・まぁ、王の自業自得って事で、あくれぐれも王妃様の前で思い出すなよ~あぁなるぞ?」
宰相である社の言葉と、その目線の先を追い・・・誰もがそっと目を逸らして自分の仕事を全うすべく記憶に蓋をするのだった・・・
****************
お読みいただきありがとうです~
えぇ、泡球作成=子作り ですからねぇ(黒い笑み)
こちらでの預かり公開は期間限定ですが、それを終える際には、新サイトさんへのご案内も出来ると思いますので、ご安心ください。
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噂の人魚フェア~人魚特集リンク始めました!~
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・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
このお話は【噂の人魚 前編 / 後編 by魔人】の続きとなっております。
レッツ、ウッカリつるるんドボン!
「うわさの人魚」作者:朱烙様
【前半:第1話から第4話まではこちら】
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【第5話】
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今回も回想ではなく、過去編3?です~ あぁ・・・ボチボチ現代(完結)に行きたい・・・
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「あ、キョーコ」
「なぁに?蓮」
「奏江達の事なんだけど・・・鱗1枚ずつ剥がす?それとも髪の毛全部毟り取る?それとも枯れ果てるまで泣かせて、宝石沢山出してもらう?」
「モー子さん苛める蓮なんて・・・大嫌い」
「嘘だよ、キョーコ・・・ちょっと昨日キョーコを泣かせたことが許せなかっただけなんだよ、本当だよ?」
一晩ぐっすり寝て、スッキリしたキョーコは一生懸命考えてみた
蓮の事、奏江達の言葉、侍女達の言葉などなど・・・
元々半端無く出来が宜しい頭の構造を持つキョーコ、全ての情報を(それは必死に)客観的に構築し分析した結果・・・
「・・・蓮は私を対に望んでくれるくらい好きでいてくれて、対になるプロポーズ(結晶交換)を本当なら舞泳会の時にしないいけないのに、フライングでやっちゃって・・・お見合い会場の雰囲気をぶち壊しちゃった?」
ありえないようなありえるような・・・
寝台の上で、可愛らしい顔をコテンと傾けてうんうん考える姿は大層可愛らしく、侍女達の目を和ませたのだった
思考回路の渦からようやく回復したキョーコは、自分を優しく見つめる侍女達の存在にようやく気付き、朝の支度を整えた
明日が舞泳会だからなのか、キョーコの離宮もいつになくザワザワとしているのが判る
何時もよりも丹念にキョーコの髪の手入れをする侍女に、キョーコが尋ねた
「舞泳会の前に、結晶交換したら・・・やっぱりダメなの?」
「ダメだという事は御座いませんわ、ただ毎年舞泳会での公開処け・・・いえ、プロポーズと共に結晶交換を行うというのが、自然な流れと言う事になってしまっているだけですわ」
侍女A、まさかのウッカリ発言ミス、けれども何事も無かったかのように話を続けるのは流石です、何か忌まわしい記憶でもあるのだろうか?
「蓮王子は、姫様を誰かに盗られてしまうのがどうしても許せなかったのでございましょうね、姫様はもうご自分の対だと言う事を知らしめたくて暴走してしまったのですわ」
侍女B、自分の仕える主人?に対するナチュラル暴言、今日も毒舌が素敵です
「むぅ・・・私みたいな地味で色気も何にもない人魚なんて、蓮みたいな優しい人しか相手してくれないのに・・・」
「まぁ!姫様はどの人魚よりも美しく気高い姫ですわよ!?でなければここまで私達がお仕えする事は御座いませんわ」
「けど、私のお母様は禁忌を犯☆して泡となってしまったのでしょう?だから・・・私は忌子だって・・・」
「姫様が忌子である場合、泡球の時に冴菜様と一緒に消えておりますわ。姫様がこうやって御成長されたのが忌子などではない正当な王族の姫だという証ですわ」
「姫様、姫様がお母上様の事でご自分を卑下なさるのは仕方がないかもしれません、けれど・・・姫様は私達の言葉や蓮王子方のお言葉を信じる事は出来ませんか?」
一番年かさの侍女にそう言われて、キョーコが目を見張って顔を上げる
「信じてる!!貴方達も蓮達も私を大切にしてくれる、愛してくれている・・・それを疑った事なんてないわっ!!」
「存じております、ですが姫様・・・この世にはどうして相容れない存在と言うものが御座います。それはんな人魚にでもでございます」
この意味がお分かりになられますか?
