黄泉がえるほど真相に近づく。PSV「レイジングループ」 | 忍之閻魔帳

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レイジングループ iOS


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▼黄泉がえるほど真相に近づく。PSV「レイジングループ」

レイジングループ PlayStation Vita iOS
©2015-2017 KEMCO dwango

先日、ケムコさまよりメールをいただいた。
私がアドベンチャー系を好んでプレイしていることを
知って下さっていた担当者様より、
1月11日にPSVで発売されたDL専用ソフト「レイジングループ」を
遊んでみてもらえないかというお話だった。
私の中でケムコと言えば、当時のファミコンのラインナップの中で
異彩を放っていたハードボイルド系ADV「ディジャブ」の印象が強い。
APPストアではケムコのRPGやADVが多数上位にランクインしており、
相変わらず手堅く頑張っておられるなと思っていたので
ご厚意に甘えて遊ばせていただくことにした。
コンシューマーでノベル系ゲームを遊ぶのはいつ以来だろうか。
もしかすると「428」ぐらいまで遡らなくてはいけないかも知れない。

「レイジングループ」は「鈍色のバタフライ」「D.M.L.C.」など
ケムコのADVでシナリオを担当してきたamphibian(あんひびあん)氏の最新作。
バイク事故により、小さな集落に迷い込んだひとりの青年(プレイヤー)。
そこでは、古くから伝わる「黄泉忌みの宴」が行われようとしていた。
宴の参加者に潜む狼を暴き出し、無事脱出できるだろうか…というミステリー。
ドラマや小説、コミック、ゲーム等で様々なアレンジがされている
「人狼(汝は人狼なりや)」をベースに、
伝承や村八分といった日本らしい要素が盛り込まれているのが特徴。
元々はスマホ(iOS/Android)向けのADVとしてリリースされていたものを
Vitaに移植したものだが、移植に際し9人の新規キャストを追加、
台詞はフルボイス化され、ギャラリー総数は1.5倍に増強されている。



現在までのプレイ時間は約4時間。
ようやくエンジンがかかってきて「さぁ盛り上がってまいりました」なあたり。
システムは非常にオーソドックスで
ノベル系の流行には数年遅れているであろう私でもすんなり馴染むことが出来た。
グラフィックやBGMはややクラシカルで、Vita版で増えたと言われるギャラリーも
それほど多くの絵が使われているようには感じなかった。
元がスマホゲーであることを考えればこんなものであろうし、
テキストで引っ張るタイプなのでさほど気にならないが
Vitaならばもう少し…と欲張ってしまうのも事実だ。

他所者を忌み嫌う村人達や、童歌にヒントが隠されているあたりは
小説や映画では横溝正史、ゲームでは「ひぐらしのなく頃に」を彷彿させる。
感情の昂りを矢印を多用して表現するなど、テキストに遊び心があり、
物語の緩急の付け方も上手い。
物語の要になっている「黄泉忌みの宴」は、
その場にいる誰が『狼』なのかを見破る心理ゲーム。
狼を見つけるための手助けをしてくれる、以下の動物が存在する。

・狼を見破る能力を持った『蛇』
・互いが狼ではないと知っている『猿』(2人)
・死んだ者が狼か判別できる『鴉』
・狼の侵入を一晩だけ防ぐことのできる『蜘蛛』

最初は誰が狼かも分からなければ、
自分にどの役柄が割り当てられているかすら分からないのだが
徐々にターゲットが絞られてくるあたりからがこのゲームの本番だろう。



レイジングループ PlayStation Vita iOS
©2015-2017 KEMCO dwango

ストーリーについては各自で体験していただくとして
ここからは遊んでいて気に入った点、気になった点をいくつか挙げてみたい。

・黄泉がえるほど真相に近づく「死に戻り」システム
「不思議のダンジョン」シリーズや、
映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」でお馴染みの
死んでは復活し、死んでは復活しを繰り返すことで
徐々に真相に近づいていくシステムが面白い。
かつてのサウンドノベルは選択さえ誤らなければ
初プレイでグッドエンドに辿りつくことも可能だったが
本作は新たな選択肢をアンロックするための『KEY』を入手するために
バッドエンドを体験することが必須になっている。

<例>
外には異形の生き物が。扉を開けますか?

選択肢1「開ける」
選択肢2「?」*解除にはKYE(1)が必要

最初は「1」しか選択できないので、プレーヤーは無惨な死を迎える。
その代わり、同じ分岐点まで戻った時にKEY(1)を使用して
新たな選択肢2「じっと待つ」を選択可能にする。
プレーヤーだけでなくゲーム中の主人公も死んだ時の記憶は持ったまま復活するので、
キャラクターとプレーヤーのシンクロ率が高い。
私は元々、サウンドノベルにハマっていた頃から
こっちが不正解だろうと思える方をわざと選択する癖があったので
「死に戻り」を有効活用した本作のシステムはかなり好みだった。

・快適な動作、痒いところに手の届いた設定
Vitaの横長な画面を活用し、画面にはメニュー(設定やセーブ等)、
チャート(分岐表)、ログ(テキストの再読)、オート(自動進行)が
一発で行えるように配置されている。
遊んでいて山脇多恵(村の婆さん)の声が聞き取り辛いなと思い
オプションを開いてみると、なんとキャラクターごとに
音量を調節できるようになっていて驚いた。
読み込みもほぼ感じないレベルで、
物語への没入を妨げる要素を極力排除しようという心遣いが見える。

・前振りが長い
これは本作に限らずノベル系ゲームのほぼ全てに共通していること。
ゆるい掛け合いでダラダラと遊んでいるところに
突然不穏な空気が流れ始め、残虐表現で一気にシリアスに化けるのは
この手のゲームの王道なのだろうが、もうそろそろ脱却してもいいのではないか。

・Audible(オーディブル)化希望
ノベル系によくあるオートボタン。
ボタンを押す必要すらなく、自動でストーリーが進行する
怠惰なゲーマーにぴったりのシステムなのだが
試しにオートにしたままPCに目を移すと
台詞しか聴こえてこないので状況が把握し辛い。
フルボイス化されているのは台詞のみであり、
ト書きの部分はテキストを読むしかないのだ。
結局オートは止めてボタンで順送りしながら読んでいるのだが
このゲーム選択肢が滅多に出てこないため
台詞送りのためだけに本体を手に持って操作することが少々億劫に感じてしまう。
(スマホはVitaとは本体の重量が違うので苦にならない)
テキスト量からして困難であることを承知した上で
いつの日か本当の意味でフルボイス化されたノベルゲームを遊んでみたい。



全体でいえばまだ私も序盤であろうし、今後の展開が楽しみ。
伝奇モノADVがお好きな方は一度プレイしてみるべし。
DL専用ソフトで容量が1248MBなので、メモリーの空き容量は要チェック。

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