Blu-rayで観る「AKIRA」 | 忍之閻魔帳

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2011年06月22日発売■Blu-ray:「AKIRA(廉価版)」
2012年01月27日発売■Blu-ray:「AKIRA Blu-ray 30th Anniversary Edition Amazon限定販売

BDの有り難みを感じるのは、何もハリウッド大作を楽しんでいる時だけではない。
旧作がBD化されることで、当時は気付かなかった製作者の遊び心を発見出来たり、
作品から受け取ったインパクトが、単に想い出の中で美化されていたものではなく
数十年経った今も不変のものであったと確信した時にも、BDはその真価を発揮する。



BD化に伴い、画質はセルに塗られた絵の具の質感すらわかりそうな高画質に。
かなり広範囲での修復作業が行われたことがうかがえるが、
それ以上に192kHz/24bitにてリマスタリングされた音源が実に素晴らしい。
「AKIRA」で使用されている楽曲のほとんどは、民族楽器と人の声によって
作られているが、そのアナログな音源が醸し出す可聴域を越えた「音」は、
CDレベルの音質では再現不可能な、情報量の多い「音」なのである。
本作では、音質面の向上にBDの大容量を惜しげもなく使用されているだけあり、
これまでの「AKIRA」では体感出来なかった艶やかな高音や、
空間の隅々まで広がる様な、深く柔らかな低音を感じる事が出来る。

リマスタリングによって、ワンシーンの中に含まれる
数えきれない程の様々な音それぞれの分離が良質化されており、
いままで他の音に埋もれて聞こえなかった小さな音までも、
例えばバックに流れる楽曲の歌詞までもが、充分に聞き取ることが可能になった。
既に何度も観たはずの「AKIRA」が、新たな装いをもって目の前に広がるのである。
この感動は、1988年当時に劇場で観た人ほど大きいのではないか。

デジタル技術がどれほど進化し、BDの大容量と最新鋭の機器を駆使しても、
その音の情報量は、未だにアナログの持つそれには達していないことに気付く。
人類が遭遇するかもしれない未来を描いたこの作品は、
アナログの技術を総動員して完成された映画である。
新たなメディアと最新技術で生まれ変わった本作が見せてくれたのは、
アナログデータの無限とも思える情報量の深さであった。
デジタルでは描ききれない、「0」と「1」の間に含まれる無限の広がりは、
ちょうどそう、AKIRAが造った宇宙にとても良く似ている。


■Book:「AKIRA ARCHIVES」
■Book:「Akira Part1Part2Part3Part4Part 5Part 6」