その言葉に、キョーコは曖昧ながらも頷く
「姫様を襲った狼藉者、そしてそれを指示した愚か者共、更には蓮王子方に近付くために姫様に悪意を持つ者・・・自分の欲の為だけに他者を陥れる事に躊躇いも罪悪も感じない者が存在するも嫌な現実ではありますが事実で御座います」
侍女のかみ砕くようなその言葉に、キョーコの目がだんだんと深みを増していく
「私に非があろうとなかろうと、私に悪意を持つ存在が居ると・・・そしてそれは私だけでなく、蓮や貴方達にも同じようにアルと・・・」
「そうでございます。姫様は蓮王子がお認めになられた唯一絶対のお方、そしてその側近方が頭を垂れるに相応しいとお認めになられた唯一の姫様ですわ」
「姫様があるべきその場所を地位を、私利私欲の為だけに妬み奪おうとする狼藉者は存在します。蓮様方はそういった存在から姫様を護って・・・いえ、これからも護ろうとなさるでしょう」
「・・・・えぇ、私はずっとみんなに護られてきたわね。大切に大切に護って愛してもらって・・・だから、次は私がみんなを護る番よね?」
ローリィ―大公様やクーパパやジュリママ、それに貴方達からちゃんと教育されたから大丈夫よ
そう言って艶やかに微笑むキョーコに、侍女達がまた口を開こうとしたのだが・・・
「父さん達はキョーコにそんな事を教えていたの?ダメだよ・・・キョーコは俺が護るんだから」
そう言って、侍女達の間をすり抜けてキョーコを抱き締めたのは・・・既に正装を施した蓮だった
「蓮っ!?・・・・うわぁ!!!蓮綺麗っ!!素敵っ!!!」
「ありがとう、キョーコも綺麗になるよ?俺よりもね・・・キョーコの髪の手入れは終わった?」
「はい」
「じゃぁもう下がって良いよ・・・・・・・・うん、何だろうね?その全力で信用なりませんって顔は・・・心配しなくても、もうこれ以上の暴走はしないよ」
父さん達にも社達にも、これでもかってレベルで叱られたからね
そう言って苦虫を噛み潰したような蓮の顔に、侍女はまだ胡乱な視線をむけるものの、キョーコの微笑みに促されて静かに退出した
それを見送って、蓮は改めてキョーコの姿を満足そうに見つめる
「うん・・・凄く綺麗だよ。やっぱり俺の見立ては間違ってないだろう?」
「うん!とても素敵でドキドキしたわ!!本当にありがとう!!」
蓮が準備したキョーコの胸当ては、キョーコの体のラインをコレでもかと言う程引き立てる繊細な貝細工を中心に、蓮やキョーコを慈しむ全ての人魚達から譲り受けた宝石をふんだんにあしらった豪華なものだった
動くたびに体に合わせて泳ぐ宝飾がキョーコの体を彩る様は艶やかで優美
蓮はそれを満足そうに見つめて、最後の仕上げとばかりにキョーコに額飾りを差し出した
「じゃぁこれで仕上げだよ?俺の結晶を中心に置くようにみんなの宝石を全て組み込んでみたんだ・・・どう?気に入ってくれた?」
「っ素敵っ!!!凄く綺麗っ!!!蓮ありがとう!!!!」
喜びの余りに顔を上気させて満面の笑みを浮かべるキョーコに蓮が蕩けんばかりの笑顔で返し、キョーコの胸元にある自分の結晶を外してもらい受け取るとキョーコの額に自分の結晶を押し込んだ
吸い付くようにキョーコの額に蓮の黒金の結晶が半分埋まり込み、それと同時に髪の流れに従うように他の宝石達がキョーコの髪を彩り飾る
蓮の額にもキョーコの薄桃金に輝く結晶が同じように埋め込まれており・・・
舞泳会の前に、完全なる対となった2人は幸せそうに微笑んで会場へと向かうのだった・・・
「蓮王子、キョーコ姫御来場!!!」
既に賑わいを見せている会場に、そんな声が響き渡った
既に奏江達は会場入りを果たしており、蓮とキョーコに人魚達が群がらない様に動き回っていた
