拍手からの移動のパラレルファンタジーです。
あの森を目指して 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15 / 16 / 17 / 18(アメンバー限定)or18(アメンバー限定を読めない方はこちら) / 19 / 20 / 21 / 22 / 23 / 24 / 25 / 26 / 27 / 28 / 29 / 30 / 31 / 32 / 33 / 34 / 35 / 36 / 37 / 38 / 39 / 40 / 41 / 42 / 43 / 44 / 45 / 46 / 47 / 48 / 49 / 50 / 51 / 52
拍手御礼「あの森を目指して 53」
コウラこと本名村雨が “そこ曲がったトコ” に到着したとき、“松の凄玉” は正義の制裁活動に大忙しだった。
*凄玉:凄腕、敏腕、切れ者の能力者のこと。
先程キョーコが喜色満面で手を振っていた相手、“モー子さん” こと奏江・琴南は、キョーコのたった1人の親友である。
旅劇団の生まれの奏江・琴南は、2年程前に巡業先で同じく商売の旅に出ている最中のキョーコと出会い、その後も偶然の出会いを重ね交流を深めたことで、彼女達は親友になった。
中央大陸の大きな街で起こることが多いその偶然の出会いは、キョーコの読みと勘によりその回数を増やした感もありはしたが、それでも、待ち合わせの日時も場所も決めないその邂逅は決して簡単なものではない。
何度も重ねた「親友との運命の再会」は、彼女達の絆を深める絶好のシチュエーションとなった。
旅劇団の選ぶ巡業先の条件には、言葉の通じる中央大陸であること、観客数が十分確保出来る大きな街であること、庶民が見物料を払えるレベルの生活をしていること等があるのだが、客や団員の女子供が自由に出歩けるだけの治安を維持している街であることも重要な条件としてそこに含まれていた。
そう言う意味で、今回の少々治安に問題のある街での再会は、キョーコにとっては予想外のことである。
彼女達が過去に再会した、それほど治安が悪くはない街ではあっても、夜間になれば酔客に見目麗しい奏江・琴南が絡まれたりすることは多々あったが、危険な場所に連れ込まれたり攫われたりはこれまでなかった。
しかし、この街は自分の身は十分守れるキョーコが、連れの為とはいえ態々護衛を雇うレベルの治安状況である。
大通りを歩いている最中に大きな声で呼びかけられ、ビックリして立ち止まっていた奏江・琴南は、連れの姉妹と共に暴漢の手によりあっと言う間にその姿を大通りから消すことになった。
脇道から伸びてきた複数の手により口を塞がれ、叫ぶことも出来ないままに身体を脇道に引っ張り込まれたのだ。
それを目撃したキョーコは、親友を救うべく、その場所まで駆け付けた。
「モー子さん!!」
馬車を飛び降りてから、あっと言う間に “そこ曲がったトコ” まで辿り着いたキョーコの前で、親友とその連れは自分達を拘束し連れ去ろうとする男達の手から逃れようと必死に抵抗していた。
「その手を離しなさい!!」
「あれぇ、また上玉の別嬪さんが1人飛び込んできたぞ。今日は凄ぇな」
目の前に突然人が飛び込んで来たことには驚いた男達だったが、例え剣を帯びていようが相手は若くて奇麗な女、たった1人である。
多勢に無勢。
男達の人数が多かったこともあり、彼等はそれほど警戒せずにキョーコを迎えた。
冷たい瞳に薄く浮かべた微笑。一見冷静に見えるキョーコのその姿は見目麗しいだけで、凶暴性は感じられない。
彼女の内側は、それはそれは恐ろしい怒りの炎を上げていたのだが、残念ながらそれを感じ取れるだけの感性がこの男達にはなかった。
だから、そんな女の命令には従う気もなく、飛び込んできたこの獲物もまた手に入れ得ようと、下品な笑いを浮かべてキョーコを取り囲んだ。
しかし、腰に帯びたものを抜いてもいないとは言え、相手は女剣士だ。