扉がゆっくりと開かれる中、蓮とキョーコが完全なる対へとなっている事実を知らない愚か者達が、ギラギラした瞳で扉を見つめるのを奏江達が鼻で笑う
誰もが長年存在をないモノとされたキョーコを軽視していた
雑誌にも掲載されない程、みすぼらしい人魚だと
忌親を持つ、哀れな忌子だと
だが・・・完全に開かれた扉から現れた蓮とキョーコのその姿に、その額を飾る結晶に、会場から息を呑む音が響き渡る
人魚界1の美貌を誇る蓮王子の横に並び立ち、霞むことなく咲き誇る人魚姫
2人の額を飾るのは、誰がどう見ても判る互いの結晶
更には蓮のそしてキョーコの身を飾る宝石は、どれも素晴らしい魔力を内包した2人の祝福だけを祈るもので
あの人魚姫だから、王族がそして側近達が掌中の球と慈しんで大事に大事に隠していたのだと
蓮王子が誰一人として見向きもしなかったのは、あの人魚姫がいたからなのだと・・・否応無しに理解させられたのだった
あまりの衝撃と怒りの余りに、限界まで飾り立てた人魚姫が少なからず卒倒し
キョーコの美しさにノックアウトと同時に、アプローチのチャンスもなく惨敗し打ちひしがれる人魚達
今までの舞泳会でも例を見ない程の混沌化した会場だった・・・と、後に大公であるローリィが語っている
そんな会場の雰囲気など丸無視して、蓮とキョーコそして側近達はウキウキと朗報を待つ国王夫妻の元へと泳いでいく
「ローリィ祖父様!!クーパパ!!ジュリママ!!」
「見違えたな!!流石キョーコだ!!!」
「キョーコ!!なんて可愛いんだ!!!我が息子は幸せ者だな!!!」
「きゃーーー!!キョーコなんて可愛いのっ!!!悔しいけど蓮の見立ては完璧だわ!!!」
蓮がキョーコの装飾を全て準備する代わりに、舞泳会当日に自分達とキョーコの交流は一切邪魔するな!と厳命されていた蓮が(判る人には判る超嫌そうな顔)苦笑しながらキョーコの後ろに下がる
それと同時に、この国のTOP3人から大絶賛と共に囲まれ愛でられるキョーコの姿に、周囲はもう唖然として言葉も出ない
ひとしきりキョーコを褒めちぎり、ようやく満足したのか国王であるクーが(今更ながらに)威厳のある顔つきと声で蓮を呼んだ
「で?我が息子であり時期国王である蓮王子・・・そなたは無事に対となる相手を見つけ、その許しを得たのか?」
「はい・・・ここにいる我が従妹であり私の唯一絶対の対となるキョーコです、既に対の誓いを交わし結晶交換も終えております」
「本来ならば、この舞泳会で結晶交換をするのが何時の間にからの暗黙の了解なのだけど・・・けれどキョーコ姫を見れば納得できるわ、我が息子に相応しい人魚姫だもの」
「結晶交換打診のチャンスなく残念だろうが、これだけ素晴らしい対が誕生したのだ!周囲もきっと祝福してくれるだろう!さぁ2人で側近達と共にお披露目をしてくるといい!」
最後のローリィのその言葉に、蓮とキョーコそして奏江達は満足そうに頷き、貴族達は苦虫を噛み潰したような顔になる
そんな全員を一瞥したローリィがキョーコへとそっと近づいてその耳に何事かを呟いた
「キョーコ、どんなことになろうと俺達が沈めてやる・・・お前は安心して俺達の教育の成果を披露すればいい」
「ありがとうローリィ祖父様」
「祖父様・・・キョーコに何を吹き込んでいるんですか?キョーコ無茶な事は言われていない?」
「ふふ・・・大丈夫よ、ね?さぁモー子さん達と合流してみんなで舞いましょう?私すごく楽しみにしていたのよ?」
王族としての気品を保ちながらも、期待に胸を膨らませながらそういうキョーコに蓮が破顔し、奏江達の元へと泳いでいくのだった・・・
【第6話】
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まさかの過去編4!?だとうっ!?Σ(゜Д゜ )朱烙吃驚!!←ツッコミ無用!
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「きゃーモー子さん達綺麗っ!!!」
「あんたもね・・・まぁ見事にここまで・・・」
「キョーコちゃんの魅力が存分に発揮されてるのは喜ばしいけど、この独占欲の象徴が・・・」
「喜んでいいのかなぁ?悔しがったほうがいいのかなぁ?」
周囲が蓮とキョーコのぶっちゃけ発言にフリーズする中、蓮とキョーコは何事も無かったかのように奏江達へと近付いていた
蓮とキョーコには劣るものの、十分に魅力を引き出す隙のない胸当てと額飾りを纏う奏江達は大層魅力的だった
親友達の艶姿をこれでもかと喜んで、歓喜観賞するキョーコを慈しむように満足そうに見る蓮、そして奏江達の通常操業の毒舌に顔を引き攣らせつつも何時もの事だと見守る社達
彼らを認め、理解のある大人達はその光景を優しく見守るが・・・そうでない集団は古今東西何処にでもいる訳で
ようやくフリーズから解放された、極上の獲物(蓮とその側近達)を奪う前に奪われたことを理解した面々が、表面上は穏やかにキョーコ達へと近付くのだった
「ご歓談中失礼させていただきますわ」
「お初にお目にかかります・・・忌ひ・・・いえ、キョーコ姫」
「舞泳会前に既に対契約を交わしてしまわれるとは・・・いやはや、昨今の姫とやらは慎みが少々御留守のようですなぁ」
キョーコに対する侮蔑や見下す視線を隠そうとせずに、近付く面々
その姿を視界にとらえるや否や、キョーコを除く全員がスッと目を細めキョーコを護るようにそっと囲い込む
その先頭に立った蓮の前に、豪華ではあるが決してその身に相応しいとは言い難い人魚達がわれ先にと群がり声を上げ始めた
「蓮王子!ご婚約成立とは本当でございますの?」
「舞泳会前に対を決めてしまわれるとは・・・いくらキョーコ姫に強請られたからと言ってもお優しすぎますわ」
「是非ともキョーコ姫に御挨拶をさせてくださいませ、キョーコ姫には私達の方から王族の義務とは何かをきちんとご説明させていただきますわ」
ねぇ、お父様
そう言って勝ち誇るように隣に立つ父親を見上げる人魚は・・・確か、貴族の1人だったはずで
誰も彼もがキョーコの我儘に蓮達が巻き込まれたと、決めつけているのだ
蓮達が幼い頃から何度訴えても無駄だった
彼らにとっては、そちらの方が『自分達に都合がいいから』
キョーコを傷付け、キョーコを自分達から引き剥がそうとした元凶達
蓮がキョーコを独占したくて画策できた一番の要因になった事は褒めてもいい
だが、キョーコを・・・自分達の至宝の宝である唯一の人魚姫を侮辱するのだけは許せない
常は穏やかな笑みを絶やさない蓮が次第に無表情に、奏江達もまた嫌悪と侮蔑も露わな顔をして群がる人魚達を見つめる
「・・・一体、誰が、どんな理由で・・・・」
キョーコをそこまで貶める権利があるのか?