流石に劇団員の女二人を相手にしたときの様に、素手で掴み掛かってくることはしない。
数人でキョーコを取り囲み、大きな剣をこれ見よがしに振り回しながら、徐々に距離を詰めていく。
しかし、脅しをかけるようなその男達の行動には動じる気配なく、キョーコは要求を繰り返した。
「聞こえなかった?彼女達から手を離しなさい!」
「うるせぇなぁ。アンタも高く売れそうだし、出来れば怪我をさせたくねぇんだ。大人しくしてたら、傷はつけないでいてやるから、その腰の剣をよこしな?」
「言葉が通じないの?それとも頭が悪いだけ?最後だから、よーく聞きなさいよ?彼女達から手を離しなさい!」
「なんだと、このアマ!!俺たちが優しくしてやったら、つけあがりやがって!!」
「あら?私も救いようのない馬鹿相手なのに、とっても優しくしてあげてたわよ?それももうやめるけど」
俺たち悪人!と顔に書いてあるが如く、人相の悪い男達はその言葉に激高した。
「怪我してもいいや。売れなくても俺たちが可愛がってやれば問題ないからな!遠慮なくやっちまえ!」
「あら有難う。私も遠慮なく可愛がってあげることにするわね?」
同時に剣を振り上げて襲いかかってきた男達を余所目に、キョーコは遠巻きに見ている住民に向かって声を張り上げた。
「あくまでも、正当防衛ですのでーー!」
暢気過ぎだよ、娘さん!!という住民の心の中でのツッコミにも、「危ない娘さん!逃げてーー!!」という声に出しての叫びにもキョーコは笑顔で応じ、同時に襲いかかる男達の剣にも応じていた。
第54話に続く。
キョコさん大忙しぃ!キョコさんの正義の制裁スタートです!
*拍手はこちら *゚▽゚)ノ シュッ≡≡≡≡≡[愛]*
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「あの森を目指して」では、まずダーーッと勢いで書いたものを拍手御礼として出し、一晩おいて頭を冷やしたあと(?)、加筆と修正をした上でアメバ記事で公開し直しています。加筆時に設定が変更になることも多々あります。拍手のみを読んでくださっている方は内容が繋がらない場合があるかもです。もしお時間が許す様でしたら、外に移動後もまた読んでいただけると嬉しいです。m(_ _ )m ←またというところが欲張りですみません。
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コウラこと本名村雨が “そこ曲がったトコ” に到着したとき、“松の凄玉” は正義の制裁活動に大忙しだった。
*凄玉:凄腕、敏腕、切れ者の能力者のこと。
先程キョーコが喜色満面で手を振っていた相手、“モー子さん” こと奏江・琴南は、キョーコのたった1人の親友である。
旅劇団の生まれの奏江・琴南は、2年程前に巡業先で同じく商売の旅に出ている最中のキョーコと出会い、その後も偶然の出会いを重ね交流を深めたことで、彼女達は親友になった。
中央大陸の大きな街で起こることが多いその偶然の出会いは、キョーコの読みと勘によりその回数を増やした感もありはしたが、それでも、待ち合わせの日時も場所も決めないその邂逅は決して簡単なものではない。
何度も重ねた「親友との運命の再会」は、彼女達の絆を深める絶好のシチュエーションとなった。
旅劇団の選ぶ巡業先の条件には、言葉の通じる中央大陸であること、観客数が十分確保出来る大きな街であること、庶民が見物料を払えるレベルの生活をしていること等があるのだが、客や団員の女子供が自由に出歩けるだけの治安を維持している街であることも重要な条件としてそこに含まれていた。
そう言う意味で、今回の少々治安に問題のある街での再会は、キョーコにとっては予想外のことである。
彼女達が過去に再会した、それほど治安が悪くはない街ではあっても、夜間になれば酔客に見目麗しい奏江・琴南が絡まれたりすることは多々あったが、危険な場所に連れ込まれたり攫われたりはこれまでなかった。