蓮を筆頭に全員がそう口を開いていたその瞬間だった
ゴォォォォォォ!!!!!!
自分達が作ったサークルの中心(要するにキョーコ)から、どす黒い何かが大量に放出したかと思うと、周囲の人魚達へと次々に絡まった
「きゃぁぁぁぁぁぁ!?嫌っ!?何これぇぇぇぇっっっ!!!!?」
「のわぁぁぁぁっっ!!!?????」
「ぎゃーーーーーー!!!助けてくれぇぇぇぇっ!!!!!」
そう・・・ソレはどう見ても、漆黒の意思を持つ海草?のようなモノがトリモチがごとく人魚達を絡め取る姿で
あんまりな出来事に、蓮達が言葉を続けることも出来ずにポカンとしていたその時だった
「・・・クスクスクスクス、ねぇ?私に一体何を教えていただけるの?」
まるで鈴を転がすような可憐なキョーコの声・・・のはずなのだが、何故だかそこから感じる気配は今まで感じた事もない程の冷気とどす黒さを湛えていて
ギギギギギ・・・・錆びついた金属のような状態で、自分達の護るキョーコを見た蓮達は、今度こそ絶句した
何故なら、そこには極上の笑みを浮かべつつも目だけはガッツリシッカリと据わりきったキョーコが居たのだから
唖然とする蓮達の間を縫って、キョーコが一際甲高くキョーコを非難していた人魚姫親子へと近付く
そして・・・
「ね・・・?私に何を教えていただけるの?私を見下して、私の大切な親友達を利用しようとする方々・・・それほど優秀ならば、私のコレごとき簡単に振り払えますわよね・・・?」
負けない様に私もっと沢山沢山『魔力』を籠めますから、頑張ってくださいね?
口元だけがそう言ってそれはそれは嬉しそうに微笑みを形作る
その雰囲気に、その魔力に・・・そしてその表情に、雁字搦めになって動けない人魚達が、真っ青な顔をしてガタガタ震える
そんな彼らの頬へとキョーコは優しく手を伸ばして・・・更なる追い打ちをかける
「あぁ・・・ご心配なさらないで?私より優れた術者ならばいともたやすく振り払えますもの、少ぉ~~~~し時間がかかりすぎると、ジワジワと毒素が体へと回るだけですわ」
ふふ・・・この白くて綺麗なお肌がどんな色になるのか、とても楽しみですわよね?
「ヒィッ!!!」
恐怖の飽和状態を突破した人魚達が、次々と気絶する中、キョーコだけがクスクスと笑い続けている
その様子を唖然としたままみている蓮達
けれでも、何とか我を取り戻してキョーコを護れる位置を保ちながらもボソボソと話し始めた
「ま、前から本気で怒らせるととんだ恐怖を覚えた記憶はあるんだけど・・・」
「それにしたって、あの変わりようは・・・天使から一気に悪魔ですよ?」
「蓮っ!?お前キョーコちゃんにお前の腹黒芸仕込んだんじゃないだろうなっ!?」
「失礼ですねっ!!俺だってあそこまで酷い腹黒なんかキョーコの前で披露した事ありませんよっ!!」
「この馬鹿王子っ!あんたが一番毒吐いてるわよっ!!キョーコのあの状態は、まちがいなく大公様方の御教育の成果に決まってるでしょうっ!?」
さっき大公様がおっしゃったこともう忘れたのっ!?
奏江のその言葉に、全員がハッとしたようにローリィ達を見る
ローリィ達と言えば『ようやく気付いたのか』と言わんばかりの呆れた目を蓮達に向けつつ、キョーコへと近付いていた
「キョーコもういいぞ、いやぁ~俺達が教えた事を完璧に使いこなせているなっ!!」
「やっぱり私の娘は最高の人魚姫よ~~~!!!無邪気にして妖艶!無垢にして邪悪っ!!!国を統べるべきものこれくらいの事は出来ないといけないわっ!!」
「ダーリンに言われて最初は戸惑ったけど、キョーコちゃん見事よ~これで次代の王妃と魔女の座は安泰ねっ!!」
「キョーコがこれだけ成長を遂げたのだ、蓮も倖一達もこれに負けぬよう更に精進を重ねるだろう?」
国のトップであり、キョーコの理解者であり、師匠であり、保護者でもあるローリィ達から口々に褒められ、キョーコが一瞬にしていつものキョーコに戻る
周囲はキョーコのその変わりざまに愕然とし、蓮達はようやく『いつもの』キョーコが戻ってきたと安堵のため息を吐いた
ローリィ達に囲まれているキョーコをさりげなく自分の方へと引き寄せて、蓮がキョーコに問いかける
「キョーコ、さっきのが父さん達に習った事?」
「えぇ、ずっと護ってもらってばかりがどうしても嫌だったの・・・自分だけ何も出来ない役立たずなんだって思ってしまって・・・私も蓮達が護ってくれたように、蓮達を護りたかったの、それをパパ達に相談したら教えてくれたのよ?」
それに私だって、ずっとずっと悔しかったし・・・怒ってたんだもの!
むぅ!と口を尖らせて言うキョーコは可愛い事この上ないのだが、やった内容は恐怖一色
流石にどこをどう突っ込んで良いモノやら判らず固まる蓮達を見て、キョーコは自分のやったことが不安になり・・・
ダメだった?
そういって、コテンと首を傾げて不安そうに蓮を見上げたキョーコは・・・
そらぁもう、ド偉いレベルで破壊力満点の可憐さだった
そんなキョーコを見ながら、蓮達はふと思う
さっきのモードで自分達が怒られる事になったら・・・やめよう、夢に出る
さっきのモードで自分達が責められる事になったら・・・やめよう、トラウマレベルで凹める
さっきのモードで自分達が嫌われたら・・・やめよう、立ち直れなくなる
結論、キョーコだけは本気で怒らせることなかれ
「判りやすいな・・・」
「判りやすすぎるわ・・・」
「何て言うか・・・完全敗北宣言?」
「情けないと言うべきか、賢いと言うべきか・・・」
自分達の傍で国家最高権力者たちが言いたい放題だが、蓮達は本能に忠実だった
言いたければ言うがいい!だが、絶対にキョーコだけは本気で怒らせない様にする!
何時の間にか、会場全てにおいてキョーコを揶揄する者はいなくなっていた
キョーコが通常モードで見せた素直さ可憐さ賢さにノックアウト兼信奉者デビューを果たしたもの
キョーコがブラックモードで見せた邪悪さに、骨の髄まで恐怖を刻み込んだもの
自分達の心の平穏の為に、遠くから見守りつつ話のタネにしようと傍観を決め込む者
蓮達の牽制がなくとも、ローリィ達の圧力がなかろうとも・・・
キョーコは自分自身の力で、蓮の隣に立つ権利をもぎ取ったのであった・・・
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よ、ようやく・・・ようやく、過去編終わったZE・・・(吐血)
お、お気付きであるとは思いますが・・・
Q キョーコが噴射いた黒いモノは? → A 怨キョ です!
Q キョーコがくすくす笑っているときのイメージは? → A 堕天使キョーコです!
Q キョーコが獲物(あれ?)をいたぶっているときは? → A 美緒姫+ナッちゃんです!
【第7話】
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ようやくラスト~ようやく現在に戻ってきたーーー!!ひゃっほぅ!