しかし、この街は自分の身は十分守れるキョーコが、連れの為とはいえ態々護衛を雇うレベルの治安状況である。
大通りを歩いている最中に大きな声で呼びかけられ、ビックリして立ち止まっていた奏江・琴南は、連れの姉妹と共に暴漢の手によりあっと言う間にその姿を大通りから消すことになった。
脇道から伸びてきた複数の手により口を塞がれ、叫ぶことも出来ないままに身体を脇道に引っ張り込まれたのだ。
それを目撃したキョーコは、親友を救うべく、その場所まで駆け付けた。
「モー子さん!!」
馬車を飛び降りてから、あっと言う間に “そこ曲がったトコ” まで辿り着いたキョーコの前で、親友とその連れは自分達を拘束し連れ去ろうとする男達の手から逃れようと必死に抵抗していた。
「その手を離しなさい!!」
「あれぇ、また上玉の別嬪さんが1人飛び込んできたぞ。今日は凄ぇな」
目の前に突然人が飛び込んで来たことには驚いた男達だったが、例え剣を帯びていようが相手は若くて奇麗な女、たった1人である。
多勢に無勢。
男達の人数が多かったこともあり、彼等はそれほど警戒せずにキョーコを迎えた。
冷たい瞳に薄く浮かべた微笑。一見冷静に見えるキョーコのその姿は見目麗しいだけで、凶暴性は感じられない。
彼女の内側は、それはそれは恐ろしい怒りの炎を上げていたのだが、残念ながらそれを感じ取れるだけの感性がこの男達にはなかった。
だから、そんな女の命令には従う気もなく、飛び込んできたこの獲物もまた手に入れ得ようと、下品な笑いを浮かべてキョーコを取り囲んだ。
しかし、腰に帯びたものを抜いてもいないとは言え、相手は女剣士だ。
流石に劇団員の女二人を相手にしたときの様に、素手で掴み掛かってくることはしない。
数人でキョーコを取り囲み、大きな剣をこれ見よがしに振り回しながら、徐々に距離を詰めていく。
しかし、脅しをかけるようなその男達の行動には動じる気配なく、キョーコは要求を繰り返した。
「聞こえなかった?彼女達から手を離しなさい!」
「うるせぇなぁ。アンタも高く売れそうだし、出来れば怪我をさせたくねぇんだ。大人しくしてたら、傷はつけないでいてやるから、その腰の剣をよこしな?」
「言葉が通じないの?それとも頭が悪いだけ?最後だから、よーく聞きなさいよ?彼女達から手を離しなさい!」
「なんだと、このアマ!!俺たちが優しくしてやったら、つけあがりやがって!!」
「あら?私も救いようのない馬鹿相手なのに、とっても優しくしてあげてたわよ?それももうやめるけど」
俺たち悪人!と顔に書いてあるが如く、人相の悪い男達はその言葉に激高した。
「怪我してもいいや。売れなくても俺たちが可愛がってやれば問題ないからな!遠慮なくやっちまえ!」
「あら有難う。私も遠慮なく可愛がってあげることにするわね?」
同時に剣を振り上げて襲いかかってきた男達を余所目に、キョーコは遠巻きに見ている住民に向かって声を張り上げた。
「あくまでも、正当防衛ですのでーー!」
暢気過ぎだよ、娘さん!!という住民の心の中でのツッコミにも、「危ない娘さん!逃げてーー!!」という声に出しての叫びにもキョーコは笑顔で応じ、同時に襲いかかる男達の剣にも応じていた。
第54話に続く。
キョコさん大忙しぃ!キョコさんの正義の制裁スタートです!
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「あの森を目指して」では、まずダーーッと勢いで書いたものを拍手御礼として出し、一晩おいて頭を冷やしたあと(?)、加筆と修正をした上でアメバ記事で公開し直しています。加筆時に設定が変更になることも多々あります。拍手のみを読んでくださっている方は内容が繋がらない場合があるかもです。もしお時間が許す様でしたら、外に移動後もまた読んでいただけると嬉しいです。m(_ _ )m ←またというところが欲張りですみません。