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そう言えば、そんな事があったなぁ~
古参の侍女達の娘である、次期王妃付の侍女候補の人魚達と庭を散策しながらキョーコがふと婚約時の舞泳会を思い出していた
キョーコが現在、LME王国最高魔術師であるジュリー・ウッズ、ことテンより指導を受けた魔術を使ったのはあの時を含めて片手に足りる程度
王族という特殊な存在故に、その魔術を頻発する事になるだろうと踏んでいたのだが・・・
実際はキョーコが魔術を使うより早く、蓮達が全力投球で相手を凹っていた
チラリと未だ蓮達がフリーズしている場所を見つめ、キョーコはコテンと首を傾げる
私がやったほうが一番効率よくかつ早急に対処できるって、パパ達は言ってたのに・・・
何故だか、毎回全力で阻止されるのだ・・・蓮達だけではなく近衛や側近達にまで(何故だか侍女達は除外される)
『王妃様はそのままっ!!!えぇ是非そのままっ!!我らの癒しであって下さいませぇぇぇぇっっっ!!!!』
と、滂沱の涙付きでだ
流石にあの勢い(常ならば蓮が嫉妬の笑顔と共に自分の後ろに隠すのだが)ではキョーコは素直に頷くしか出来ない
「まだまだ修行が足りないのかなぁ・・・?」
ポツリと呟くキョーコの言葉に、微笑ましい笑みを浮かべる侍女達と冷や汗を垂らす護衛達
「まぁまぁ王妃様ったら、本当に勤勉で努力家でいらっしゃいます事」
「・・・・・あ、あれで修業不足っておっしゃるのか・・・・?」
まったくもって正反対の感想である
結局、舞泳会で醜態を晒した人魚達は衛兵によって強制退場させられ、何とか?場を持ち直した状態で無事に終わった
その時に対になったのは、蓮とキョーコを筆頭に側近達そして身の程を弁え、自分に見合った幸せを求めた(ある意味賢い)人魚達
ただ、その時の舞泳会の出来事は関係者及び経験者達が口をつぐんだために、未だに多くの謎が残されているとか
キョーコの恐怖の真髄に関してもそれは同様で、蓮達の血のにじむような努力の結果、キョーコは慈悲深く温和な優しい王妃として名高い
一通り庭を散策し、見習い侍女達と共に侍女達の待つ場所へと戻るキョーコ
キョーコが戻るや否や、自分達が座っていた場所を素早く片付け、キョーコが心地よく過ごすための場所を整える
お礼を言って座るキョーコの傍に控え、談笑をしながら未だフリーズする蓮達を見る
「それにしても・・・本日は随分と長い時間ですわね・・・」
「毎日どうしてあんなになるのかしらね?私そんなに変な事いったとは思えないんだけど・・・」
これに関してはパパ達も笑ってばかりで何も教えてくれないのよ
コテンと首を傾げてそう言うキョーコは、何とも言えず可愛らしくて
侍女達は微笑ましくキョーコを見つめて苦笑を漏らす
「王妃様がお分かりになられずとも何も問題がないと言う事でございますわ」
「さぁさぁ王妃様、そろそろ王達を起こしてきて下さいませ。これからの政務が滞ってしまっては、お困りになる方が大勢いらっしゃいますでしょう」
「そうね、じゃぁちょっと行ってくるわ」
貴方達は片付けを始めてていいわよ
そう言って蓮達の元へと泳いでいくキョーコを全員が優しく見つめる
今は若い国王達の束の間の休息
だからこそ、細心の注意を払って彼らのプライベートを死守する
ギリギリ声が聞こえない位置をキープしつつ、様子を見ていれば王妃が何事かを言うと同時に王達が見事なまでに復活を果たしてたちまち王妃は全員から囲まれる
年相応の屈託ない笑顔や怒鳴り声をあげながら楽しそうなこの国の柱達
彼らの結束力を・・・そして実力を知る彼らは思う
この国も安泰だと・・・
今日もLME王国は平和である
【完結】
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終わったどーーーーー!!!!
そして、毎度のことながら終わらせたどーーーーー!!!
そんな訳で、朱烙的seiさんの話の裏側を書いてみました!!!
えぇ何時ものことながら苦情なんて聞こえません(とうとう聞こえなくしやがった!!)
相変わらず、計画性皆無の長編になりましたが・・・少しでも楽しんでいただけたかな?楽しんでいただけたら嬉しいです
って事で言い逃げシマース(笑)
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そして、コッソリ・・・
キョーコが怨キョを発動するタイミングとは・・・?
「ねぇ、キョーコ」
「どうしたの?蓮」
何時もの如く、執務中であり謁見中であるほんの僅かな休憩時間
王と王妃だけが座る事の出来る椅子の上で、椅子と椅子の僅かな隙間すらも許しがたいと言わんばかりに、蓮がキョーコの方へと体を寄せる
キョーコの豊かな髪を愛おしげに梳く蓮の行動は、慈愛に満ち溢れており・・・
周囲の者達が、顔を赤らめながらもその光景を微笑ましく見つめている
軽いボディタッチをクスクスと笑いながら受け入れるキョーコに、蓮が優しく優しく・・・けれどもどこか艶を纏った妖艶な雰囲気でそっと囁いた
「もう!くすぐったいわ蓮」
「キョーコが可愛いのがいけないんだよ?ねぇ・・・そろそろ良いんじゃないかな?」
「?何が?」
「うん、今思ってたんだけど・・・」
「えぇ」
「俺達も今日から泡球作るの頑張ろうか?」
ブフゥッッッ!!!!!!!!!(国王夫妻の会話がダイレクトに聞こえた面々のリアクション)
「なっなっなっ//////」
「王っ!!!一体公衆の面前で何をおっしゃっているのですかっ!!!!(怒)」
王妃の右腕であり、宰相の妻(対)である奏江が顔を真っ赤にしてギャーギャーと抗議するが、蓮は真っ赤な顔をして固まるキョーコを愛おしそうに撫でながら平然と告げる
「変な事じゃないだろう?さっきの謁見中でもあったじゃないか、最近泡球の誕生が芳しくないって」
それは、あの舞泳会の影響で発狂した年頃人魚達が立ち直って対を探すのに時間がかかっただろうがよっ!!!
そんな宰相夫妻の心からの全力ツッコミにも気付かず(勿論意図的)
蓮が愛おしそうにキョーコを撫でながら告げる
「ね?だから頑張ろう?政務は数日くらい何とかなるし・・・」
我ながら良い案だ!と言わんばかりに満面の笑みの蓮に対し、キョーコは真っ赤な顔で口をパクパクさせていて
そして・・・
「・・・・の・・・・」
「ん?どうした?キョーコ?」
「・・・の・・・・蓮の・・・・・・・この破廉恥ぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!!時と場合を考えなさぁぁぁぁいっっっ!!!!」
「わっ!!ご、ごめんキョーコ!!!この通りだからっ!!!うわっ!!!うわあぁぁぁぁぁっ!?」
キョーコの盛大な怒鳴り声と共に、真っ黒い怨キョが盛大に吹き出し・・・見事に国王、蓮は絡み付かれ吹っ飛ばされた
余りの怨キョの勢いと量に、全員が顔をヒクつかせる中、キョーコは真っ赤な顔で涙目でフルフル震えており・・・
「蓮の破廉恥ぃぃっっ!!!!うわぁぁぁぁぁんっ!!!!!!」
それはそれは素晴らしい勢いで、大公宮へと泳いで行った
それをポカンと見送った面々だったが・・・
「あ~・・・・近衛はすぐ王を確保・・・奏江悪いけど・・・」
「・・・迎えにはいくけど、当面は真珠の貝(天岩戸の意)よ?」
「だろうなぁ・・・まぁ、王の自業自得って事で、あくれぐれも王妃様の前で思い出すなよ~あぁなるぞ?」
宰相である社の言葉と、その目線の先を追い・・・誰もがそっと目を逸らして自分の仕事を全うすべく記憶に蓋をするのだった・・・
****************
お読みいただきありがとうです~
えぇ、泡球作成=子作り ですからねぇ(黒い笑み)